営業のやり方や流れは研修を受けたり実務を積んだりすることで身に付けられます。その一方で営業資料作りには“練習”というものがなく、ほとんどの人が自分の感覚に任せて作ってしまいます。
営業資料は言ってしまえば営業マンの武器です。今回は現場で役立つ営業資料の作り方を解説します。
営業資料作りのよくある悩み
まずは営業資料作りのよくある悩み・疑問を解決しましょう。
なぜ営業資料が必要なのか
中には営業資料という武器を使わず、素手で戦う営業マンもいます。しかし、営業資料があった方が営業活動がスムーズなのは間違いありません。
お客様は営業マンに言われたことを100%覚えられないもの。また、実績について言われても、データがなければ信頼できません。だからこそ営業マンの話の内容や実績のデータがまとめられた営業資料が役に立つのです。
他にも、営業マンが言葉に詰まったとき、お客様から質問されたとき、頭が真っ白になったとき…そんなときも、営業資料が助けてくれることがあるでしょう。
何より、営業マンが去ったあとに営業資料の本領が発揮されます。お客様は営業資料と向き合って、ゆっくり考え検討できるのです。
上司や決裁者に相談するときにも営業資料が役に立ちます。
テンプレートに微修正をしていく
では、営業資料を毎回同じデザイン・配置のテンプレートとして使い回していいものでしょうか?
実は何度も営業をする場合には、同じテンプレートで作った方が先方に覚えてもらいやすいというメリットがあります。
「この型は〇〇社のものだ」と覚えてもらえれば、たくさんの資料の中から目に留まりやすくなります。
案件によってはまったく同じテンプレートが使えない場合があるため、目的や内容に応じたテンプレートをいくつか用意するといいでしょう。
武器になる営業資料の作り方
営業マンをサポートし、武器になる営業資料の作り方を解説します。
利用者と利用シーンを明確にする
資料作りに取り掛かる前に、営業相手を明確にしておきます。
営業相手は一般消費者なのか?企業なのか?それとも行政でしょうか?それを言い換えればBtoCか、BtoBか、BtoGかということになります。
消費者・企業・行政ではその商品・サービスを使う目的や達成したいこと、利益などが異なるため、誰に営業するかを念頭に置いた資料作りをしなければいけません。
営業資料の構成を作る
次に営業資料の構成を作ります。お客様が読みやすく、内容が入りやすい構成は次の通りです。
- 表紙(社名を記載)
- コンセプトや現状の悩み
- 商品の情報
- 導入のメリット
- 実績
- よくある質問
- 会社概要(連絡先を記載)
- 裏表紙(Webサイトや住所を記載)
商品やサービスの情報が手元にあれば、あとはこの構成に当てはめていくだけです。
※基本的には1項目につき1ページでまとめますが、さらに詳細化しても良いです。
例:4番目の導入のメリットの中に「選ばれる理由」や「事例をもとにしたグラフ」などの項目を挿入
利用者をイメージして訴求ポイントを加える
構成の3「商品の情報」と4「導入のメリット」にあたる部分には、商品・サービスの訴求ポイントを入れましょう。
例えば、次のような訴求ポイントがあります。
- ニーズ:実は損をしている、時間がないなど
- サービスの価値:手間が減る、実績が多数、信頼性が高いなど
- 付加価値:今申し込むと商品券プレゼントなど
- 他社との比較:成分の違い、お得感の違い、安心の違いなど
営業資料の中には訴求ポイントをたくさん盛り込みますが、最後に一番伝えたいことを主張します。営業側の視点ではなく、お客様側の視点で「このひと言があったら買うかも」というものをアピールするのです。
例えば「このツールを使うと50%の人員削減ができる」「他業種と連携しているから他社には真似できないサービスができる」など。
一番伝えたいことが明確になったら、丸々1ページ使って主張しましょう。ここでもデータや実績を載せたり、既存のサービスと比較したりなどの数値があると説得力が増してより良い資料になります。
事例や実績を載せる
ここまでも何度か述べていますが、営業資料の中には事例や実績を必ず載せるようにしましょう。
事例や実績があることでお客様は実際に商品・サービスを導入した後にどのように変化するのかイメージしやすいですし、何より信頼性が大きく向上します。
では、どのような事例や実績を入れれば効果が上がるのでしょうか。以下の例を参考にしましょう。
・数値、図表やグラフを活用する
・ユーザーの口コミ、インタビュー動画
・雑誌やテレビ等のメディア掲載実績
・導入企業の名称
もし事例や実績がまだ無いのであれば、低価格または無料でモニターを依頼するのがおすすめ。実際に誰かに使ってもらい、客観的な視点で評価してもらいましょう。
「次の行動」は明確に
ほとんどの営業資料は訴求ポイントがしっかり伝えられていて魅力的なのに、契約されない場合が多いです。その理由は「次の行動」が明示されていないから。
お客様が気に入ってくれたのに、次はどのように行動したらいいのかがわからないと面倒くさいと思われます。これでは機会損失です。
名刺を添えるだけでなく、気になったときにすぐコンタクトを取れるよう、営業資料にお問い合わせ先や担当者の名前を入れておくといいですね。
また「導入の流れ」「導入後の使い方」などがあるともっと便利です。気軽に申し込みできるように、QRコードなどで申し込みフォームにアクセスできる仕組みにするのもおすすめです。
シンプルなデザインを意識する
おしゃれなデザインは時として読みづらいことがあります。「おしゃれ」ではなく、整ったデザインを意識しましょう。
整ったデザインにするには、人がどのような目線の流れで資料を読むのかを覚えると作りやすいです。
A4の縦型資料の場合、人の視点は上から下へ移動しつつも(I型)、読むときには左から右→斜め→左から右と流れます(Z型)。
このI型とZ型を意識下配置をするだけで整ったデザインで読みやすい営業資料になるでしょう。
おしゃれにしたいときは、挿入する写真やイメージ画像をおしゃれなものにするだけでも変わりますよ。
営業資料の参考事例・テンプレート
実際にどんな営業資料を作ればいいのか迷ったときには、まずは何かを参考にするのがおすすめ。
営業資料の事例から、デザインはもちろん資料の構成や訴求ポイントなどをチェックしてみてください!
株式会社ロースターの営業資料
1つのスライドに入れるメイン情報を1つに絞ることで、ただ見やすいだけでなく内容も理解しやすい営業資料になっています。
また「自社は何をお手伝いできるか」という訴求ポイントをわかりやすくアピール。商談中は営業マンをサポートしてくれますし、商談後もじっくり読めるような資料です。
SNS運用代行の営業資料
余計な情報を詰め込みすぎず、シンプルな営業資料です。
あえてシンプルにすることで話に集中してもらうことができ、また「もっと詳しく知りたい」という人からお問い合わせが来やすくなるでしょう。
冒頭で課題の明確化、グラフでの実績提示、プランの紹介なども、お問い合わせに繋げやすい要素ですね。
冷凍食品の営業資料
こちらの営業資料では画像を多めに使いつつ、パッと見て読みやすい文字配置にしています。
「主な取引先」では業種ごとに分けることで、冷凍弁当という商材ながらも幅広い業種に対応できることをアピールしつつ、どういった利用方法があるのかがわかる点もポイントです。
営業資料のテンプレートサイト集
その他の営業資料も参考にできるように、事例サイト・テンプレートサイトをまとめました!
※テンプレートとして提供されているもの以外は、そのまま使用すると盗用になります。参考にしつつ、オリジナルを作るようにしましょう。
SlideShare
SlideShareは様々な企業のスライドが紹介されているサイトです。「営業資料」と検索すると、実際に作られた営業資料の一覧が表示されます。
海外のサイトですから、海外の事例も盛りだくさん。海外の営業資料を探したいときには「sales material」と検索してみてください。
SmartHR
SmartHRは人事・労務ツールを提供している会社ですが、様々な資料を無料でダウンロードできます。SmartHRの資料はテーマカラーが決まっているため、どれもまとまりがありますね。
さらに読みたくなるようなデザインで、視点の動きも計算されて中身も読みやすいです。
Canva
Canvaは無料で使えるデザインツールですが、実は営業資料のテンプレートが豊富!多くのテンプレートから気に入ったものを選び、あとは写真や文字を当てはめていくだけでおしゃれな営業資料が出来あがります。
しかもCanvaではパワーポイント(.pptxファイル)としてダウンロードできるのも大きな魅力です。いちいちパワーポイントで似たようなデザインを作る手間がかかりません。
急な飛び込みでも安心!営業資料を営業マンの武器にしよう
営業資料が手元にあれば、急な飛び込み営業を指示されたときや新任の営業マンでも安心!営業資料を台本として使えますし、先方に断られても営業資料だけ置いて帰ることはできます。
営業マンは営業資料を武器にして、営業効率を高めていきましょう!
おさらい
最後に、特に大事なポイントをもう一度整理しましょう!
- 営業資料作りはまず構成から
- 疑問や不安にきちんと答える
- 最後に「次の行動」をわかりやすく入れる。
- デザインはシンプルを心がける