「Webマーケティングに関わっているけれど、ビジネス用語が全然わからない…」という方のために、B2B・B2Cなどのビジネスモデル用語をまとめました。EC取引の拡大に伴い、様々なビジネスモデルが生まれています。最新のD2Cも解説しています。
B2B、B2Cの意味は?
企業が扱う製品やサービスには、取引先が企業(Business)であるか、一般消費者(Customer)であるかというターゲットの違いがあります。
B2B(Business to Business)は企業間取引を意味し、企業が企業に向けてモノやサービスを提供するビジネスモデルです。たとえば医療用の薬品、産業用機械、業務用複合機など、企業や法人が使うモノを売るビジネスモデルです。
B2C(Business to Customer)は企業が一般消費者に向けてモノやサービスを提供するビジネスモデルです。たとえば家庭用医薬品、家電、家庭用プリンターなど、個人が使うモノを売るビジネスモデルです。
B2B・B2Cなどの用語では置き換えられている「2」の文字を元の「to」に戻してBtoB・BtoCと表記されることもありますが、同じ意味の言葉です。
この他にもビジネスモデルを指す言葉にはC2C(Customer to Customer)、C2B(Customer to Business)、D2C(Direct to Customer)などがあります。
ビジネスモデルの具体例
B2B・B2Cといったビジネスモデルは、仕事をする上での基礎知識といえます。
営業やマーケティングといった職種に関わらず、仕事をする上で「この取引はどのビジネスモデルに当てはまるか」を意識すると、仕事の目的や効率化も考えやすく、質の向上に繋がります。
B2Bのビジネスモデルの具体例
B2Bのビジネスモデルとして以下のような企業が挙げられます。
- インテル…パソコンメーカーにIntel CoreやPentiumといったCPUを販売
- 日本触媒…紙おむつメーカーに高吸水性樹脂(高分子吸収体)を販売
- アステラス製薬…病院に医療用医薬品を販売
B2Bは企業向けの商材やサービスを取り扱っており、ターゲットが限定されています。
たとえば多くのパソコンのCPUにインテル社の製品が使われていますが、一般消費者はインテル社の製品を買うわけではなく各メーカーのパソコンを購入します。
そのため、マーケティングにおいてもTV広告などのマスプロモーションは適していません(一時期「インテル入ってる」のCMが放映されていたので、記憶に残っている方は多いかもしれませんが、ここではB2Bのモデルとして思い浮かべやすいものをチョイス)。
特定の検索キーワードを狙ったリスティング広告や展示商談会、テレマーケティングなど、ターゲット企業に直接アプローチする集客方法が一般的です。マーケティングでは、相手企業の問題解決や自社の商材に対する深く専門的な知識が必要になります。
B2Cのビジネスモデルの具体例
B2Cのビジネスモデルとして以下のような企業が挙げられます。
- ヒューレットパッカード…インテル社のCPUを使ったパソコンを販売
- P&G…日本触媒の高吸水性樹脂(高分子吸収体)を使った紙おむつを販売
- 小林製薬…家庭用医薬品・サプリメント等を販売
B2Cは一般消費者向けの商材やサービスを取り扱っており、マーケティングにおいては消費者の認知度向上が重要になります。
ターゲット範囲が広いため、大まかなセグメントをした上でテレビ・雑誌・Web広告などのプロモーションで特定ターゲット層へのアプローチをする集客方法が一般的です。
マーケティングでは、消費者のニーズや実際に商品を使った感想など、気分・感情に対するアプローチが必要になります。
C2C・C2Bのビジネスモデルの具体例
C2C(Customer to Customer)は消費者間取引を意味します。メルカリやココナラといった個人間取引サービスが有名です。
企業は個人の販売者と購入者をつなげるプラットフォーム(アプリやWebサービス)を提供し、取引の仲介手数料が企業の利益となります。
C2B(Customer to Business)は、個人対企業の取引を意味します。B2C(Business to Customer)の逆になりますが、この表記は「販売→購入」の順番だと覚えましょう。
ブックオフやセカンドストリートなど個人の不用品を買い取る業態や、ランサーズやクラウドワークスなどフリーランスで働く個人と外注先を求める企業をつなげるサービスもC2Bといえます。
2019年に飛躍したビジネスモデルはD2C
2019年に飛躍したD2C(Direct to Customer)は、メーカーが自社の商品を消費者へ直接販売するビジネスモデルです。
古くからメーカー直販の通信販売というビジネスモデルは存在しており、再春館製薬の「ドモホルンリンクル」などが有名です。
D2Cには下記のようなメリットがあり、現在のD2Cは、実店舗を持たず自社ECサイトで直販するビジネスモデルを主に指しています。
- 流通コストなどの中間マージンを省くことで、いいものをより安く販売できる
- 自社で顧客データを獲得でき、マーケティングや経営戦略に素早く反映できる
アメリカでは2010年ごろから多くのD2Cスタートアップが登場し、アメリカN.Y.発のコスメブランドGlossier(グロッシアー)は、インスタグラムを積極的に活用して急成長を遂げたD2Cの成功事例として知られています。
日本では2019年に入ってD2Cが盛り上がりを見せてきました。いずれもTV広告などマス媒体は使わず、ターゲットを絞り込んだマーケティングを行っています。
- Home Tap…キリンが提供する家庭向けビアサーバーのサブスクリプション
- スナックミー…個別カスタマイズされたヘルシーなおやつが定期便で届くサブスクリプション
- バルクオム…インスタグラム中心に展開するメンズコスメのベンチャー企業
ビジネスモデルの違いはマーケティングの違い
各ビジネスモデルはそれぞれターゲットとする顧客が違い、それによりマーケティング手法も異なります。
たとえばB2Bは法人営業が「企業に売りに行く」、B2Cは「個人客がお店に買いに来る」ことが大きく異なります。
B2CはTVCMなどで一般消費者に広く商品を認知してもらうマーケティングが必要ですが、B2Bでは対象企業の資材調達担当者に自社製品の優位性をプレゼンしなければなりません。
またD2Cでは、顧客への直接アンケートやSNSを活用した顧客の囲い込みが可能になるため、顧客が継続して商品・サービスを愛好する「ファン」になることで、顧客自身が口コミで別の顧客を連れてくるという集客も期待できます。
このように、ビジネスモデルの違いはマーケティングの違いにもあらわれてくるのです。