多くの企業は広告やSNS等を利用して、新規顧客の獲得に注力しています。しかし、新規顧客を獲得するにはそれなりのコストがかかるもの。
実はリピーターを獲得する方がコストを抑えられ、顧客ごとのLTVを上げ、そしてビジネスを安定させることが可能です。今回は顧客心理を理解して、リピーターを獲得する方法を解説します。
リピーターの作り方
リピーターとは、自分の商品やサービスを利用し続けたり、店舗なら何度もお店に通ってくれたりする顧客のことです。
すでに一度あなたのお店を利用した経験がある顧客は、その経験を元にまた利用するかどうかを考えます。良い経験をした顧客であれば、比較的簡単に2回目以降も利用するでしょう。
一方で、一度も利用したことのない顧客はどうでしょうか?
そもそも判断基準となる「過去の利用経験」がないため、利用を始めるまでのハードルが高くなります。そのハードルを飛び越えさせるため、新規顧客に対するアプローチに膨大なコストをかけ続けなければいけません。
利益を生み出し続けるにはリピーターが必要。リピーターを獲得するためにも、企業側から顧客へ何らかのアプローチをする必要があります。しかしそのアプローチは、新規顧客を獲得するときほど手間もコストもかからないのです。
リピーターの心理を理解する
リピーターになってもらうには、まずは顧客の心理を理解する必要があります。
顧客はいつでも「良い買い物をした」と思いたいもので、自分の「この商品を買った」という選択を肯定してほしいと思っています。だからこそSNSにシェアをするし、大きな買い物ほど人に話したくなるのです。
またリピーターの多くは「ディドロ効果」と呼ばれる心理を持っています。
これは例えば「ベッドを買ったから新しいシーツやカバーも欲しい」「ガチャガチャのフィギュアを全部コンプリートしたい」という欲求と同じ。
自分の生活に新たな価値観が加わることで「一貫性の原理」が働き、その価値観に合わせて生活環境や持ち物を統一させたくなる心理です。
では、逆にリピーターにならない理由は何でしょうか?商品が良くなかった、接客態度が悪かった…確かにその可能性もありますが、実はもっとシンプルに「お店や商品のことを忘れたから」が大半の理由になります。
これら3つの顧客心理を理解しておけば、リピーター獲得の道筋が見えてくるでしょう。
初来店の顧客をリピーター化するには?
初来店・初利用の顧客をリピーター化するには、まずは自社のことを忘れられないような工夫が必要です。繰り返しアプローチをしたり、SNSへのシェアを促して、帰宅後も自社のことを思い出させるなどですね。
ただ、顧客がより良い体験を得られたならそのお店のことは忘れません。期待以上に商品が良かったとか、自分の好みやニーズにマッチしたブランドコンセプトなどが良い体験を生み出します。
例えば、ブランドコンセプトが理想の価値観にマッチするインテリア店だったなら、そこで購入したキャビネットから机、ソファにベッドと揃えていく中で、何度も最初の体験を思い出し、さらに自分の生活環境を理想の価値観に近付けていくのです。
また、初来店時の接客もリピーター獲得のための大切な要素です。あなたが購入に迷っていたとき「この商品は人気で在庫はこの1点のみになります」と言われたら、つい買ってしまいませんか?
これは「やっぱり私が目を付けた商品は売り切れるほど良い物なんだ」という確信を持ち「良い買い物をした」という満足感を得られます。顧客のその感情が次回来店を促してくれるのです。
再来店のためのアイデア
では、再来店してもらうためのアイデアも合わせてご紹介しましょう。
飲食店
飲食店なら年中同じメニューではなく、季節ごとに新メニューを追加しているお店も多いですが、目や舌が肥えた消費者は新メニューだけで再来店してくれません。
そもそも初来店の顧客は知らない店内で緊張しているもの。その緊張をほぐすには、試食の商品を出したり、声をかけたりするのが有効です。
日本の飲食店では、食事中の顧客にお店側から声をかけることはほとんどありませんが「味はいかがですか?」と訊ねられるのは悪い気分はしませんし、試食をもらえればお得感もあります。
それが顧客の良い体験となり「良い店だったなぁ」と覚えてもらえるのです。
アパレル
アパレル店舗では、ブランドコンセプトがターゲット層とマッチしていれば初来店はスムーズです。しかしそこから再来店に繋げるには、何か「きっかけ」が必要になるでしょう。そこで有効なのがクーポンです。
最近はLINEで友だち登録するとその場でクーポンがもらえるお店も増えましたが、この手法により顧客にアプローチする機会を手に入れられます。定期的にLINE配信をすることで何度も目に留まりますし、そのお店が記憶に残りやすくなるのです。
メルマガよりもLINEの方が今や顧客の生活の一部となっているため、ぜひ活用してみましょう。
Web店舗
Web店舗の場合、目の前を通れば来店されるリアル店舗と違って、実際にアクセスされる必要がありますよね。そこで積極的にSNSの利用を促しましょう。
SNSを使って「口コミを投稿したら抽選で当たる」といったキャンペーンを開催する他、自社や商品に言及した投稿を見つけて積極的にコメントや拡散をするなどの活用法があります。
またWeb店舗だとしても、時にはポップアップストアを出店し、オフラインで顧客と交流するのもおすすめです。ポップアップストアはしっかり告知すれば話題を呼びやすく、オフラインの購入者をWeb店舗のリピーターに繋げることもできます。
あとひと押し!再来店を促す言葉
せっかく来店してもらったのに、何も言わずに顧客とさよならしてしまってはもったいないです。「購入してもらったら終わり」ではなく、次回に繋げるために必ずひと声かけましょう。
例えば「またお越しください」とだけ言うよりも「次は〇〇を準備してお待ちしてます」「来週からキャンペーンをしているのでぜひ来てください」と言う方が再来店率が上がります。
可能ならば相手のことを覚えておき、次回来店時には「いつもありがとうございます」「先日はありがとうございました!いかがでしたか?」と声をかけると、顧客もあなたと顔見知りになった気がして気分が良いのでおすすめです。
Web店舗の場合、商品お届けのメールに、必ずイベント情報や新商品情報を一緒に記載するのを忘れないようにしましょう。
リピーターを獲得した事例
では、他の企業はどんなマーケティングによりリピーターを獲得したのでしょうか?ここでは2つの企業事例をご紹介します。
株式会社プラスワンインターナショナル
オリジナルTシャツ制作を行なっている株式会社プラスワンインターナショナルでは、既存客に向けて定期的にメール配信を行なっています。
オリジナルアイテムは需要が発生しない限りなかなか受注が取れませんが、実はプラスワンのメール配信はタイミングが絶妙。運動会シーズンや文化祭シーズンなど、まさに需要が発生するタイミングでメールを配信しているのです。
配信頻度は多くても月に2回だけなので顧客の邪魔になることもありません。さらに配信時間を12時に設定し、会社や学校にいる昼休みのタイミングで見れるようにしているのもポイント。
顧客の目に何度も触れることも重要ですが、そのタイミングの絶妙さもリピーターを獲得すための要素になるでしょう。
参考:【事例】リピーター獲得に効果のあるプラスワンが行うメール配信 - Benchmark Email マーケティングブログ
顧客心理を理解した戦略でリピーターを獲得しよう
実はリピーターが新規顧客を連れてくることもあります。そうなればより一層コストを削減して、ビジネスを安定させることができますよね。
そんな優良なリピーターを獲得するためには、顧客心理を理解しておき、その心理に合わせた戦略を考えることが大切です。顧客へのアプローチを続け、リピート率を上げて行きましょう。