マーケティングでしばしば取り上げられる「ブランディング」ですが、実は様々な種類のブランディングがあることはご存知でしょうか?
今回はその中でも最も一般的に行われているアウターブランディングを中心に取り上げました。
アウターブランディングの意味や他のブランディングとの違い、そしてアウターブランディングの施策アイデアから事例までをご紹介します。
アウターブランディングとは
アウターブランディングとは、消費者や顧客などの「社外」を対象としたブランディングのこと。
「アウター」という名前は付いているものの、一般的に言われる「ブランディング」と同義です。
マーケティングでは“ブランディング=アウターブランディング”という意味で使われることが多いでしょう。
アウターブランディングを行うことによる効果は次の通り。
- ブランドの認知拡大
- 新規顧客の獲得
- ブランドイメージの定着
- 長期的な収益
消費者や顧客に向けた施策を中心に行うため、効果が出るのも比較的早いのが特徴です。
しかしアウターブランディングに失敗すると一気に顧客が離れるリスクがあることも忘れてはいけません。
インナーブランディングとの違い
アウターブランディングとよく比較されるのがインナーブランディングです。
インナーブランディングとは、“インナー=社内”、すなわち社員やスタッフに向けたブランディングのこと。
「社内」には正社員や契約社員、パートといったあらゆる雇用形態の人、また外注先の企業や個人(フリーランス)など社内スタッフじゃないが関係性のある人までが含まれます。
インナーブランディングによる効果は次の通り。
- 社員の業務効率化
- 組織全体のパフォーマンス向上
- 愛社精神の育成
- 定着率の向上・離職率の低下
その性質上、アウターブランディングと比べると効果が出るまで時間がかかりますが、長期的に見るとビジネスにより大きな影響を与えるポテンシャルを持っています。
他にもある!さまざまなブランディング
ブランディングには他にも種類があるため、合わせて解説しましょう。
コーポレートブランディング
そのままの意味ですが、無名の企業をブランド化することをコーポレートブランディングと言います。
インナーブランディングのひとつだと思いがちですが、アウターブランディングに近い性質を持っています。
例えば「Apple」「Google」と聞けばどんな会社かすぐにわかるように、企業としてのブランドを確立していくのです。
広く知られるような企業になれば信頼度が増し、利益や優秀な人材獲得にもつながります。
プロダクトブランディング
プロダクトとは製品のことで、製品をブランド化していくのがプロダクトブランディングです。
先ほどの例で見ればAppleの製品はiPhoneやMacbook、Googleの製品は検索エンジンや広告など。
製品が有料か無料かは関係なく、“その製品が広く知られている状況”を作り出すのがプロダクトブランディングです。
製品そのものの知名度を上げることで固定客を獲得でき、企業の利益にも直結します。
現にGoogleは検索エンジンを全ユーザーに無料で提供することで、広告により大きな収入を得ています。
リブランディング
リブランディング(Re Branding)とは、改めてブランド価値を見直し、ブランディングをやり直すことです。
例えば任天堂は花札やトランプを販売することで一躍有名になりましたが、時代が進むと誰もカードゲームをしなくなりました。
そこでリブランディングを行うことで、現代は3DSやSwitchなどのゲーム機を製造し、再び娯楽業界の頂点に立っています。
時代によって消費者のニーズは大きく変わるため、それに合わせた“ブランディングのやり直し”が必要になってきます。
他にもブランディングで狙った効果が出なかった場合にもコンセプトを見直し、リブランディングする場合もあります。
根本的にはすべて同じ“ブランディング”である
アウターブランディング、インナーブランディング、プロダクトブランディング…さまざまな種類がありますが、まとめてしまえばすべて同じ“ブランディング”であることに変わりはありません。
対象や手法が違うだけで、目指すブランド像は同じはずです。
利益につながりやすいアウターブランディングにばかり注力されがちですが、あらゆる種類のブランディングを行うことで相乗効果を発揮できるのです。
すぐ取り組める!アウターブランディングの施策アイデア
企業としては、今始めたいのはやはり利益につながりやすいアウターブランディングではないでしょうか?とはいえ、アウターブランディングの施策は挙げたらキリがありません。
そこで、すぐに取り組めるアウターブランディングの施策アイデアをご紹介します。
ポジショニングと価格調整
アウターブランディングに取り組むとき、最初に確認したいのはポジショニングと価格調整です。
その業界の中でどのような立ち位置にいるのか?カジュアルかビジネスか、高級か安価かといった、他社との比較が必要になります。
競合他社の中で自社のポジションを決めることで、他社にはないアピールポイントを見つましょう。
アピールポイントがわかれば他社と比較しながらの価格調整もスムーズに。
競合他社がいてもポジショニングと価格調整による差別化ができれば、ブランドとして確立していけるでしょう。
厳格なルールを定める
厳格なルールを定めて遵守することもブランディングです。例えば値引きはしない、逆に価格は釣り上げない、店頭での制服は統一する、どの店舗もまったく同じサービスを提供するなど。
ルールがないままブランディングしようとすると失敗しやすくなります。
高級イメージを広めたいのに、割引して「お買い得」と売るようなものです。
徹底的にブランディングするなら、顧客の要望にすべて答えられないことも覚えておきましょう。
ロゴやデザインの統一化
消費者にブランドイメージを植え付けるなら、最も効果的なのはロゴやデザインといった視覚的なアピールです。
ロゴやデザインは色・形の他に字体も重要で、ホームページの字体と商品パッケージに印刷されている字体が異なれば消費者は違和感をおぼえます。
ブランディングするなら早い段階からロゴやデザインを統一化しておきましょう。
音や香りにも効果を持たせる
人は視覚情報の他に聴覚や嗅覚、場合によっては味覚でも情報を処理します。
例えばファミリーマートに入店すればお馴染みの効果音が流れてきて、その音とファミリーマートの情報を同一のものとして処理するのです。
また最近は香水やアロマを取り入れた空間デザインをする店舗も増えてきました。
人の五感を刺激することでより覚えてもらいやすくなるでしょう。
キャッチコピーの考案
「お値段以上、ニトリ」や「セブンイレブン、いい気分」などは誰もが知る有名なキャッチコピーですよね。
また、キャッチコピー内にブランド名は入っていないものの「i’m lovin’ it」はマクドナルドのキャッチコピーであることは誰でも知っているでしょう。
つい声に出して言いたくなるようなキャッチコピーもブランディングに役立ちます。
ブランドを連想させるようなキャッチコピーを考えてみましょう。
イメージづくりのための広告
認知拡大や売上アップを目的として広告を出稿する企業も多いですが、実は不特定多数にリーチできる広告こそ、イメージづくりに役立てたいツールです。
広告を出すときには一度「認知拡大うんぬん」を捨てて、イメージづくりのためだけに広告を作ってみ流のはいかがでしょうか?
参考にできるのはシャネル等高級ブランドの広告です。
美しいジュエリーを身につけた女性が登場する広告は世界観が出来上がっています。
特に香水の広告がおすすめ。
実際に匂いは嗅げない代わりに、イメージづくりに100%の力を注いでいることがわかるでしょう。
アウターブランディングの成功事例
最後にアウターブランディングに成功した企業の事例をご紹介しましょう。
ニベア
ドイツ生まれのニベアはスキンクリームブランドとして有名ですが、「ニベアの青缶」という愛称がつき、男性向けライン「NIVEA MEN」まで登場しました。
実はニベアでは「肌と肌が触れ合うような深い愛情を守り続ける」というブランドアイデンティティを確立し、CMからサービスの方針までがこのアイデンティティを遵守しています。
さらにブランドカラーであるミッドナイトブルーを全商品とホームページに適用することでビジュアルもキャッチーに。
創業から100年という長い歴史の中でもこの姿勢を崩さなかったことで、他のスキンケアブランドに代用されることなくブランドを確立・維持しています。
ディズニーランド
https://www.tokyodisneyresort.jp/tdl/ディズニーランドは世界の誰もが知る“夢と魔法の国”。
しかしジェットコースターの質は富士急ハイランドにかないませんし、次々とトレンドを取り入れるUSJの方が好きだという人も多いです。
それでもディズニーランドが揺るがないのは、そこにストーリーがあるから。
キャラクター1人ひとり、キャスト1人ひとりに物語があり、そして訪れるゲストにもそれぞれ物語があります。
“夢と魔法の国”に行けばいろんなストーリーを体験できる。
そんな特別な場所という認識されているからこそ、ディズニーランドには根強いファンがたくさんいます。
多角的なブランディング手法でビジネスを後押ししよう
ブランディングにはさまざまな種類があれば、それぞれ手法も異なります。
アウターブランディングひとつ取っても、どこをどのようにブランディングするかで大きく印象が変わってくるのです。
そこで多角的なブランディングを行うことで、総合的に「ブランド」を強くすることができます。
あらゆる施策を試してみて、ブランディングでビジネスを後押ししていきましょう!