モノ消費の時代は終わる?注目のビジネス「サブスクリプション」とは

近年の消費動向は、物を手に入れる「モノ消費」から経験を手に入れる「コト消費」に変わってきています。そんな時代の変化に対応するべく、多くの企業が「サブスクリプション」というビジネスモデルに参入し始めました。

私たちの身の回りにはすでにたくさんのサブスクリプションサービスがありますが、いまいちどういう仕組みかわからない人も多いのではないでしょうか?

今回はサブスクリプションとはどんなビジネスモデルなのか、その概要や流行の理由などを紐解いていきます。

 

目次

サブスクリプションサービスとは

サブスクリプションは日本語で言えば「定額利用」という意味になります。つまり、物やサービスごとにお金を払う買い切り型ではなく、毎月継続で課金することで何度でもその商品・サービスを利用できるというもの。

毎月発刊される雑誌等の定期購読と違うのは、「契約している期間中は自由に何度でも利用できる」という利用し放題である点です。

定期購読して毎月1冊の雑誌を買うのは買い切り型と同じですが、サブスクリプションは何冊もの雑誌や書籍が読める「権利」にお金を払っていることになります。

 

「サブスクライブ」の意味

「サブスクリプション(subscription)」の語源は「サブスクライブ(subscribe)」です。

これは「寄付する」「署名する」などの意味がありますが、ビジネスの場面では「購読」「配信を受ける」「定期購入」などの意味になります。合わせて覚えておきましょう。

 

メリット・デメリット

サブスクリプションサービスは企業側と顧客側にメリット・デメリットがあります。

 

メリット

企業側は毎月の継続課金となるので、月頭で売り上げの目処が立ちやすいです。そして継続してくれる顧客が増えることで、継続的な安定収入となり得ます。

顧客側は、買い切りよりも安価なので利用開始のハードルが低いです。使えば使うほど1回あたりの金額が安くなり、お得感があります。また、モノを所有する必要もなく保管スペースや管理コストがかかりません。

 

デメリット

企業側は、サービス開始直後はユーザーが少ないため、うまく軌道に乗せないと早々と撤退する羽目に。また常にコンテンツを更新していく必要があるので、その分のコストがかかります。

顧客側は、安価で契約できるからこそアレコレ契約して費用がかさみやすくなってしまいますし、利用しなくても料金が発生するので使い方によっては損をしてしまいます。

企業・顧客両方のメリット・デメリットをふまえたうえで、企業側はサブスクリプションサービスの設計を工夫する必要があるでしょう。

 

成功にはサブスクリプションファイナンスが重要

大手企業をはじめ様々な企業がサブスクリプションサービスに乗り出しましたが、中にはすぐにサービス終了を迎えたものもありました。

サブスクリプションで成功するためには、定額利用により資金を調達するサブスクリプションファイナンスが重要になります。

単純な資金調達ではなく、顧客にリターンを与える→さらに継続課金してもらう→回収してリターンを与える→継続課金と回していくのがポイント

そのためには顧客ニーズを把握し、顧客が継続課金したくなるようなサービス設計をしていきましょう。

 

サブスクリプションモデルが流行した理由

サブスクリプションモデルが流行した背景には、時代の大きな変化にあります。

バブル時代、お金のあった消費者は高級な物を持つことがステータスだとされていました。しかしバブルが崩壊し、ミレニアル世代と呼ばれる若者が誕生してからはその価値観が大逆転しています。

不景気と言われる現代の価値観では物を所有することに対する欲求が薄れ、逆に経験を得ること、お金をかけずに日々を充実させることに重きが置かれる時代に

そんな中でサブスクリプションサービスが登場し、「買うほどじゃないけど使ってみたい(経験を得たい)」という顧客ニーズが満たされたのです。

 

ミニマリストの登場

サブスクリプションの流行を牽引したのは「ミニマリスト」と呼ばれる、無駄な物を持たずにシンプルに生きる人たちでした。

車の維持費や物の保管場所(棚の購入やより広いアパートへの引越しなど)の確保など、物を所有することはそれだけでコストがかかります。物を所有せず、だけど定額制で利用できるサブスクリプションサービスは、ミニマリストにとってかなり魅力的なのです。

 

おひとり様は「サブスク老後」も

現代では結婚に対する執着も薄れ、独身を満喫する「おひとり様」も増えてきました。

介護者や高齢の親を持つ人の課題として「実家の片付け」「遺産の処分方法」などが問題に。

そこで拠り所のないおひとり様では、将来のことを考え、サブスクリプションを活用してあまり物を持たない「サブスク老後」も注目されています。

 

サブスクリプションサービスの事例

ここで、サブスクリプションサービスの事例をご紹介しましょう。他企業のサービスを参考にし、サブスクリプションモデルの設計に役立ててみてください!

 

音楽や映画のサブスクアプリ

サブスクリプションサービスとして話題沸騰となったのが、音楽配信アプリのSpotifyやApple Musicです。以前は音楽をWebやCD等からダウンロードして聴いていたのが、ダウンロード不要のストリーミングで自由に聴けるようになった手軽さが人気となりました。

また、HuluやNetflixなどの動画ストリーミングサービスでは、映画やドラマ、アニメ、バラエティなどの番組がいつでも定額で観れるとして話題に。月額1,000円程度で好きなだけ名作が見放題というお得感があります

 

家具家電や車のレンタル

様々な家電を売り出すダイソンでは、Dyson Technology+という家電レンタルのサブスクリプションサービスを開始。また、家具のサブスクリプションsubsclifeでは、おしゃれな家具をレンタルでき、引越しの際もラクになります。

最近特に注目されているのが車のサブスクリプションサービス。「マイカー賃貸」と呼ばれるカルモでは、ホンダやダイハツなどの気になる新車を借りることができ、また途中で車種を変更することも可能です

家具家電や車などは購入するとかなり高額ですが、サブスクリプションなら月々数千円で使用・変更・停止ができるので「使ってみたいけど高額」という商品が人気の傾向にあります。

 

コスメ・食品・飲食店の利用し放題

女性にはコスメ系のサブスクリプションサービス、my little boxやBLOOM BOXなどが人気。毎月新作コスメや話題のコスメが複数個、安い価格で届きますが、「何が入っているのかお楽しみ」というワクワク感が女性のハートをくすぐっています。

また、食品店や飲食店業界も「月額○○円で食べ飲み放題」という新たなサービスを導入しているお店も増えました。六本木のフレンチレストランProvisionでは、月額3万円で高級フレンチが食べ放題、ワインも飲み放題として、準富裕層に人気です。

 

サブスクビジネスの参考本3選

最後にサブスクリプションモデルについてより詳しく学べる本を3冊ご紹介します。

 

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

サブスクリプションの入門書ならこちら。詳しく概要や市場性について実例を交えながら解説したあと、導入の手順までをわかりやすく説明しています。

 

サブスクリプション2.0 衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデル

成功事例と失敗事例を取り上げ、サブスクリプションに必要な考え方や実践方法などがマーケティング視点が書かれています。より多くの事例が載っているため、読み物としても楽しめるビジネス書です。

 

サブスクリプション実践ガイド――安定収益を生み出すビジネスモデルのつくり方


より実務に活かせる内容を学びたいときはこちらの書籍がおすすめ。サブスクリプションの導入方法から成功の鉄則まで詳しく解説されており、日々の業務のお供として活用できます。

 

サブスクリプションでビジネスの幅を広げられる

従来のビジネスモデル「売る」「買う」「借りる」の中に、新たに「定額で利用し放題」が登場しました。サブスクリプションは現代の顧客ニーズを満たし、軌道に乗れば企業も安定性が見込めるなど、両者に大きなメリットがあります。

しかし実際は失敗に終わっているサービスもかなり多く、競合も増えつつあるため、成功するには何かしらの工夫が必要となりそうです。

サブスクリプションサービスは既存ビジネスの幅を広げ、さらに収益を生み出すチャンスに。可能性を感じたならば、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか?

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