なぜ反感を買うのか?企業の炎上事例集から見るネット炎上の原因と対策

インターネットにおける「炎上」とは、そのコンテンツに対して炎が燃え上がるように批判的なコメントが殺到すること。ネットやSNSを利用するうえで、マーケターが注意しなければならないのがこの炎上です。

今回は企業の炎上事例を取り上げ、炎上する原因と炎上対策について解説します。

目次

企業のネット炎上事例が後を絶たない

炎上といえば、一時期話題になったのがバイトテロではないでしょうか。一般人によるSNS投稿が炎上に至った例ですが、実は企業の炎上も後を絶ちません。

特にホームページ等のコンテンツよりも、拡散力の強いSNSへの投稿による炎上が顕著です。

炎上することで企業の信用は落ちてしまいます。消費者からの信用は企業存続における重要な要素となるため、炎上しないに越したことはありません。

出典:ネット炎上のメカニズムと法人炎上事例4パターン【2019年版】

レピュ研の調査では、毎月10件〜20件もの企業(法人)の炎上が起きていることがわかりました。2〜3日に1回はどこかの企業が炎上しているのです。

炎上してしまう原因とは

企業炎上の大半は意図して起こしたわけではありません。何気ない投稿が誰かの反感を買い、拡散され、また他の消費者の反感を集めていったのです。その結果が「炎上」です。

では、なぜ炎上してしまうのでしょうか?

その大本の原因は「配慮不足」だと言えます。直接誰かを批判していなくても、その内容を批判的に捉える消費者もおり、その何気ない投稿に傷付く人もいるのです。

SNS等のアクセス解析を確認してみてください。企業のアカウントなら数万、数十万ものインプレッションを集めていることもあるでしょう。

インプレッションの数だけ、その投稿は多くの人の目に止まっていることを忘れてはいけません。

意図して炎上させる「炎上商法」

意図して批判的な内容を投稿し、炎上させる「炎上商法」という手法があります。炎上することで多くの消費者の注目を集められるため、炎上を逆手にとってビジネスに繋げる手法です。

しかし、炎上は企業やブランドのイメージを低下させます。一時的なアクセス等の向上は見込めますが、長期的に築き上げていくビジネスには向いていません。

SNSの炎上事例まとめ【2017年〜2019年】

実際にSNSではどんな炎上が起きたのでしょうか?2017年〜2019年にあった企業のSNS炎上事例から、炎上した原因を見ていきましょう。

他社の製品に辛口値付け

シャープの公式ツイッターアカウント「シャープ製品」は、任天堂の新製品「ミニスーファミ」に対し、独自の値付けをしたツイートを投稿して炎上しました。

スーパーマリオワールド:200円
ロックマンX:0円

など、収録されている21タイトルに辛口の値付けを行ったのです。

この場合、懐かしいタイトルがたくさん収録されていたために、その世代の消費者たちの“思い出”を「かなり低い見積もりで勝手に値付けした」ことが問題。その後0円を「未購入」と修正しましたが、この対応は問題の本質を理解しておらず、炎上は止まりません。

その結果「シャープ製品」のアカウントは閉鎖となったのです。

ユーザーをネガティブイメージ化

キリンビバレッジは「午後の紅茶」のPRとしてイラストを添えたツイートを投稿しましたが、その表現が問題となり炎上しました。

  • モデル気取り自尊心高女子
  • ロリもどき自己愛沼女子
  • 仕切りたがり空回り女子
  • ともだち依存系女子

これらは「親しみを持たせるため」「あるあるネタ」という意図で投稿したようですが、共感を得るどころか、消費者からは「女性客を小馬鹿にしている」と受け取られて批判殺到。

PRしたい製品のメインターゲット層ではありますが、大切にするべき顧客を自虐ネタに使ったことがこの炎上の原因です。ユーザーを大切に扱っていないと、配慮が足りずこんな投稿をしてしまいがちです。

ツイッターで公開パワハラ

笠松競馬場の採用内定者がツイッターに投稿した内容について、笠松競馬場の公式アカウントを使って研修担当者がリプライで説教をしたものが炎上しました。

企業としては、従業員の個人SNS投稿に対して慎重になるのは大切なこと。しかしこのツイートが「ダイレクトメッセージ」ではなく、他のユーザーも見れる「リプライ」にて投稿されたことが原因で「公開パワハラ」「恥をかかせている」として炎上したのです。

従業員のITリテラシー教育をするのと同時に、教育者も感情だけに流されず、ITリテラシーを守る姿勢が必要です。

一般人のツイッター炎上事例

一般人もSNSで炎上しています。その事例として有名なのが、ローソンの冷凍ケースの中に入った画像をツイッターに投稿したもの。

冷凍ケースに入って横になった男性はお客さんではなく、なんとその店舗の経営関係者だということで、店舗の閉店まで追い込まれました。

実はローソンに限らず、一時期はコンビニやスーパーのアイスケースに入る若者が問題視されていました。

アルバイトの従業員が店内で問題のある行動をし、その様子を画像や動画に納めてSNS上で公開する通称「バイトテロ」の問題も深刻です。

自社でこんな炎上が起こらないようにするためには、従業員への教育や周知を徹底する必要があるでしょう。

ブランドの価値を低下させない炎上対策

では、企業が炎上してブランドや企業の価値を低下させないようにするには、何に気を付ければ良いのでしょうか?企業の炎上対策を解説します。

リサーチは十分に行う

データや数字といったもの投稿する際、まずリサーチは十分に行なっているかを確認しましょう。顧客は基本的に「公式」のアカウントを信用するため、投稿したデータや根拠が間違っていたら信用を落としてしまいます

ただし引用する場合には、wikiやまとめサイトなど、信ぴょう性の低いサイトを引用するのもイメージダウンに。官公庁のホームページや研究論文など、信頼のおけるソースを用意することが重要です。

デリケートなテーマは取扱注意

重い病気や障がい、宗教などはとてもデリケートなテーマです。もしビジネスや製品等に関係ないのであれば、こうしたデリケートなテーマをそもそも持ち出さない方が無難。

もし何か伝えたいことがあってこれらのテーマを取り上げる場合、取り扱いには細心の注意を払いましょう。ちょっとした認識の間違いがあるだけで多方面から批判されることになります。

モラルやマナー違反は厳しく取り締まる

企業名を一切公開していない個人のSNSであれば思考や発言は自由です。しかし企業アカウントを使って投稿する場合、それは個人ではなく企業の発言になります。

それを意識せず、個人アカウントと同じようにモラルやマナーに欠けた発言をすることは、企業のイメージに直接打撃を与えてしまうのです。

SNSはもはや"公共の場"です。モラル違反やマナー違反は企業内で厳しく取り締まりましょう。

誹謗中傷の内容は投稿しない

たとえ相手がお互いに友好な関係を築いている企業や人であっても、冗談で誹謗中傷の内容を投稿するのはおすすめできません。その投稿を見ているのは「友好な関係である」という事情をまったく知らない消費者だからです。

また、自分では誹謗中傷だと認識していなくても、消費者が「誹謗中傷だ」「名誉毀損だ」と受け取る可能性も十分にあり得ます。

投稿する前に、第三者から客観的に見てもらうことで、それが誹謗中傷だと受け取られるかどうかを判断すると良いでしょう。

ソーシャルメディアポリシーを作成

ソーシャルメディアポリシーとは、企業がSNSを利用するにあたって守るべき秩序を明文化したものです。各SNSにはコミュニティ・ガイドライン(利用のルール)がありますが、それとは別に企業も独自のポリシーを作成します。

大手企業はソーシャルメディアポリシーを作成していることが多いですが、中小企業はそうしたものを用意していない企業も多いでしょう。

ソーシャルメディアポリシーの作成、または見直しを行い、しっかりとルールと決めてSNSを運用しましょう。

炎上事例から学び、SNSを適切に利用しよう

今まで怒った炎上事件は取り消すことはできませんが、多くの事例を反面教師にしてそこから学ぶことはできます。

SNSはユーザーと良好な関係を築いていくためのもの。炎上事例から炎上の予防方法を学び、適切にSNSを利用していきましょう。

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