Googleのアルゴリズムは、常にさまざまなアップデート(更新)を行っています。
今回は、その中でもとくに代表的なアップデートのひとつである「ペンギンアップデート」を紹介します。
Web担当者やSEO担当者は、ペンギンアップデートの基礎知識として何を知っておくべきか。また、ペンギンアップデートを念頭に置いた上で、どのような方針でSEO対策を行うべきか。それらをわかりやすく解説します。
ペンギンアップデートとは何か?
「ペンギンアップデート」とは、Googleのアルゴリズムにおける代表的かつ大規模なアップデートのひとつです。
Googleの「ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)3」に違反するWebサイトに対してペナルティを科し、検索結果の順位を下げたり、インデックスから削除。ユーザーにとって不利益なWebサイトが、ユーザーの元に届かないようにする更新が行われました。
そもそもアルゴリズムとは
Googleのアルゴリズムはコアアルゴリズムとも呼ばれ、Googleはこの独自のアルゴリズムに基づいてWebサイトの検索順位を決めています。
Googleのアルゴリズムには200以上のランキング要素があり、これらを多く満たすWebサイトが「ユーザーの検索意図に応え、よりユーザーの役に立つWebサイト」として、検索上位に来るようになっています。
そして、アルゴリズムの内容は固定されたものではなく、常に改善のための更新(アップデート)が行われています。
ペンギンアップデートが導入された背景と目的
Googleは、ユーザーが検索行動の結果に満足することを目指していますが、最初から適切な検索順位を提供できていたわけではありません。
かつてのGoogle検索では「ブラックハットSEO」と呼ばれる、アルゴリズムを欺(あざむ)き、アルゴリズムの裏をかくような手法が横行していました。
- 自動生成でページをたくさん作る
- 中身のないサイトからの無意味な被リンク(自作自演含む)をたくさん得る
- 内容に関係なく、とにかくキーワードをページ内に詰め込む
などのスパム的なSEO手法により、ユーザーにとってはまったく役に立たないWebサイトが、当時のアルゴリズムでは検索上位に表示されていたのです。
当然ながらGoogleは、こうしたユーザーにとって不利益なWebサイトの評価を下げる方向へと、アルゴリズムの改善を実施。そのひとつが、2012年から導入されたペンギンアップデートなのです。
なお、ペンギンの名称の由来としては、後述するパンダアップデートとあわせて、その白黒の見た目から「Webサイトの善し悪し(白黒)をはっきりさせる」意図があるという説が有力です。
ペンギンアップデートの履歴
ペンギンアップデートが最初に導入されたのは2012年4月のことでした。
その後、何度かのデータ更新やアルゴリズム更新を経て、2016年9月にバージョン4.0にあたるアップデートを実施。これを機に、ペンギンアップデートはコアアルゴリムへと統合され、以降はリアルタイムにアップデートが行われるようになりました。
以前のように、都度Googleからアナウンスされることはなくなりましたが、水面下では随時ペンギンアップデートが実施されていることになります。
パンダアップデートとペンギンアップデートの違い
ペンギンアップデートと並んで挙げられる大きなアップデートである「パンダアップデート」。
どちらも白黒の見た目の動物を名前に冠し、時期的にも同じ頃から実施されたことから何かと混同されがちですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
コンテンツの品質を重視するパンダアップデート
- 2011年から導入〜2013年にコアアルゴリズムに統合
- 低品質なコンテンツや内容の薄いコンテンツ、重複・コピーコンテンツなどにペナルティ
パンダアップデートは、「ユーザーの益にならない、内容に乏しい低品質コンテンツの評価を下げる」ことに主眼を置いた、コンテンツ軸のアップデートです。
SEOの違反行為を重視するペンギンアップデート
- 2012年から導入〜2016年にコアアルゴリズムに統合
- Googleの品質ガイドラインに違反したSEO対策にペナルティ
一方のペンギンアップデートは、「ブラックハットSEOと呼ばれるような、スパム手法的なSEO行為や無意味な被リンクを排除する」ことに主眼を置いた、SEO軸・被リンク軸のアップデートです。
ペンギンアップデートで評価が下がるSEO施策
では、ペンギンアップデートでペナルティの対象となるSEO行為には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
Googleは「ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)」の中で、以下のような手法を「使用しないように」と述べています。
- コンテンツの自動生成
- リンクプログラムへの参加
- オリジナルのコンテンツがほとんどまたはまったく存在しないページの作成
- クローキング
- 不正なリダイレクト
- 隠しテキストや隠しリンク
- 誘導ページ
- コンテンツの無断複製
- 十分な付加価値のないアフィリエイトサイト
- ページへのコンテンツに関係のないキーワードの詰め込み
- フィッシングや、ウイルス、トロイの木馬、その他のマルウェアのインストールといった悪意のある動作を伴うページの作成
- リッチスニペットマークアップの悪用
- Googleへの自動化されたクエリの送信
いずれの手法も、一切ユーザーの役には立たず、単にアルゴリズムの裏をかくことだけを目的としたものです。
こうしたブラックハットSEOによって順位上昇を画策するサイトは、まさにペンギンアップデートのペナルティ対象となっています。
ペンギンアップデートの対策方法
コアアルゴリズムに統合され、外からは見えにくくなったペンギンアップデートですが、Webサイトの運営やSEOの実施にあたってはどのような対策が必要になるのでしょうか。
ガイドラインに準拠したSEO対策を実施
SEO施策に関しては、「不正なSEO対策を実施しない」の一言に尽きます。
不正か否かの判断基準は、「Googleウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)」に準拠しているかどうかで判断しましょう。
ユーザーのためにならない行為をしない
また、違反行為をしないこと以上に重要になるのが「ユーザーファースト」の考え方です。
ユーザーファーストを掲げるGoogleは、検索ユーザーの検索意図に応え、ユーザーの検索行動を満足させられるコンテンツを高く評価します。
ユーザーの利便性や満足度を何よりも優先し、それを実現するための手段としてのSEO——すなわちホワイトハットSEOに注力することを心がけましょう。
もしもペナルティを受けてしまったら?
それでも、意図せずにペナルティを受けてしまう可能性は、けっしてゼロではありません。
場合によっては、検索結果の順位が下がるだけでなく、インデックスから削除されて検索対象にならないという、非常に重いペナルティを受けることもあり得ます。
こうしたペナルティを受けた際には、原因となる(または原因ではないかと推測される)要素をサイトから取り除き、順位が回復するのを地道に待つ、あるいは再審査をリクエストするといった対策が必要になります。