オンライン・リアル問わず、様々なイベントを企業から個人まで誰でも開催できる時代。
イベントを主催するにあたって、集客は最初にして最大の難題です。
集客をするにあたってのプロセスは、単純に人を集めることだけに留まらず、その後の継続的なファン獲得やコミュニティの形成・発展にも続いています。
SNSは集客・ファンとのコミュニティ形成の両面で非常に相性が良いツール。
それゆえ、多くのイベントオーガナイザー達がイベントのPRにSNSを使うのです。
誰もが自由に発信できる時代だからこそ、主催者側もSNSを使い分けて、イベントにたくさんの人が足を運べるような方法を考えなければなりません。
《本記事でお伝えするポイント》
①SNSマーケティングの基礎知識
②SNSの選定方法
③インフルエンサーの起用やSNS広告のノウハウ
オンライン・オフライン問わず「イベントを主催したいけど、どうしたら皆に参加してもらえるのかわからない」という人は、PRを計画する新しいアイデアのためのヒントにしてみてください。
SNSでイベント集客をするための基礎知識
現代の消費行動モデル「Dual AISAS」を知ろう
SNSでイベント集客をすることは、イベントマーケティングとSNSマーケティングのハイブリッドです。
マーケティングを行う以上は、人々の消費行動の理論を学ぶとよいでしょう。
マーケティングを少しでもかじったことのある人なら、「AIDMA」や「AISAS」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これらは従来の消費行動モデルで、SNSが生まれる以前に主流だったものです。
10~20代は、検索エンジンではなくSNSで情報収集をする人の割合が多いと言われています。
人々の行動の変化を受け、「Dual AISAS」が現在の主流モデルとなりました。
※Dual AISASとは、株式会社電通が2015年に提唱した「SNS時代の消費行動モデル」です。
以前の消費行動モデルでは、「買って終わり」「周りの人に感想を伝えて終わり」でした。
しかし、SNSが普及した今、「購買したものをSNSに投稿してフォロワーから反応をもらう」というユーザーが増加。
購買による満足感だけでなく、承認欲求を満たすことによる満足感までが一連の消費行動とセットになったのです。
上の図を見てわかるように、Dual AISASモデルには縦軸と横軸の「AISAS」が存在します。
《縦軸》購買への興味関心「買いたい」
《横軸》コミュニケーションへの興味関心「拡散したい」
現代の消費者に商品やサービスを提供するうえで、2つの興味を区別して考える必要があるということなのです。
SNSを使ったイベント集客においても、「イベントに参加したい」という興味関心を刺激するだけでは十分ではないということ。
加えて、「イベントの存在や参加した経験を知人やフォロワーに知らせたい」という興味関心を刺激することができれば、一次拡散、二次拡散へと繋がります。
結果として、そのイベントの存在を認知する人の総数が増加。
したがって、当人は参加しなかったとしても、拡散された先でイベントを知った人が参加してくれる可能性が上がります。
現代のマーケティングにおいて、横軸の興味関心を促進することはとても重要なのです。
成功者の集客武器は「口コミ」
SNSマーケティングにおいて、横軸のAISASが活発に行われるのはどこでしょうか?
答えは、言わずもがな、TwitterをはじめとするSNSです。
SNSの発展に伴って、人々は直接、最新の情報にたどり着けるようになりました。
しかし、情報の中には信憑性が低いものやステルスマーケティングが多く存在することも、周知の事実。
デジタルネイティブ世代は、その事実を知っているからこそ、信頼性が高いソースを頼りに情報収集をします。
そこで、人々がもっとも「信頼性がある」と考えるのは、「純粋なユーザーの口コミ」なのです。
口コミとは、実体験を語るだけのものではありません。
様々な属性の人が、流れてきたコンテンツに対して「興味がある」「参加してみたい」という発信をすることもまた、体験の共有となり、他の誰かの消費行動を促していきます。
つまり、我々は「純度の高い口コミ」を自然発生的に量産できるコンテンツで集客することを目標にする必要があるのです。
後に紹介する「インフルエンサー」や「広告」の利用もまた、人々の興味を効率的に増幅させるための手段です。
イベント集客計画の最初にすべき4つのこと
SNSで集客するために、実際に何から取り組むべきなのでしょうか。
ここでは、全てのイベントオーガナイザーが最初に考えるべき重要な4つのポイントをお伝えします。
既にある程度のコンテンツが出来ているという人も、もう一度原点回帰して振り返ってみましょう。
ターゲット層を詳細に絞り込もう
マーケティングにおいて原点にして頂点といえるのが、「ターゲット層の設定」。
釣りをする時、狙う魚の種類によって竿のタイプやルアー、餌の種類を考えて組み合わせますよね。
釣り具を最適化することで、釣りたい魚の命中率を上げられることを知っているからです。
釣りの例と同じく、イベントにおいてもターゲットの属性が違えば、コンテンツの見せ方が全く異なってきます。
ターゲット層の詳細を決めることは「ペルソナ設定」とも言います。
《ペルソナ設定》詳細にターゲットの属性を決めること
性別・年齢・職業・年収・地域・趣味嗜好・家族構成など
仮の人物像に向けてコンテンツを考えることで、狙った属性の人に刺さりやすくなるでしょう。
様々な属性の人をターゲットにしたい場合は、複数のペルソナ設定をすることをおすすめします。
ターゲット層に響くコンテンツを考えよう
先に設定したペルソナに対して、PRコンテンツの最適化を行います。
釣りの例で言うと、釣り竿・ルアー・餌の種類を考えます。
ここで考えるべきは、「どのSNSを使うか」「文・画像・動画のどれを使うか」「誰がPRするか」。
Dual AISASモデルにおいて、縦軸と横軸が存在すると先に説明しました。
SNSマーケティングにおいては、どのような製品・サービス・イベントにおいても、この両方を満たすコンテンツを発信する必要があります。
《縦軸》イベントへの興味関心:あなたのターゲットは何を求めているのか?
《横軸》コミュニケーションへの興味関心:どんなベネフィットがあれば、拡散しようと思うのか?
この2つの軸をしっかり考えれば、イベントのターゲットに最適なコンテンツの最適化を図れるでしょう。
文面と視覚の両方を最適化しよう
「イベントの内容は良いはずなのに、サイトのPV数が上がらない。人が来ても、サイトからすぐに離脱してしまう。」
そんな悩みを抱えるパターンもあるでしょう。もしかしたら、視覚情報に問題があるのかもしれません。
人は五感のうち約80%を視覚情報に頼っていると言われています。
人があなたのコンテンツに興味を持つかどうかの80%は、見た目の第一印象にかかっているといっても過言ではありません。
Youtubeのサムネイルを思い出してください。
例えば、「MacとWindowsの比較」をテーマにした動画を探すとき、どんなサムネイルだったら見てみたいと思いますか?
その時、あなたが女子大生だったら?会社員だったら?おじいさんだったら?
見る人によって、クリックしたいと思うサムネイルは異なりますよね。
コンテンツは第一印象が8割。
心に留めて、ターゲットの目を引くポスターや画像を作りましょう。
鍵となる部分にはしっかり予算を充てよう
SNSは無料で使えるツールだからこそ、競合が無数に存在します。
他との差別化に注力しなければ、インターネットの海にただ沈んでしまうだけ。
おすすめなのは、お金で解決できることには予算を充てること。
・ターゲットを引き寄せる文章を書くのが苦手なら、得意な人に外注する。
・コンテンツ制作に時間を費やす代わり、フォロワーとのコミュニケーションがおざなりになるなら、制作を外注する。
・知名度ゼロの状態から自力でフォロワーを増やす代わりに、有名人にPRをしてもらう。
手持ちの予算とリソースを有効活用すれば、効率よく物事が進み、さらに良いコンテンツを発信することができます。
より良いコンテンツを発信すれば、ターゲットに刺さる確実性が高まり、最終的に集客率のアップとファン獲得に繋がるでしょう。
あなたのイベント集客にはどれが最適?SNSタイプ診断
特定の魚を多く釣りたいなら、その種類の魚がより多く生息する海を探して行きますよね。
イベント集客も同様で、プラットフォームとなるSNSの選定は重要です。
効率よく、一人でも多くのターゲットにコンテンツをリーチさせるためです。
ここでは、日本で最もユーザー数が多い4つのSNSをご紹介。
あなたのイベントで想定される参加者のタイプと照らし合わせながら、最適なSNSを探しましょう。
※2020年時点で日本国内の月間利用者数が最も多いのはLINE(約8,300万人)ですが、拡散性が低い特性上、省略します。
10~30代に幅広く届けたいなら:Twitter
LINEに次いで日本国内ユーザー数ランキング2位のTwitterは、約4,500万人が利用しています。
そして、Dual AISASモデルを最も反映しているのはTwitter。
Twitter社の調査によると、「発売」「欲しい」「買った」など、購買/消費行動に関するツイートは年間7,500万ツイート以上。
ファッションや日用品だけでなく、車や家を買うにもTwitterで情報収集をするアクティブユーザーは50%以上です。
また、10代20代ともに、Twitterアカウント所有率は約70%。
30代は約48%と数が落ちますが、それでも半数近くが利用しています。
ユーザーの購買/消費に関するツイートが他のユーザーへと派生する流れを利用するにはTwitterが最適でしょう。
オンラインセミナーや音楽フェス、アニメのイベントなど、様々なイベント集客にTwitterを利用する個人/企業も多く存在します。
幅広い若年層が利用していますから、様々ななターゲット層に対してTwitter一つでアプローチが可能です。
流行に敏感な若者を集めたいなら:Instagram
ご存知の通り、Instagramは「映え」を最重視するユーザーが集まるSNS。
ユーザー層はおしゃれや流行に敏感な若者がメインです。
2020年時点での国内ユーザー数は3,300万人。
Instagramに限った事ではありませんが、ハッシュタグによる情報拡散・収集が盛んです。
「#イベント名」「#ターゲットの利用数が多いワード」「#トレンドワード」を投稿に付けるとより拡散性が高くなるでしょう。
また、運用したいアカウントをビジネス用の「プロアカウント」に切り替えることができ、Instagram上でメッセージ・電話・メールを完結させることが可能になります。
加えて、サードパーティーのツールを使えば予約や注文などの機能も使えるようになります。
イベント集客においても、InstagramでQ&Aを実施したり、PV数や流入経路を分析することによって、より効果的なPDCAへと繋げられるでしょう。
海外にもアプローチしたいなら:Facebook
Facebookは日本国内ユーザー数ランキング4位(約2,600万人)です。
最近では「若者のFacebook離れ」と言われるほど、拡散性が高いアクティブユーザー数は減少しています。
しかし一方で、世界のユーザー数ランキングではFacebookが堂々の1位(約25億人)。
筆者は実際海外に行った際、現地の方々の多くが投稿だけでなくメッセンジャーにもFacebookを使っているのを見て驚きました。
Twitter文化の根強い日本とは異なり、海外ではFacebookの友達同士で情報を活発にシェアし合う人が多いようです。
もちろん国や地域によって差はありますから、前もって調べておきましょう。
日本では情報収集や拡散にあまり親しみのないFacebookですが、海外の人へアプローチ&拡散を考える場合にはFacebookも併せて利用するとよいでしょう。
どれにも当てはまらない場合は媒体を変更しよう
あなたがイベントで想定したターゲット層が、上で紹介したうちどれにも当てはまらない場合は、メインで使う媒体を変更すべきかもしれません。
例えば、メインターゲット層が都内在住50代男性会社役員で、週末に都内で投資セミナーを行いたい場合。
50代のTwitter利用者は30%以下ですし、会社役員ならまず仕事で忙しくてSNSを開く機会は少ないでしょう。
このような層を想定してアプローチするのには、TwitterやFacebookを使ったとしても、メインの媒体にすることは避けましょう。
別のアナログな媒体へリソースを回し、SNSはサブ的な立ち位置で発信すると良いかもしれません。
先に説明した、ターゲット層の詳細を設定することの重要性がお分かりいただけるでしょう。
「インフルエンサー」や「Web広告」という選択肢も
先ほど、「鍵となる部分にはしっかり予算を充てよう」という説明をしました。
どれだけ良いイベントやコンテンツがあったとしても、知名度が無ければ集客は難しいもの。
そこで、「知名度向上に資金を使う」という方法も検討してみましょう。
「お金で知名度を買う」といえば聞こえは良くありませんが、イベントの存在をターゲット層に認知してもらうためには必要なことかもしれません。
主な方法は「インフルエンサー起用」と「Web広告」の2種類があります。
インフルエンサーは細分化されたターゲット層に支持されやすい
インフルエンサー業界は年々拡大しており、有名芸能人から事務所所属のインフルエンサー、個人で活動するインフルエンサーまで様々です。
ジャンルも様々で、美容、投資、パパ活、受験、転職、ハンドメイド、などその他無数。
非常に細分化されたジャンルや業界でインフルエンサーが存在しています。
同じジャンルの中でもフォロワー数の規模や属性が違うなど、アカウントは様々。
そしてインフルエンサー達は一定の支持者を保有しています。
「推しの推しは推し」という言葉があるように、自発的にフォローしているインフルエンサーの発信には皆敏感なもの。
お金を払ってイベントをPRしてもらうことによって、一定数のフォロワーにイベントの存在を知らせることができるのです。
商品やサービス、イベントの内容や種類に合わせてインフルエンサーを選定し、予算を充てて知名度向上を図ることがイベント集客への近道です。
インフルエンサーを起用するには、①本人に直接問い合わせる ②インフルエンサーのマッチングサイトを利用する ③インフルエンサーのキャスティング会社に依頼するなどの方法がありますよ。
インフルエンサー相場はフォロワー単価2~5円
インフルエンサーの依頼にかかる費用の相場は、「フォロワー数×2~5円」だと言われています。
例えば、フォロワー数が4万人のインフルエンサーにフォロワー単価2円で依頼する場合、【4万人×2円=8万円】ということになります。
単純に、フォロワー数の多さに比例してリーチ数が増えるわけですから、費用対効果は悪くないと考えていいでしょう。
広告はターゲット層へ直接アプローチできる
TwitterやInstagramを見ている時、気になる広告が流れてきて視線が止まったという経験はありませんか?
構造は単純です。
AIがユーザーのプロフィールや性別・地域などのアカウント情報、最近見たウェブサイトの傾向を分析。
そして、一人ひとりが興味を持ちそうなウェブサイトの広告を自動で表示しているのです。
インフルエンサーマーケティングでは各ユーザーが自発的に興味を持ちます。
一方で広告では、個人の好みや関心に合わせたコンテンツを見せることで、非自発的にも「自然とユーザーの目に留まる」のです。
どちらも予算に合わせて効率的な集客が可能。あなたのイベント集客にはどちらが最適なのかを、検討してみましょう。
両方を組み合わせて、「打ち出した広告をインフルエンサーに紹介してもらう」などの方法もありますよ。
ターゲット層に合わせて、Twitter、Instagram、Facebook、またはGoogleなどどのプラットフォームに広告を出すべきかを検討しましょう。
TwitterやInstagramの広告は1,000円から可能
広告費用は高額なイメージがありますよね。でも実は、誰でも手軽に広告を出せるんですよ。
Twitterの「クイックプロモート」という機能を使えば、ターゲットの「地域」と「予算」を入力するだけで「自分の特定ツイートを広告にする」ことができます。
Instagramでは、「1日分の予算」と「配信期間」を入力すれば、一定期間中広告を配信することが可能。
簡単な広告機能だけではありません。本格的に予算を充ててプロモーションを図ろうと思えば、多くの機能を追加してさらなる集客効果を実現することができるでしょう。
このように、ある程度の予算を充てて、ターゲット層の関心を掻き立てるコンテンツを作ることも視野に入れて、イベント集客を行うとよいですね。
あなたのイベントの規模と予算に合わせて、SNSでの効率的な集客を目指しましょう!
全ては最初のターゲティングが肝心!SNSとの相性を最適化してイベントを成功させよう!
なにはともあれ、全てのマーケティングにおいて根幹となるのはターゲットの属性です。
同じカテゴリのターゲットでも、属性の詳細が異なればアプローチ方法が全く異なります。
「どんな人たちに参加してほしいのか」をよく吟味したうえで、より効果的なPRをすれば、集客で最大効果が返ってくるはず。
今回はSNSマーケティングの基礎である「Dual AISAS」モデル、SNS別の利用者の属性、そして効率的な集客を図るためのプロモーション方法をご紹介しました。
ぜひ、あなたのSNSでのイベント集客に役立ててください!