潜在ニーズ・顕在ニーズとは?ニーズを引き出し商品を売る方法

マーケティングに携わる人なら「お客様のニーズを満たす」という言葉を聞いたことがあるでしょう。その「ニーズ」の中には「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」の2つがあるのをご存知でしょうか?

商品を売るうえで、そのどちらもがマーケティングには欠かせないものですが、特に注意したいのが潜在ニーズです。

今回は2つのニーズの違いと、顕在ニーズから潜在ニーズを引き出し、本当に必要とする顧客に商品を提供するための方法を解説します。

 

目次

「ニーズ」と「ウォンツ」の違い

潜在ニーズをより的確に理解するために、ここで「ニーズ」と「ウォンツ」の構造を捉えておきましょう。

ビジネスにおいて「ニーズ(needs)」とは、顧客が生活や仕事をするときに現状の不満点と理想の状態を比較し、生じたギャップのこと。言い換えれば「必要性」です。

例えば「体重が60kgあるが、理想の体重は50kgなので痩せたい」と思っているならば、その顧客は「体重を10kg減らせる何か(ダイエットサプリや運動できるサービスなど)」を必要としています。「体重が60kgあるが、理想の体重は50kgなので痩せたい」

一方で「ウォンツ(wants)」とは、単純に「◯◯が欲しい」と思う状態のことで、目先の顕在ニーズの実現手段です。上記の例で言うと、例えば「ダイエットサプリが欲しい」などという欲求がウォンツとなります。

「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」の違い

しかし、顧客は本当に痩せたいだけなのでしょうか?このニーズには「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2つがあります。

  • 顕在ニーズ(apparent needs):顧客自身が「○○が欲しい」「○○したい」と認識しており、商品やサービスの必要性をはっきり自覚しているもの
  • 潜在ニーズ(hidden needs):顕在ニーズのさらに底に隠されたニーズで、顧客自身がまだ自覚していないもの

例の顧客の場合、顕在ニーズは「10kg痩せたい」とはっきり表面化していますが、潜在ニーズには「モテたい」「健康的になりたい」「自分を変えたい」など様々なものがあり、顧客自身もまだ自覚していません。

潜在ニーズは、顧客の頭でも整理されておらず、具体的にイメージし易いウォンツ=手段を発言しがちです。つまり、営業・マーケターは、顧客のウォンツから潜在ニーズを引き出さなければなりません。

ウォンツ:「ダイエットサプリが欲しい」

顕在ニーズ:「体重が60kgあるが、理想の体重は50kgなので痩せたい」

潜在ニーズ:「モテたい」「健康的になりたい」「自分を変えたい」etc.

保険業などは潜在ニーズの発見が重要

食品や衣類など、目に見えて手に取れる商品を取り扱う場合には「お腹が空いた」「おしゃれしたい」といった顕在ニーズを満たせば売れるかもしれません。しかし、安心感や保障など、目に見えない商品を売るにはまず潜在ニーズの発見が必要です。

例えば、最初から「火事が起こるから契約しておこう」なんて思って火災保険を契約する人はいませんよね。

日常的に火事が起こることはないため、顧客自身が「火事になったら怖い。もしもに備えておきたい」という潜在ニーズを自覚していません。

目に見えずニーズを自覚しづらい商品は、先に潜在ニーズを発見し、顧客から引き出しておくことが重要なのです。

顕在ニーズ・潜在ニーズを知るべき理由

顕在ニーズと潜在ニーズの両方を知ることで2つのメリットがあります。

ターゲット層を広げられる

潜在ニーズも意識することであなたの商品やサービスに興味を持つ人が増えます。

例えば「痩せたい」という顕在ニーズを持っている人に勧められるのはダイエットサプリや運動器具など。そこに「モテたい」という潜在ニーズがあると知れば、美肌効果のあるサプリを、「健康になりたい」という潜在ニーズにはパーソナルトレーニングや食事指導サービスも勧められます。

自然と「10kg痩せたい人」だけでなく「痩せなくて良いけどキレイになりたい」という顧客も取り込むことができるようになるのです。

具体的なマーケティング戦略としては、こうしたニーズに基づくキーワードをコンテンツマーケティングに活用したり、YDNのサーチターゲティングのキーワード設定、GDNのカスタムインテントオーディエンス設定に適用して広告を配信したりといったものが考えられます。

ユーザーの満足度アップ

潜在ニーズは顧客自身がまだ自覚していないですが、それを推測し「本当に必要なのはこれじゃないですか?」と問いかけることで気付きを与えることができます。人は自分が無自覚だったものに気付くと、気付かせてくれた相手に対して好感を持ちやすいもの。

そして、実際に商品やサービスを利用して潜在ニーズを満たしたときの満足度は、顕在ニーズを満たしたときの満足度よりも大きくなるのです。

潜在ニーズの見つけ方や引き出す方法

では、潜在ニーズってどうやって見つければ良いのでしょうか?

潜在ニーズの発見には心理学が絡みますが、人の心を読む必要なんてありません。実は意外と簡単な方法で見つけられるのです。

「○○したい」は顕在ニーズである

まず、顧客の「○○したい」「○○が欲しい」という声や要望は顕在ニーズであることをしっかり認識しておきましょう。

まずは顕在ニーズと潜在ニーズを見分けることから始まります。

「なぜ?」は潜在ニーズを引き出す質問

顧客の「○○したい」という顕在ニーズがわかったら、ある質問をするだけで潜在ニーズを引き出してあげることができます。

その質問はズバリ、「なぜ?」です。

次の例を見てみましょう。

痩せたい → なぜ? → 健康的になりたい → なぜ? → モテたい(健康的な人の方がモテると思うから)

「なぜ?」と問い続けると潜在ニーズが見えてきました。

潜在ニーズを深掘りしていくと、「痩せたい」と思っている人は「健康的な人=モテる」というイメージを持っていることがわかります。だからこそ「自分も痩せて健康的になって、モテたい」という願望があるのです。

マーケティングにより潜在ニーズを顕在化

普段私たちは「必要だから買う」という行動を取っていると思っています。しかし、本当はマーケティングにより「必要」だと錯覚しているだけかもしれないのです。

先ほど見えてきた潜在ニーズを潜在ニーズのままにしていては、痩せたいと思っている人にモテるための商品を売ることができません。そこで、広告やブランディングなどのマーケティング施策を行い、潜在ニーズを顕在化させましょう。

顕在化のポイントは、顧客がよりイメージしやすいようにリアリティを持たせること

10kg痩せたい人にダイエットサプリを売るのは簡単ですが、本当はモテたいと思っているなら、パーソナルスタイリングで着るものを変える方が手っ取り早いです。

この場合「実際の体重は変わらなくてもスタイリングでマイナス10kg痩せて見えた→合コンで成功した」というプロモーションを行うと、それを見た顧客の潜在ニーズが引き出されます。

潜在ニーズを満たして成功した商品例

私たちが当たり前にあると思っている商品でも、実は潜在ニーズを満たして成功した商品であることが多いです。そんな商品の例をご紹介しましょう。

ロボット掃除機

家が汚れていると「掃除しなきゃ」という顕在ニーズが出てきます。しかし、顧客には面倒くさがりだったり、忙しくて掃除する時間がなかったりという問題が。そこには「誰かに掃除して欲しい」という潜在ニーズがあるのです。

そこで誕生したのがロボット掃除機。誰か=人という常識を覆し、清掃サービスを依頼するより簡単でコスパも高いため大ブレイクしました。

カット野菜

1人暮らしの人は、スーパーの生鮮売り場にある大きな野菜だと余らせて腐らせてしまうという悩みを持っています。そこには「どうにか余らせないで、腐る前に使い切る方法」という顕在ニーズがありました。

使い切りレシピを紹介すれば顕在ニーズは満たされますが、同じ野菜ばかり食べるという課題は解決しないまま。カット野菜が登場してから「腐らせない」という顕在ニーズと「色々な野菜が食べられる」という潜在ニーズを同時に満たすことができました。

定額使い放題

最近は動画配信や音楽配信など、月額定額で使い放題のサブスクリプションサービスも増えてきましたね。これも顧客の潜在ニーズを満たした商品です。

「DVDやCDを観たり聴いたりしたい」という顕在ニーズの中には「休みを有意義に過ごしたい」「暇つぶししたい」という潜在ニーズがあります。

しかし顧客の本音として、その度に店舗に足を運んで都度払いするのも面倒。ラクでお得感もある定額使い放題サービスがブレイクしたというわけです。

うまく商品を売るには潜在ニーズを探ることから

「顧客のこんな悩みを解決する」という軸は誰でも持っているでしょう。しかし、それが顕在ニーズなのか、潜在ニーズなのか区別できているでしょうか?

うまく商品を売って顧客満足度を上げるなら、まずは顕在ニーズに「なぜ?」の質問をして潜在ニーズを探っていきましょう。きっと顧客が本当に必要としているものが見えてくるはずです!

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