“自分が伝えたかったこと”と“相手に伝わったこと”がズレていて、相手が誤解していたというはありませんか?
こうしたトラブルが発生するのは、伝達力不足かもしれません。
伝達力はチームで仕事を進めるうえで重要なスキルです。
本記事では、伝達力を高め仕事上のコミュニケーションを円滑にする方法を解説します。
「伝達力」の意味と類義語
「伝達力」という言葉は、「伝達:命令や連絡事項などを取り次いで伝えること」+「力」という二単語の組み合わせです。
すなわち「相手に物事を伝える能力、スキル」という意味になります。
類義語として一番ニュアンスが近いのは「コミュニケーション力」ではないでしょうか。
それでは、伝達力の意味についてもう少し深掘りしてみましょう。
伝達力=意思を意図通りに伝える力
伝達力はただ“物事を伝える力”のことを指すのではなく、もっと踏み込んで言えば“自分の意思を、意図した通りに相手に伝える力”のことです。
例えば相手には「明日まで(今日中)に作業を完了させてください」と言ったのに、相手には「明日中に作業が終わっていれば良い」という意味で伝わってしまった。
これではあなたが意図した内容を、相手は正しく理解できていないということになります。
正しく情報を共有するには相手の理解力も必要ですが、何よりも相手の理解力不足を補うほどの伝達力の高さも重要になるのです。
英語で「伝達力」は何と言う?
「伝達」を英語で言うと「transfer」ですが、ビジネスシーンにおける「伝達」は「communicate」の方が合っています。
そのため、ビジネスシーンで「伝達力」を英語表現するなら「communication ability」と言うのが、最もニュアンスが近いでしょう。
「伝達力」の類語そして英語から、コミュニケーションを円滑にするためには伝達力が大切だということがわかりますね。
伝達力は仕事で必須のスキル
ビジネスでは“誰かに伝える”というシーンがたくさんあります。
もし伝達力がなければ、物事が間違った意味で伝わったり、取引先に深刻な誤解をさせてしまったりと、トラブルになりかねません。
特に仕事を頼んだり、割り振ったりするリーダーにとって伝達力は必須のスキル。
伝達力を高め、物事を正しく伝えられる・理解してもらえるようにしておきたいものです。
伝達力を高める方法
ではどうすれば物事を自分が意図した通りに相手に理解してもらえるのでしょうか?
伝達力を高める方法を解説します。
そもそも伝わらない理由は?
まず「なぜ相手に正しく伝わらないのか?」を知る必要があります。
- 意図が読み取りにくい
- 具体性に欠けている
- 細かすぎて逆にわからなくなる
- 勘違いさせるような言い回し
- 最も重要なことを言っていない
- 曖昧な表現ばかり
など、誰しも情報伝達のうえで“弱い部分”があるものです。
自分が相手にどうやって伝えたのかを振り返ったり、第三者にその伝え方のどこに不備があったのかを聞いたりして、自分の弱い部分を探りましょう。
それが相手に伝わらない理由です。
伝達力の基本は、わかりやすい言葉選び
伝達力を高めるための基本は、わかりやすい言葉選びを心がけること。
ときどき「コンセンサス」や「フィックス」といった横文字を頻繁に使うビジネスマンを見かけます。
外国語でビジネスをしているわけではないのなら、むやみに横文字を使うのはオススメできません。
相手が理解できない言葉を使うと、相手は文脈から言葉の意味を理解するので頭がいっぱいです。
物事を意図した通りに伝えるどころか、意図してない方向で伝わる場合も。
特に、社内や業界では当たり前の言葉でも、外部の人にとって意味がわからない言葉は少なくありませんので、注意が必要です。
まずはわかりやすい言葉で話すように心がけるだけでも、相手の理解度はぐっと高まります。
身振り、手振り、表情を使って伝える
伝達力は言葉だけの能力ではありません。身振り、手振り、そして表情といったボディランゲージも使って、相手の理解を高めましょう。
例えばジョークを言って会議の雰囲気を和ませたいとき、直立・無表情で言ってもそれがジョークだとは誰も気付かないでしょう。
ジョークにボディランゲージを加えることで、周りには「ジョークを言った」という事実がきちんと伝わります。(ジョークの内容が伝わっているかはまた別ですが)
非言語コミュニケーションに国境はありません。
それほど誰にでも伝わりやすく、理解しやすいコミュニケーション方法ということですから、ビジネスでも積極的に取り入れていくといいですね。
伝達力の5段階トレーニング
徐々に伝達力を鍛える5段階トレーニングをご紹介します。
1〜5にかけて1つずつ行うというよりも、1が身についたら1をやりながら2、2が身についたら1と2をやりながら3…というふうに、併用しながらできることを増やしていきましょう。
1.ゴールを意識しながら伝える
相手に仕事などを頼む際には、目的やゴールを意識しながら伝えるようにします。
そうすることで相手は「何を」「どのようにしたら」いいのかが明確になり、次の行動を起こしやすいです。
特に、目的・ゴール・結論を会話の冒頭に言うようにすれば、相手は何の話かをすぐに把握できます。最初に話の要点がわかれば、それに付随する情報も円滑に伝わるでしょう。
2.話の“型”を意識しながら伝える
“型”とは、文章などによく使われている「PREP法」のこと。
起承転結の型もありますが、先に結論→理由→例→結論という順番は人が物事を理解しやすい順番であり、相手の理解を手助けできます。
1でゴールを意識して最初に伝えられるようになったら、今度は話全体の流れをPREP法に沿って伝える練習をしていきましょう。
3.ポイントを強調する
目的やゴールの次に重要なポイントを、強調して伝えるように意識します。
例えば、次のゴールとポイントの場合です。
- ゴール:検討の上、返事がほしい
- ポイント:3日後までに
このように繰り返し言うことで、相手にもそれが重要であることが伝わります。
もしくは「3日後には」とその部分だけを、声音で強調して伝えるのもいいですね。
4.視覚情報を織り交ぜる
何か大事なことを伝えたいとき、そして言葉だけでは伝えきれないときには、視覚情報も織り交ぜて伝えましょう。
例えば図解や表、グラフなどの資料です。
資料がなければ、ペンとメモを用意して、簡単なイラストを書きながら説明するといいでしょう。
特に視覚情報を取り入れたいのが、会話の中に数字や計算式いくつも出てくるとき。
よっぽど数字に強い人でなければ理解しきれません。
数字を紙に書きながら説明するだけでも、相手にきちんと伝わります。
5.比喩を取り入れる
1〜4まで慣れてきたら、最後に比喩を取り入れてみましょう。「たとえ話」や「メタファー」というものです。
例えば『桃太郎』や『うさぎとかめ』などの童話は、誰もが同じ認識を持っています。
そうした共通認識のものを会話に入れることで、小難しい話でも一気に理解しやすくなるのです。
童話やむかし話には教訓が込められているもの。
社会人になった今でも活きるものがたくさんあるため、積極的に活用していきましょう。
セミナーにも参加してみよう
伝達力を高めるには実践が必要。そして実践には、他者とコミュニケーションする必要があります。
自分1人だけでは限界があるため、伝達力を高めるセミナーにもぜひ参加してみてください。
セミナーは個人向け・企業向けがあります。
企業向けのセミナーでは仕事における伝達力の向上に集中して取り組めるのでおすすめです。
もしくは、自社スタッフ育成を目的にセミナー講師を読んで自社で伝達力アップセミナーを開催するのもいいですね。
さらに“伝える力”を高める本を紹介
伝達力を高めたり、円滑にコミュニケーションを取れるようになるために本を読んでみるのも効果的。
おすすめの本をご紹介します。
伝達力 話すプロの「伝わる技術」
著者は心理学を学び、何度も講師やセミナー登壇を行った人物で、まさに「伝える達人」。
本書では人に物事を伝える「伝達力」の他、相互のやり取りを行うコミュニケーションにつても詳しく解説されており、本質に触れられる内容になっています。
伝達力・実績UP! 仕事の評価がグングン上がる人の報・連・相のワザ
「報・連・相が大事」とは言いますが、伝え方が間違っていたら意味を成しません。
本書では伝達力を高め、報・連・相を通して相手に正しく物事を伝える方法について詳しく解説されています。伝達力以外の小ネタも満載です。
1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術
いつも話がグダグダになってしまうのは、自分の中で情報をまとめられていないから。
1分で伝えたい情報を正確に伝えるためのポイントやトレーニングがこの本で解説されています。
「伝達力」は話力だけではない、ということもわかるでしょう。
伝達力を高めてコミュニケーションをより円滑にしよう
伝達力のゴールは何でしょうか?それは「自分の認識=相手の認識」と、それぞれの認識がイコールで繋がるようになることです。
伝達力を高め自分の意図通りに相手が理解してくれるようになれば、コミュニケーションが円滑になります。
そしてコミュニケーションが円滑だと、仕事の効率も上がります。
自分の“伝える力”をトレーニングして高めていきましょう!