マーケティングをはじめ、ビジネスの現場でよく使われる「広告」「広報」「宣伝」「PR」…どれも何となくの意味はわかるけど、いざ並べてみると何がどう違うのかわからない人も多いのではないでしょうか?
実は、これらの中で全く同じ意味のものは1つもありません!そこで今回は、混同されがちな4つの用語の意味を紐解いていきましょう。
広告・広報・宣伝・PRの違い
よく混同されやすいのが「広告・広報」「宣伝・PR」の2セット。まずはこれらの相違点を明確にしたうえで、それぞれの用語の意味を深掘りしていきます。
「広告」と「広報」は英語と仕事内容が違う
広告は英語で「Advertisement」と言いますが、広報は「Public Relations」と「Public Affairs」の2つに分けられます。(PRとPAの違いは後の項で解説しています)
広告では、テレビ、Web、新聞、雑誌等のメディアの広告枠を購入し、そこに自社のプロモーションを掲載することが仕事です。そのため、お金のやり取りが発生します。
一方で広報では「Public(公的・社会)」という単語が使われている通り、公共性のある情報を自社媒体にて提供。情報発信の結果、お金を支払わずともメディアに掲載されることもあります。
広告と広報の違いは、以下の2点がポイントです。
- お金のやり取りの有無
- 情報提供の目的が「販促」なのか「認知や啓蒙」なのか
「宣伝」と「PR」は受け手がどう感じるかがポイント
宣伝とは、情報発信の際に、宣伝者が意図する方向へ人々を導きます。例えば高級感を感じてほしいとき、「洗練された」「選ばれた」といった単語を使ったり、視覚的なイメージに高級感溢れるものにしたりと、宣伝者自らがアレンジするのです。
一方でPRでは、あくまで客観的な事実を、中立的な立場で発信します。そこに意図的に印象を左右する要素を盛り込むことなく、受け手自身にイメージを決めさせるのです。
宣伝とPRの違いは、この2点がポイントになるでしょう。
- 情報発信者がイメージを作り出しているかどうか
- 受け手が自分でイメージを決めているか、誘導されているか
広告とは
続いて、ビジネス効果が最も高いとされる広告についてより詳しく解説します。
販促活動にダイレクトに影響する
広告では「受け手にどんな行動を取ってほしいのか?」ということまでを考えるため、企業の販促活動にダイレクトに影響します。
広告を見て買ってほしいわけなので、買ってもらうためには企業にとって都合の良い表現を使ってイメージ操作をすることもあるでしょう。イメージ操作が良い悪いというわけではなく、それがビジネスであり、広告なのです。
普通の記事と記事広告の違い
ただし、最近の消費者は広告に慣れて見なくなってしまいました。そのため、広告のPV数を増やすために、多数ある記事の中に自然に記事広告(ネイティブ広告)を入れる手法が増えています。テレビのCMでも、ドラマやバラエティ番組でも、出演者・世界観をそのまま利用して作られたCMが最近増えていますよね。
普通の記事はそのサイトの運営者等が制作したコンテンツなので、クリックで中身が読めるものであるのに対し、記事広告をクリックすると、広告主のランディングページ等に移動する仕組みです。
普通の記事の中に自然と紛れ込んでいるため、そのサイトのレイアウトや見た目を崩すことはありませんが、広告である旨を記載しないと景品表示法に違反するケースもあるので注意しなければいけません。
広報とは
広報と比べて広告の方が販促活動に効果的ですが、長期的に見ると広報も企業のイメージアップに貢献します。そんな広報について深掘りしていきましょう。
特徴と強み
広報はメディアの広告枠などを購入することなく、自社の媒体等を活用して情報を提供します。その際に扱う情報は自社商品のことでなく、企業のことや人事、社員のこと、社会貢献活動のことなどが多いのが特徴です。
商品のアピールよりもこうした公的な情報を扱うことで、消費者や求職者、ステークホルダーなどの自社に対するイメージアップに繋がるのが強み。企業そのものが持つ良いイメージはそのまま戦力にもなり得るのです。
企業が広報に使う媒体
広報活動をするために使える媒体をまとめました。
- 自社Webサイト
- 各SNS
- noteなどのWebサービス
- 社内報やパンフレット
- 月刊や週刊の社内新聞
など、デジタルからアナログまで様々な媒体を活用できます。
もし活動内容などが魅力的だと思ってもらえれば、テレビ、雑誌、他社Webサイトなど、本来は広告枠の購入が必要な媒体に無償で載ることもあります。
広報活動の例
続いて、広報活動の例もご紹介します。
- Webサイトで社会貢献活動やイベント等の様子を発信する
- Instagramで商品の活用例を見せつつ、Twitterでは社内の活動を紹介する
- noteなどのWebサービスや自社サイトで社員の声を載せる
- 社員に向けた社長メッセージ付きの社内報を発刊する
- 顧客や定期利用者に向けた新聞やパンフレットを送付する
- 社内にイベントレポートやMVPの紹介などを展示する
など、社外だけでなく社内向けの広報活動もあります。
広報って何をすればいいのかとわからない人は、ここで紹介した例も参考にしてみてください。
広報の事例
【株式会社ロースター 公式ホームページ】
株式会社ロースターのホームページでは、Works以外にも社員のBlogでイベントの様子などを公開しています。広報活動を行うと、自社アピールに繋がるので、積極的に実施していきたいですね。
宣伝とは
宣伝は情報提供者が意図的にイメージを作りだし、受け手に認知させること。しかし、下手すると企業イメージダウンになりかねないため注意点もあります。
宣伝と広告との微妙な違い
メディアの広告枠を買って出稿する「広告」と、受け手を企業の意図するイメージに誘導する宣伝。同じような用語ですが、微妙な違いがあります。
まず、広告の中には「商品を買ってもらうこと」よりも「企業の認知を広めること」を目的としたものもあります。広告の中の「商品を買ってもらうこと」を重点とした活動だと言えるでしょう。
また、宣伝は商品に対する理解を深める役割もありますが、広告は枠が決められていることから「なんとなくこんな感じのもの」という大まかな概要のイメージにとどまります。
こうした微妙な違いはあれど、突き詰めればどちらも商品購入に繋げる販売促進活動であることに変わりはありません。
ステマには要注意
商品を宣伝してもらうために、実際の利用者に口コミをお願いするマーケティング手法もあります。しかし、利用者に対して「こう言ってください」と強要するのはNG。
嘘の感想を伝えたり、それが宣伝であることを隠して口コミを依頼するのはステルスマーケティングにあたります。ステマは企業だけでなく口コミをした利用者にも悪いイメージを植え付けるので、必ず宣伝であることは明示しましょう。
PRとは
PRは単なる情報提供ではありません。情報をどう取り扱うのかという視点からPRについて解説します。
PRとPAの決定的な違い
前項で広報はPRとPAに分けられると解説しました。
まずPRというと雑誌やWebといったメディアや自社サイトなどを通して情報を提供するイメージですが、それはPR活動のほんの一部。広義では、ステークホルダー全般との関係を構築していくことがPRとなります。
広義の意味の中で、NPOや政府、地方公共団体などに向けて社会性が強い情報の提供を行うのがPAになります。
つまり、よくあるイメージのPRが商業的であれば、PAは社会的なものであるという違いがあるのです。
情報をフェアに取り扱うのが重要
商業的にしろ、社会的にしろ、PRでは情報を中立的な立場でフェアに取り扱う必要があります。
メディアを通して一方的に情報を流すのが宣伝であるのに対し、PRは受け手とのコミュニケーション。受け手はその情報を受け取ってどう考えるのか、どんな行動を起こすのかは、各自の判断に任されます。
そのため、PR活動をするときには発信者の感情や観念などによって勝手なイメージが付かないよう、事実に忠実に基づいて発信しなければなりません。
マーケティングで「何の活動か?」を把握すること
広告・広報・宣伝・PR…どれもよく似ており、混同されている場面もよく見かけます。
しかし、混同したまま使ってたり、マーケティング施策を行ったりしていると、中途半端な成果物が出来上がってしまうことも。
それぞれの意味や違いを理解し、マーケティングの場面では「今自分は何の活動をしているのか?」ということを把握しながら取り組んでいきましょう。