mixiやFacebookが流行したのと同じ時期に「ソシャゲ」という言葉がよく使われていました。今ではあまり聞かなくなりましたが、その代わりに「アプリ」や「ゲームアプリ」という言葉をよく耳にします。
今回は「ソシャゲ」の意味とゲームアプリとの違い、そして現在のソシャゲ事情について見ていきましょう。
ソシャゲとは何のこと?
「ソシャゲ」とは「ソーシャルゲーム」の略称です。「ソーシャルゲーム」はいわゆるインターネット上、特にSNS上で提供され、SNSを通してプレイするゲームのこと。
例えばFacebookのインスタントゲームや、mixiのmixiゲームなどがソーシャルゲームです。
プレイステーションなどのゲーム機を使ったゲームとは違い、始めるときには無料でスタートできます。もっと強くなりたい、強いアイテムが欲しいといったときには、課金をして有料ガチャや有料アイテム購入などができるのも特徴です。
そしてSNSを使ったオンラインゲームですから、自分やフレンドの成績がランキング化されたり、そのゲーム専用の掲示板やコミュニティで交流できたりします。
ソーシャルゲームとゲームアプリの違い
基本無料であることやフレンドランキングなど、ソシャゲとスマホのゲームアプリの特徴はよく似ています。この2つは同じものとして混同されることも多いです。
しかし、ソシャゲは本来PC上でプレイされるものを指します。ブラウザを立ち上げ、SNSにログインする必要があったのです。
一方でスマホのゲームアプリは、iTunes StoreやGoogle Playからインストールし、スマホでプレイされるもの。中にはログインが必要なものもありますが、必ずしも特定のSNSと連携する必要はありません。
ただ、現代ではソシャゲとゲームアプリの線引きは曖昧になっています。「ソシャゲの中にPCブラウザのゲームとスマホアプリのゲームがある」と解釈されることもあるため、そこまで厳密に区別する必要はないでしょう。
ソシャゲを提供している会社
あなたはどんな企業がゲームを提供しているかご存知でしょうか?ここではPCブラウザ上で遊ぶ従来のソシャゲを提供している会社と、スマホアプリでのソシャゲを提供している会社をご紹介します。
従来のソシャゲを提供している会社で有名なのがDMM。通常のゲームと18歳以上を限定としたゲームを分けて提供しており、大人も楽しめる要素を多く盛り込んでいます。
またhange(旧ハンゲーム)ではユーザーにアバター(仮想空間の衣装)を提供し、ゲームだけでなくSNSとしてのコミュニケーションを充実させているのが特徴。
Facebookでもシンプルでどこか懐かしさのあるゲームを提供していて、複雑な構成ではないためサクッと遊べます。暇つぶしには最適です。
スマホアプリのゲームを提供している会社で有名なのはmixiです。PCブラウザ版のゲームもありますが「モンスターストライク」が大ヒットしました。
mixiの前にゲームアプリで大ヒットしていたのが、ガンホーの「パズル&ドラゴンズ」。同社はゲーム専門会社で、スマホ、PC、PS4など様々なハードで人気ゲームを生み出しています。
ソシャゲの売上が上がる仕組み
ソシャゲは基本プレイ無料となっており、無料の範囲内でも十分ゲームを楽しむことができます。しかし、それではゲーム会社が儲かりません。それでもゲーム会社が存続しているのは、売上が上がる仕組みがあるためです。
ユーザーから直接料金を受け取る仕組みは「課金」と「有料の広告削除」があります。より強い武器やアイテムを手に入れるために課金を促したり、ゲームのプレイ中に広告を表示し削除するために有料会員をすすめたりします。
しかしユーザーの課金や広告削除だけでは利益を上げるには不十分です。例えばゲーム中に他のアプリを紹介する広告が出てきますよね。そうした他社の広告を掲載することで、他社から広告料を受け取っています。
また他のサービスを提供している会社なら、ソシャゲ単体からではなく、他のサービスで利益を出し、会社全体としての売上を上げています。その売上からゲームへの予算を割いているのです。
現代のソシャゲ事情
暇つぶしにもなるし、時にはすっかりはまり込んでしまうこともあるソシャゲ。しかし現代のソシャゲ事情は、あまり順調とは言えないようです。
ソシャゲ離れと相次ぐサービス終了
同じゲームである程度遊んだら、そのタイトルから離れてしまうのは自然なこと。しかし近年、ほとんどソシャゲそのものをプレイしなくなるユーザーや、ソシャゲを引退するユーザーが増えています。
その背景には、ソシャゲ競争があります。長くプレイされればされるほど課金や広告がクリックされる確率が上がるため、ログインボーナスや期間限定イベントなどを開催し、なるベくユーザーにプレイしてもらおうとするソシャゲが増えたのです。
そんな工夫でユーザーを楽しませようとした一方で、次第にソシャゲはユーザーの生活を支配するようになります。ログインやイベントへの参加が義務のように感じられ、“遊ぶ”というよりも“作業”のような感覚に陥るのです。
それにストレスを感じたユーザーは、どれも似たようなソシャゲばかりだということに気付いて、ソシャゲそのものから離れてしまいます。ユーザーを失ったソシャゲはサービス終了せざるを得ません。
今も「モンスト」と「パズドラ」が人気の理由
それでもなおプレイされ続けているゲームも存在します。特に人気のソシャゲといえば「モンスターストライク(モンスト)」と「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」です。
それぞれ別の会社が提供しているゲームアプリですが、両者ともユーザーが飽きないような工夫がされています。
モンストはマルチプレイが可能で、遠く離れているフレンドと通信し、協力しながら遊べます。パズドラはパズル自体を面白くし、パズルが上手くなれば無課金でも十分楽しめるのが魅力。
モンストもパズドラも他のソシャゲのような“作業”感がなく、頭を使ってプレイし、SNS上でもコミュニティが形成されるほど。ゲームのプレイそのものに楽しみを見いだせるかどうかが、ソシャゲの成功の分岐点になるでしょう。
ソシャゲの次に来るもの
ところで、ソシャゲを引退したユーザーはどこへ行ってしまったのでしょうか?彼らは決して娯楽を捨てたわけではありません。
だんだんと“作業”化していくソシャゲに時間とお金を使う代わりに、いつまでも楽しめて、終わった後に虚しさが残らない趣味に時間とお金を使うようになっています。
例えばInstagramで「#カフェ巡り」とハッシュタグ検索すると、全国のカフェがおしゃれな写真と共に掲載されています。Twitterでも「ダイエット」や「ブログ」といったテーマごとにコミュニティが形成され、その中で交流を楽しむ人が増えました。
ソシャゲに飽きてしまった人はSNSを活用し、自分と同じ趣味の人や、同じ関心事を持っている人とコミュニケーションを取るようになりました。画面に向かっているといえど生身の人間を相手にしているため、そこには“作業”感も虚しさもないのです。
ユーザーの娯楽へのニーズが変化している
一時期大流行した家庭用ゲーム機からPCを使ったソーシャルゲーム、そしてゲームアプリへとユーザーの関心が移行すると共に、ユーザーの娯楽へのニーズが変化しています。
今では「基本プレイ無料」はもはや当たり前の時代。だからこそ、ユーザーに新たな付加価値を提供しなければいけません。
ユーザーの「作業ゲームはいやだ」「交流を大事にしたい」という新たなニーズに対応できるゲームやアプリの開発がこれから重要になっていくでしょう。