日常の検索生活の中で、ほとんどの人が何気なく使いこなしつつも、その仕組みなどについてはあまり知らないもの。それが「サジェストワード」や「サジェスト機能」と呼ばれる存在です。
サジェストワードを理解することは、検索への理解を深めるだけでなく、SEO対策やコンテンツ制作にも役立ちます。
本記事では、サジェストワードの意味や仕組み、Webサイト運営への活かし方などを説明。また、サジェストワードを取得するのにおすすめのツールもご紹介します。
サジェストワードとは?
「サジェストワード」とは、検索エンジンの検索窓にキーワードを入力したとき、自動的に表示される関連性の高い検索候補ワードを指しています。
サジェスト(suggest:提案する、勧める)と呼ばれるとおり、検索エンジンによって提案される「あなたが知りたいのはこれですか?」という検索キーワードの候補なのです。
なお、サジェストワード(サジェストキーワード)という呼称は一般的なものであり、他に予測変換や予測表示と呼ばれることもあります。Googleでは現在「オートコンプリート」と呼ばれています。
サジェストワードの仕組み
サジェストワードは、さまざまな要素を組み合わせて決められています。
Googleオートコンプリートでは、
- 検索窓に入力されたキーワードとの関連性や類似性
- 多くのユーザーが何度も検索しているキーワード(人数・頻度)
- ユーザー自身が過去に行った検索(パーソナライズド検索)
- ユーザーの居場所や検索実行場所
などの要因に基づいています。
つまり、人気や注目度が高いキーワードならば重要性も高いと判断したり、あるいは過去の検索行動からユーザーにとっての必要性が高いと判断し、それをサジェストワードとして提案しているのです。
ユーザーの検索体験を助ける機能
さて、こうした仕組みによって表示されるサジェストワードは、そもそも何を目的としているのでしょうか。
これは、Google自身がヘルプページで明言しているとおり「検索結果をより速く取得する」ことが最大の目的です。
Googleで検索を開始する際に、検索候補を使って情報をすばやく見つけることができます。検索候補とは、探している語句や他のユーザーがすでに検索した語句に関連して予測される検索キーワードのことです。
この背景には、検索ユーザー自身に「言語化できていない、または自覚していない」検索ニーズがあることが考えられます。
すべてのユーザーが、自分の中の何かを知りたいという気持ちを上手くキーワードにしたり、知るべきことを明確に意識できているとも限りません。
そうした潜在的な検索ニーズを簡単に気づかせて、より簡単に、より素早く検索できるようにユーザーを助けるのがサジェスト機能なのです。
サジェストワードをSEOやコンテンツ制作に役立てよう
サジェストワードは、本来はあくまでユーザーのための機能です。
しかし、サジェストワードを把握し、理解することは、SEOやコンテンツ制作にとっても非常に効果的です。
サジェストワードからユーザーのニーズや検索意図を読み取る
サジェストワードには、多くのユーザーに何度も検索されていることから重要度が高いとGoogleが判断したキーワードや、類似するキーワードなども表示されます。
つまりサジェストワードには、ユーザーの検索行動の理由や状況、その裏にある意志といった「検索意図」が反映されやすいと言えます。
具体的なニーズや興味なども見えるようになります。
たとえば「花」というキーワードを入力したところ、下記のようなサジェストワードが表示されました(サジェストの内容はユーザーや時期によって変わります)。
このサジェストワードを見ると、
- 花言葉を知りたい
- ギフトとして花を贈りたい
- 花の名前を知りたい
などのニーズを持ったユーザーが多いことがうかがえます。
サジェストワードをよく調べることで、ユーザーはどんな悩みを抱えているのか、何を解決したいと思っているのか、何をしたいと考えているのかなど、さまざまな検索意図を読み取れるようになるでしょう。
トピックの網羅性を高めて潜在ニーズに応える
また、サジェストワードには、ユーザー自身が認識していない潜在ニーズが表示されることもあります。
ユーザーは自覚していないけれども、必要性の高い情報は何か。それをサジェストワードから読み取れば、潜在ニーズを先回りして提供できるようになります。
もちろん、ひとつのページにあらゆる情報を詰め込むのは逆効果なので、サイト全体で対象トピックに関する網羅性を高めるようにしましょう。
サジェストワードの取得におすすめのツール
検索窓に実際にキーワードを入力すれば、サジェストワードを確認することができます。
しかし、キーワードの候補を検討する際、都度こうした作業を繰り返すのは効率が悪く、負担も大きいでしょう。
そこで、サジェストワードの調査・取得には、ツールを活用するのが便利。以下に、とくにおすすめのツールを4つご紹介します。
goodkeyword
「goodkeyword」では、GoogleやBingなどのサジェストワードを一括で調べることができます。
複数の検索エンジンを横断で調べられるのが便利。
重複を削除した上でまとめて結果をコピーできる点も、なかなか使い勝手が良いツールです。
グーグルサジェスト キーワード一括DLツール
「グーグルサジェスト キーワード一括DLツール」では、Googleのみのサジェストワードを調べることができます。
結果をCSVでまとめてダウンロードできるのが便利。
他に、「ヤフーサジェスト」「ビングサジェスト」「アマゾンサジェスト」「ユーチューブサジェスト」も提供されています(上記リンク先より確認可能です)。
KOUHO.JP
「KOUHO.JP」では、Googleサジェスト(2020年1月現在、調整中のため利用できません)の他に、Amazonサジェスト、楽天サジェスト、Bingサジェスト、はてな連想語、Twitter共起語のサジェストワードを取得できます。
連想語や共起語を簡単に調べたいときに重宝するツールです。
OMUSUBI(おむすび)
「OMUSUBI(おむすび)」では、サジェストワードをマインドマップ化して表示してくれます。
ユーザーの検索ニーズを視覚的に把握できるので非常に便利です。
対象となる検索は、Google、Bing、YouTube、Amazon、Wikipedia、Dailymotionで、切り替えてひとつを選んで使えます。
サジェストの悪影響「サジェスト汚染」とは?
検索するユーザー側としても、情報を提供するWebサイト側としても、上手く使いこなせばサジェストワードは非常に便利な機能です。
一方で、サジェストワードはあくまでアルゴリズムにより自動的に決められているため、場合によってはネガティブなキーワードでサジェストワードが占められてしまうようなこともあり得ます。
これは「サジェスト汚染」と呼ばれることもあり、サジェストが与える悪影響の面になります。
もちろん、ネガティブワードの原因が不祥事などの事実に基づいたものであれば、それは自然な流れと言えるでしょう。
しかしながら、これがまったく事実無根であったり、権利やプライバシーの侵害、誹謗中傷や差別にあたる場合などには、検索候補を報告して削除依頼することもできます。
あくまでリクエストできるだけで、必ずしも削除されるとは限りませんが、サジェスト汚染があった場合の対応方法として知っておくと良いでしょう。