自社が所有し、掲載するコンテンツも運営方針もコントロール可能なオウンドメディア。
多くの企業がオウンドメディアを持つ時代になりましたが、その役割や目的にはどんなものがあるかご存知でしょうか?
今回はビジネスにおけるオウンドメディアの役割と目的について取り上げました。
目的別の注目オウンドメディアもご紹介するので、ぜひオウンドメディアの構想に役立ててください。
ビジネスにおけるオウンドメディアの役割
オウンドメディアとは、企業が消費者に向けて発信する媒体(メディア)のこと。
昨今では、SNSを利用して発信する企業が増えていますが、オウンドメディアとSNSの発信には大きな違いがあります。
それは、制限がないこと。SNSは、動画のみの投稿や字数制限のある投稿、写真が主体の投稿など、投稿する内容に各SNSの特徴となる制限があります。
その一方で、オウンドメディアは投稿方法に縛りがなく、自社が伝えたいことを自由に伝えることのできる媒体なのです。
そんな中ビジネスでは、マーケティングを行い、商品を作ってプロモーションし、販売するという一連の流れがあります。
ビジネスの中で、まずはオウンドメディアにはどんな役割があるかを見ていきましょう。
SEO効果で認知度アップ
オウンドメディアではSEOを意識したコンテンツを掲載することで、従来の広告やSNS運用では獲得できなかった見込み客にもリーチできるようになり、認知度アップを狙えるようになります。
SNSでは顕在的なファンを獲得することができますが、オウンドメディアでは潜在的なファンへ認知を広げることができるのです。
加えて、コンテンツを増やしたりブラッシュアップすることで、少しずつSEO効果を積み上げていけるのもポイント。
SEO的に強くなれば、より多くの見込み客にリーチできるでしょう。
集客の入り口を増やす
コンテンツを増やすことは、集客の入り口を増やすことでもあります。
従来のホームページには数ページしか入り口がありません。
オウンドメディアを開設すれば、自社や製品に関すること、訪問者の役に立つ情報などを1つずつコンテンツ化し、Web上のあらゆる場所に入り口を設置し、集客に役立てられるのです。
また、オウンドメディアの発信方法は自由なので、自分たちが自分たちのスペースで、自分たちのリソースを使って運営できるため、集客の入り口は広げようと思えばいくらでも広げることができます。
さらに言えば、オウンドメディアはSNSとの相性が良いです。
TwitterやInstagramにコンテンツをシェアしたり、YouTubeに動画を掲載してオウンドメディアと連携させたりなど、オウンドメディアへの流入を増やせます。
売上を増大させる
オウンドメディアには、販売促進の役割を持たせることもできます。
つまり、ビジネスの売上増大も狙えるのです。
オウンドメディアによって認知度を高め自社の商品を販売するだけでなく、広告枠を作って広告収入や、有料コミュニティの運営など、オウンドメディアを通すことでマネタイズの幅が広がります。
BtoC・BtoBの両方に対応
個人消費者に向けて商品を販売している企業でも、他社とのタイアップや契約など、他社と取引をする機会は多いですよね。
SNS運用は個人向け・プレスリリースは企業向けと明確に分けられることも多いですが、BtoC・BtoBの両方に対応できるのがオウンドメディアのメリット。
個人消費者・他社企業の両方に向けて情報発信を行い、両方からの好感度・信頼度アップも狙えるでしょう。
オウンドメディアの目的
これからオウンドメディアの運営を始める場合には、構想時点でオウンドメディアの目的を決めておくことが成功のポイントです。
目的を決めずに運営を始めるとターゲットやテーマがぼやけてしまい、見込み客に“刺さる”オウンドメディアにはなりません。
複数の目的を併せ持つオウンドメディアもありますが、その場合も主目的、そして副次的な目的を決めることで、軸のブレない運営ができます。
それでは、オウンドメディアの目的について1つずつ解説します。
集客
SNS・広告・検索など、どのチャネルで集客をするにせよ、コンテンツは欠かせません。
オウンドメディアではいくつもコンテンツを生産できるため、集客を目的としてオウンドメディアを運営する企業は多いです。
- 「こんな会社がある」「こんな商品を売っている」と知ってもらいたい
- アクセスを集めて認知度を高めたい
- 集客チャネルを増やしたい
- リードを集めてその後のローンチやプロモーションに活用したい
など
ブランディング
見込み客から顧客になってもらったり、顧客からファンに育てたりするにはブランディングは欠かせません。
SNSでもブランディングはできますが、オウンドメディアを一緒に活用することで、情報発信を通してもっと深みのあるブランディングが可能です。
- 自社の好感度や信頼度の向上を狙いたい
- 自社についてプラスイメージを持って欲しい
- 自社のファンになってほしい
- 定期的にオウンドメディアを訪れて情報を受け取ってほしい
など
販売促進
「売上アップを狙いたい」という目的なら、オウンドメディアに掲載できるコンテンツは販売促進にかなり有利です。
利用者の体験談やインタビュー記事を掲載すれば、見込み客の後押しになり商品購入までのハードルが一気に下がるでしょう。
- 商品や製造のこだわりについてより深く理解してもらいたい
- 自社にしかない魅力・オリジナリティ・独自性をアピールしたい
- 付随するサービスの売上や会員数アップも狙いたい
- 見込み客が商品の魅力を感じられるコンテンツを載せたい
など
広報・採用強化
オウンドメディアを広報・採用強化を目的として運用する企業も増えています。
AIの開発が進んでも、人が接する相手は人。
そんな社内で“働く人”にフォーカスしたコンテンツは求職者だけでなく、結果的に他社企業・取引先・そして見込み客にも注目されやすいのです。
- 自社についてもっと深いところまで知ってほしい
- 自社の活動を多角的にアピールしたい
- これから自社に来るであろう人材に、自社への愛着を持ってほしい
- すでに働いているスタッフに「この会社でよかった」と思ってほしい
など
最近は自前のサイトをCMSなどで用意するのではなく、noteやWantedlyなどの外部サービスを通じて広報・採用強化を目的としたコンテンツを発信している会社も多くなってきました。
目的別オウンドメディア事例
オウンドメディアを作るには、事例から学ぶのが一番です。
そこで、企業が運営しているオウンドメディアを目的別にご紹介します!
集客に強いオウンドメディア3選
ferret
「マーケティングのことならferret」と言われるほど、マーケターによく知られているオウンドメディアです。
膨大な量の記事でマーケティング関連のテーマを網羅しているため、SEOにも強く多くのリードを獲得しています。
インタビュー記事を織り交ぜながらしっかりと内容のあるコンテンツにしているため、ユーザーが何度も訪れるようなオウンドメディアになっています。
LISKUL
「ferret」に並ぶ大手マーケティングメディア。
マーケティング関連の記事を検索するとほとんど「ferret」か「LISKUL」のどちらか、または両方が上位表示されるほどです。
マーケティング関連キーワードを元にSEOに強いコンテンツが作られており、マーケター御用達のオウンドメディアになっています。
企業のマーケティング担当者からのお問い合わせ獲得を目的として運営しています。
ビジドラ
起業家・フリーランス・スタートアップの担当者などが知っておきたい経営や経理などの仕組みを解説する「ビジドラ」は、三井住友カード株式会社が運営するオウンドメディアです。
あらゆるスペースに広告が貼られており、コンテンツの下には三井住友カードの案内も掲載されています。
オウンドメディア運営によって集客の入り口を増やしている事例です。
ブランディングがうまいオウンドメディア3選
LIGブログ
株式会社LIGのホームページの中にある「LIGブログ」も立派なオウンドメディアです。
ホームページと一体型にすることで、LIGブログに訪れたユーザーが迷うことなく会社のことやどんなサービスを提供しているかの情報を手に入れられます。
さらに、株式会社LIGの個性的な社員の魅力を全面に出したコンテンツにも注目。
面白おかしい企画やコンテンツで、多くのユーザーの心を掴んでいます。
サイボウズ式
「サイボウズ式」ではITを中心としたビジネス全般に関するコンテンツを掲載していますが、ちょっと変わっているのは一切自社製品の紹介や売り込みに繋げていない点。
セールス感を出さないことで、ユーザーからの信頼度を高めています。
さらに認知度をアップさせ、世界観を共有することでファン獲得にも成功。
ブランディングをするにはどんなコンテンツが有効なのか学べるでしょう。
ILACY(アイラシイ)
働く大人の女性のための医療メディア「ILACY」を運営する株式会社アドバンスト・メディカル・ケアは、医療施設のプロデュース・運営支援をしている企業です。
「大人女性の輝きを応援したい」という理念のもとに、オウンドメディアを運営しています。
医師監修であること、そして医療に携わる企業が運営していることから、内容の信ぴょう性があるとともに権威性も確立されており、多くの女性の助けになっています。
販売促進に繋げているオウンドメディア3選
くらしの良品研究所
無印良品が運営する「くらしの良品研究所」では、自社商品の製作秘話やこだわり、そして活用方法などを紹介しています。
ただの商品紹介にならず、見込み客の潜在的なニーズをうまく引き出しているのがポイントです。
自社商品をどのようにプロモーションすればいいのか?どうすれば魅力を理解してもらえるのか?と考えているなら、こちらのメディアをチェックしてみるといいでしょう。
北欧、暮らしの道具店
“北欧×ライフスタイル”という明確なテーマを掲げることで、コアなファンを獲得しているオウンドメディアです。
オリジナルブランドを販売するECメディアとしての役割もあるため、記事コンテンツで紹介されていた商品をそのまま購入も可能。
商品もサイト設計もしっかりと世界観が統一されており、販売促進にもブランディングにも成功している事例だと言えます。
coconala MAGAZINE
イラスト、執筆、レシピ考案、恋愛相談など様々な“得意”が売り買いされるココナラのオウンドメディアが「coconala MAGAZINE」です。
カテゴリーが多く一見すると雑多メディアのように見えますが、それらはすべてココナラで扱われているもの。
販売者・購買者の両者に役立つ情報をシェアすることで、ココナラの利用を促進しています。
広報・採用強化に特化したオウンドメディア3選
メルカン
フリマアプリ「メルカリ」のサービスではなく、あえて“人”に焦点を絞ったオウンドメディアが「メルカン」です。
てっきりメルカリに関する情報ばかりかと思いがちですが、実はビジネスやマーケティング、ちょっとした小ネタも豊富に掲載されています。
大手サービスにまで成長したメルカリですが、その裏話を惜しみなく公開することでステークホルダーや消費者、求職者など、立場を問わず多くの人に良い印象を持ってもらうことができるのです。
スマQ(スマキュー)
ニュースアプリを提供しているスマートニュース株式会社が運営しているのが「スマQ」というオウンドメディアです。
運営の目的は「スマートニュース株式会社について知ってもらうこと」で、「スマートニュースに関するQuestionからこの名前にしたのだとか。
オウンドメディアに掲載するコンテンツがないのでは?と思うような企業でも、人に焦点を当てることは可能です。
では、具体的なネタはどうするか?それは「スマQ」の中にヒントがあるかもしれません。
UNDER ARMOR(アンダーアーマー)
https://note.underarmour.co.jp/スポーツウェアブランドUNDER ARMOURは、noteのプラットフォームを利用してオウンドメディアを構築しています。
商品開発の裏話や商品を身につけるスポーツ選手や団体へのインタビューコンテンツなどが中心です。
こうしたコンテンツを掲載することは企業の広報活動にもなりますから、企業の魅力をアピールするのに最適な手法です。
オウンドメディアを作るなら役割と目的の明確化から
オウンドメディアにはしっかりと役割を持たせ、目的を明確化することが大切。
同じような業種でもオウンドメディアに持たせたい役割や目的が違えば、まったく違ったものに仕上がるためです。
オウンドメディア運営で最も重要なのは、目的を明確にした上で、メディアのコンセプトを特化していくことです。
これからオウンドメディアを作る人は、事例を参考に役割や目的を考えてみてくださいね。