SNSの普及にともなってインフルエンサーマーケティングと呼ばれる手法が注目を集めていますが、詳しいことは良く知らないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、インフルエンサーやインフルエンサーマーケティングがどのようなものか、おもなSNSとの相性はどうなのかといった基礎知識を解説。さらに、実際にインフルエンサーマーケティングを行うにあたって注意したいポイントもご紹介します。
インフルエンサーマーケティングとは?
インフルエンサーマーケティングとは、製品やサービスのPRを企業が直接行うのではなく、「インフルエンサー」と呼ばれる人に行ってもらうマーケティング手法です。SNSやブログを通じて、インフルエンサーがフォロワーに対して情報を発信。その情報がネット上でさらに拡散していきます。
また、企業自身によるアプローチに比べると、製品・サービスに対するインフルエンサー個々人の感想や考え方が前面に押し出される傾向にあり、それに触れたフォロワーの認知向上や購買意欲向上が期待できるという特徴があります。
インフルエンサーマーケティングが拡大している背景には、消費者の購買行動の変化も挙げられます。最初の情報への接触から、詳細情報の調査、比較検討、最終的な購入まで、購買プロセスの多くがネット上で、さらにはSNSを通じて行われるようになっています。
まさに、こうした購買行動に適応する形で生まれたのが、インフルエンサーマーケティングと言えるでしょう。
インフルエンサーとその影響力
インフルエンサーとは、簡単に言ってしまえば「クチコミの影響力が強い人」のこと。SNSや自身のブログにおいて多くのフォロワーや読者、つまりはファンを抱えており、それらのフォロワーに対して大きな影響力を持っている人がインフルエンサーと呼ばれます。
ただし、インフルエンサーの影響力は、必ずしも知名度やフォロワーの数と比例するわけではありません。
たとえば、多くのフォロワーを抱える芸能人などは、確かに広範かつ強い影響力を持っています。
一方で、特定の小規模なコミュニティにおいてコアなフォロワーを抱える一般人は、影響の範囲こそ狭いものの、そのコミュニティにおいては非常に強い影響力を持っています。あるいは、豊富な専門知識を背景にフォロワーを抱える匿名個人のインフルエンサーなども存在しています。
インフルエンサーマーケティングにおいては、こうしたインフルエンサーの影響力を正しく理解することが重要になってきます。
インフルエンサーマーケティングのメリット
クチコミとして広告よりも受け入れられやすい
インフルエンサーマーケティングの最大のメリットが、「クチコミ情報」として広まる点にあります。
インフルエンサー各人の視点から製品やサービスを取り上げてクチコミ的に紹介するため、企業から直接発信される情報に比べて広告色が弱くなり、消費者が受け入れやすくなるのです。
また、憧れの人や身近な人の言葉の方が、広告よりも説得力があり納得感も強くなるというのもインフルエンサーマーケティングの特徴です。
情報が拡散されやすい
おもにSNSというメディアを通じて展開されるため、情報が拡散されやすいというのもインフルエンサーマーケティングのメリットです。
インフルエンサーからフォロワーへの一次的な情報発信だけでなく、それに共感したフォロワーがリツイートやいいねなどを用いて情報をさらに拡散させていくため、話題が爆発的に広まる可能性もあるのです。
ターゲティングがしやすい
SNSユーザーの多くは、興味や関心の対象が近い人や、センスが気に入った人などをフォローします。そのため、インフルエンサーからフォロワーの属性やコミュニティの特性が把握しやすく、ターゲティングも容易になります。
定量的な効果測定がしやすい
SNSやブログといったインターネットメディアを活用しているため、数値での効果測定が行いやすいのもインフルエンサーマーケティングの特徴です。「いいね」や「リツイート」「コメント」「シェア」など、反応が数値で簡単かつ確実に把握できるため、施策の評価もしやすくなります。
おもなSNSとインフルエンサーマーケティングとの相性
Instagram|写真映えする製品に最適
2017年の流行語大賞に「インスタ映え」が選ばれるなど、Instagram自身の普及とあわせて「写真映えするものと相性が良い」という認識も広まっています。
ユーザー層は男女問わず広いものの、オシャレなものやかわいいものなど、やはり若い女性ウケするものの人気が高い傾向にあります。ファッションやコスメ、料理、旅行など、写真映えのする製品やサービスをPRするためには、非常に相性の良いSNSと言えるでしょう。
また、2018年6月に導入されたショッピング機能は2019年になってインフルエンサーにも利用できるようになり、よりマーケティングに活用しやすくなっています3。
YouTube|動画ならではの訴求力の高さ
子どもが将来なりたい職業にユーチューバーを挙げるほどの人気を誇る、動画専用のプラットフォームであるYouTube。動画ならではの直感的なわかりやすさや訴求力の高さといった魅力があり、チャンネルを通じた情報発信に対する需要も高いものがあります。
より深く、詳しく製品やサービスについて知ってもらうのに向いたプラットフォームと言えるでしょう。
Twitter|リツイートによる情報拡散性の高さ
SNSとしては老舗であり、140字という制限が逆に手軽さという魅力になっているTwitter。Twitterのリツイートは、まさに情報拡散のための強力な機能であり、とくにリアルタイム性の高い情報の拡散に適しています。
期間を区切って展開するキャンペーンや、実施日が決まっているイベントなどの情報を拡散したいときに向いているプラットフォームです。
Facebook|実名ならではの安心感
InstagramやYouTube、Twitterと比べると、インフルエンサーマーケティングのプラットフォームとしてはややインパクトにかける面もありますが、Facebookには実名登録ならではの安心感という大きなメリットもあります。
また、自社のFacebookページとあわせて活用しやすいため、オフィシャル色を確保したい場合にも向いています。
インフルエンサーマーケティングを実施するときの5つのポイント
①目的にマッチしたインフルエンサーを起用する
インフルエンサーを選ぶ際には、単純にフォロワー数だけで判断すると失敗の原因になりかねないので注意しましょう。
もちろんフォロワー数も重要ですが、それ以上に「フォロワーの属性」や「コミュニティの特性」を重視することが大切。PRしたい製品・サービスとマッチするのか、インフルエンサー自身との相性が良いのかなどを基準に起用するようにします。
②プラットフォームには目的と相性の良いSNSを選ぶ
インフルエンサーの起用とあわせて、プラットフォームとなるSNSの選定にも注意しましょう。
マーケティングの目的をどこに置くのか、ターゲットにどのようにアプローチし、どのような行動を取ってほしいのかなどによって、選ぶべきSNSも変わってきます。
それぞれのSNSの特徴およびインフルエンサーマーケティングとの相性をよく考えることが大切です。
③KGI・KPIを設定して効果の測定・評価をする
効果測定が容易という特徴を活かすために、しっかりとKGI・KPIを設定しましょう。
SNSごとにインプレッションやコメント、いいね、リツイート、シェア、コンバージョンなどの数値が把握できるので、これらを指標として用います。
効果を測定し、結果を評価し、改善につなげるというPDCAサイクルを回すことが、インフルエンサーマーケティングの成功のためには欠かせない要素です。
▼関連記事
④ステマにならないようルールや運用方法を定める
インフルエンサーマーケティングの実施にあたって、とくに注意しなければならないのが「ステマ(ステルスマーケティング)にならないようにする」という点です。
企業から依頼を受けていることや宣伝であることを隠してPRを展開するステマは、いわゆる「やらせ」や「サクラ」に相当します。発覚した場合は大きな非難を浴びて炎上につながるだけでなく、場合によっては違法になることもあるため、絶対に避ける必要があります。
こうしたステマにならないよう、企業とのタイアップであることを明記する、わかりやすいタグを入れるなどのルールをしっかりと定め、運用方法についてもインフルエンサーとの間で取り決めるようにしましょう。
⑤サービス会社に依頼するときは費用の内訳も明確に
最近はインフルエンサーマーケティングを支援するサービスも多数提供されるようになっています。こうしたサービスを利用する際には、上記の①〜④のポイントを満たすサービスであることに加えて、料金体系にも注意することが重要です。
たとえば、単純にフォロワー数だけで決まるのではなく、属性や影響力を考慮した内容になっているか、あるいは効果測定などのマーケティング支援はどうなっているかなど、費用内訳を具体的かつ明確に把握した上で、目的と効果に見合う費用かどうかを判断するようにしましょう。