編集者たるもの、撮影の時はいつでもなんでも即座に対応できるべし。たとえば、「音楽流して!」と言われたらすぐにバックグラウンドミュージックをかけなくちゃいけない。
音楽は現場の空気づくりに大切な存在だから、すぐに流さないと! でも、自分のプレイリストを流すのも恥ずかしいし……どうしようとモジモジしてる時間なんてないのに、悩んでしまうのも事実。
だから、ずっと気になっていました。
「みんなはどんな音楽で、空気づくりをしているんだろう?」
この企画では、編集者やカメラマンに、撮影で流すプレイリストの中身を教えてもらいながら、音楽を選ぶ基準・理由から大切にしている考え方を紐解いていきます。
のぞかせてくれた人は、編集者・藤岡さん
今回のぞかせてもらったのは、同じチームの先輩編集者・藤岡さんのプレイリスト。
藤岡さんが好きなものは、やさしくておいしいごはん、早朝の公園散歩、綺麗で繊細なデザインや風景。穏やかで落ち着きがありながら朗らかな笑い声で、一緒にいると心がゆるむ素敵なひとです。
そんな彼女の現場は、ビューティーやファッション系の撮影やスタイルブック制作など。女性スタッフ中心の現場が多かったみたい。
話を聞いてみると、どうやら「ビューティーやファッションのモデル撮影」「インタビュー」「物撮り」など、シチュエーションに分けて、選曲を変えているそう。
そんな藤岡さんの実際の選曲はこちら。セレクトする際のポイントと合わせてチェックしてみてくださいね。
ビューティーやファッション媒体でのモデル撮影のプレイリスト
■Missy Higgins:時代をリードする女性たち(apple music 公式プレイリスト)
「モデルさんのいる撮影では、爽やかでクリアな音楽や気分の上がる音楽などを流します。
今回紹介するのは、Apple Musicで国際女性デーを記念して作られたプレイリスト。どんな方でも聴きやすい楽曲が多いので、迷ったときはこれを流しています」
この『時代をリードする女性たち』というシリーズはMissy Higginsさん以外にもたくさんの女性が参加しているので、好みのプレイリストを探してみてください。
select point
●爽やかでクリアな音楽
●気分が上がる音楽
インタビューなどしっとりとしたムードのプレイリスト
■ Piano Diary / Henning Schmiedt
■Henning Schmiedt / Walzer
「これは撮影ではなくインタビューする時なのですが、なんとなく聴こえるな、くらいの音量で、ゆったりめのインストゥルメンタル(歌のない楽曲)などを空気と馴染むようにさりげなく流します。
堅い雰囲気にならず、心地よくインタビューを行えるようにするのがポイント」
select point
●ゆったりめのインストゥルメンタル(歌のない楽曲)
●スローテンポで優しい音楽
●ピアノ伴奏があるリラクシーなアーティスト
ひたすら編集者とカメラマンで集中する物撮りのプレイリスト
■WORLD’S END SUPERNOVA / くるり
■Maisie's Avenue / METAFIVE
■スカートの砂(RADIO MIX) / UA
■GUM / 中村佳穂
■Happy Meal / PUNPEE
■真昼に見た夢 / RIP SLYME
■Tokuten Lovers / ロロロ
「カメラマンと編集だけで物撮りをするときは、とにかく自分たちのテンションが上がって、集中できるものを選びます。だから今回のセレクトには、今の私のムードが反映されていますね」
select point
●自分がそのときハマっている曲
●HIP HOPなどしっかりリズムのある音楽
●リズムが単調で、速すぎず遅すぎないノリやすいテンポの曲
どの現場でも、皆が心地よくいられるように
モデルさんのいるビューティー&ファッション撮影、インタビュー、物撮りと、一通りのシチュエーションごとにプレイリストを教えていただきましたが、その全てには共通して落ち着くムードが漂っていました。
その場を共にする人の居心地を考えて、まさに“バックグラウンドミュージック”としての役割を果たせる心地よい音楽たちのセレクトに、藤岡さんの穏やかで現場の皆さんを気遣う姿が浮かんでくるようでした。
今回ご紹介した3つのプレイリストに、心地よいものはありましたか? 気が向いた時に、流してみてください。
編集・文・デザイン/本間綾乃(Roaster)
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