ビジネス、マーケティングにおける「チャネル」とはどういう意味?具体例を解説

さまざまな場面で聞くことの多い「チャネル」という言葉。基本的には「道筋」や「ルート」を意味し、ビジネス、マーケティング分野からIT、またそれ以外の業界でも幅広く用いられています。

それではどんな時に「チャネル」を使い、ビジネス、マーケティングとはどう関連しているのでしょうか?

「チャネル」について、ビジネス、マーケティング分野での役割や特徴を確認していきましょう。

 

目次

そもそも「チャネル」って何?

「チャネル」=「channel」という言葉そのものが持つ意味は多岐に及びます。皆さんがよくご存知のテレビの周波数 である「チャンネル」もここから来ています。主に次のような意味で使われています。

  1. 航路となる水路、水道
  2. 物流や情報入手のための経路、輸送(販売、移動、伝達)ルート
  3. 通信のルート(テレビなどの周波数帯)
  4. 目標までの方法や手段

他にも多くの意味に解釈できる言葉ですが、大きく道筋、方法を意味します

 

ビジネスやマーケティング分野の「チャネル」の意味

ビジネス、マーケティング分野においての「チャネル」は、上記の

2.物流や情報入手のための経路、輸送(販売、移動、伝達)ルート
4.目標までの方法や手段

の意味で使われることがほとんどです。

そして、市場活動や販売戦略を考えるうえで非常に重要な「チャネル」は、マーケティング・チャネル戦略とも呼ばれます

マーケティング・チャネルは具体的な戦略として、大きく次の3つに分けられています。それぞれの方法・戦略を見てみましょう。

 

販売チャネル

商品及びサービスを販売する方法や手法のことであり、販売する経路を意味する言葉です。販売を行う場所そのものも、販売チャネルと呼ばれます。

【例】スーパーなどの店舗や小売業者、ECサイトなど

 

流通チャネル

商品やサービスの流通ルートのこと。商品やサービスが販売者(企業)から消費者(ユーザー)へと移るための手段です。

販売チャネルと意味が似ていますが、問屋や配送・運輸業者といった外部業者を含めての具体的な手段を指す時に使われます

 

コミュニケーションチャネル

販売者(企業)から消費者(ユーザー)間のコミュニケーション、意思疎通を図るための方法や場のことです。情報が伝わるルートを意味しています。新しいところではSNS等も該当します。

【例】メディア(テレビやラジオ、新聞・雑誌など)の広告、ダイレクトメールやSNS、webサイトやweb広告等

 

チャネルの利用方法について

販売するサービスの特徴、商品の内容によって最適なチャネルは異なります。またどういった消費者(ユーザー)をターゲットとするかによっても、チャネルの使い方は変化することになります。

どんなにいいサービス、商品であっても消費者が購入し、使ってくれなくては無意味です。ターゲットを見定め、そのターゲットはどういう生活を送り、何を好み、求めているのかを仔細にわたって分析し販促に繋げる必要があります。そのためにもチャネルは大きな役割を担っていると言えるでしょう。

 

利用方法はひとつではない

さらにユーザーとの接点は複数あったほうが可能性は広がります。そのため、複数のチャネルを展開していく戦略が有効です。

例えば、実際に店舗で商品を販売しつつ、PCやスマホなどのECサイトでも販売するなど、さまざまなチャネルを利用することもチャネル戦略のひとつ。ユーザーとの接点を複数持つマーケティングの方法をマルチチャネルといいます。

 

特に重要視されるのがオムニチャネル

企業とユーザーがたくさんの接点、チャネルを持つマルチチャネルはとても有効だとお話してきました。ただマルチチャネルは、チャネル数を増やすだけで、チャネル間の連携、管理が一元化されていないという側面がありました

そのデメリットを補う形で誕生したのが、オムニチャネルです。マルチチャネルをさらに発展させたチャネル戦略になります。

 

オムニチャネル戦略の詳細

オムニチャネルの「オムニ」には、「すべての、あらゆる」といった意味があります。

つまりオムニチャネルとは、実店舗はもちろん、メルマガやチラシ、ECサイトやSNS等などネットやリアルも問わず、「すべての、あらゆる」チャネルで企業がユーザーと接点を持つ戦略のことです。

マルチチャネルと異なる点は、複数のチャネルの一元化。さまざまなチャネルの中で、ユーザー情報を統一し、ユーザがチャネルの違いを意識せず利用できるというメリットがあります。

ユーザのタイミングで商品を購入、どのチャネルでも同じような、サービスを享受できるのがオムニチャネルの特徴となっています。

 

有名企業も導入!事例とそのメリット

オムニチャネル活用の先駆けといえるのが、アメリカのMacy's(メイシーズ)という百貨店です。Macy’sは老舗でありながら、インターネットやPC普及の波に乗れず、2000年代は経営の低迷が続いていました。

そこで大規模なシステム投資を実施、店舗と自社ECサイトの壁をなくし、在庫や顧客情報の一元化に取り組んだのです。その際に発表した「オムニチャネル宣言」から、オムニチャネルという言葉か広く知られるようになります。

現在Amazonが展開するレジのない店舗Amazon Goも、アプリの活用でユーザー情報を統合でき、オンラインだけではわからなかったユーザーの特性や行動を知ることが可能になります。これも、ユーザー嗜好を深堀するオムニチャネル戦略のひとつでしょう。

無印良品もアプリである「MUJI passport」を介し、ユーザーとの接点を一元化し、商圏分析にも役立てているようです。

 

成功させるために必要なものとは

ユーザーの満足度を高める戦略として広まりつつあるオムニチャネルですが、先駆けであるMacy'sをはじめ、本当の意味でオムニ化を実現し、成功を持続させている企業はまだまだ少ないのが現状でもあります。

オムニチャネル戦略を導入するにあたって、データ連携を筆頭にシステム構築や刷新の必要に迫られることも考えられます。

またユーザーへのサービス提供をシームレスにするためには、自社の組織や部署などの垣根をなくし、チャネルを統括する横断的な役割を果たす部署の立ち上げも必要になることも。

オムニチャネル戦略は、あくまでもユーザーの利便性と自社商品・サービスの利用機会を最大化するための手段です。

まずは自社の課題とその解決策を明確にすることからスタートし、顧客へのアプローチを最適化していくことで成功させることができます。

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