営業活動やマーケティング活動をより効率化するものとして、高い注目を集めているインサイドセールス。
本記事ではインサイドセールスの特徴やメリットに加えて、マーケティングや営業の現場においてどのような役割を果たすかを解説。
インサイドセールス成功のポイントについてもご紹介します。
インサイドセールスとはどんな業務?
インサイドセールスとは、その名の通り内部(社内)でのセールスを意味し、内勤営業やリモートセールスと呼ばれることもあります。
おもに電話やメール、Web会議システムなどのツールを用いて、相手と直接対面せずに遠隔で行う営業を指しています。
従来のテレアポやテレマ、単純な営業サポートとは異なり、より専門的な業務としてマーケティングや営業の一部を担うとともに、マーケティング部門と営業(フィールドセールス)部門をつなげる役割も持っています。
時間や場所にとらわれない効率的な営業が可能に
インサイドセールスの最大の特徴は、遠隔・非対面ゆえの「時間や場所にとらわれずに業務を遂行できる」という点です。
従来の訪問・対面型の外勤営業(フィールドセールス)の場合、営業担当者だけでなく先方にも商談のための時間と場所を用意してもらう必要があります。
さらに、営業担当者が目的地を訪問するために要する移動時間も無視できません。
そのため、見込みの薄い相手に人的・時間的リソースを割いても、双方にとってロスが大きくなるだけの可能性もあるのです。
一方、リモートツールを最大限に活用するインサイドセールスでは、こうした時間的・場所的なロスが少なく、非常に効率的に業務を進めることができます。
これは先方にとっても同じことが言えて、わざわざ会議室や応接室を用意する必要がなかったり、場合によっては話が決まった当日中にWeb会議システムで商談を行うような展開も。
時間や場所にとらわれない業務スタイルは、働き方改革の一環としても高い注目を集めています。
フィールドセールスとは補完関係
では、従来のフィールドセールスが不要になっていくのかと言えば、けっしてそのようなことはありません。
商材の内容が複雑だったり大規模な場合などには、やはり直接顔を合わせての丁寧な説明が欠かせません。
また、高額な商品であれば、相手が信頼できるかどうかも重要なポイントになるでしょう。
信頼関係の構築という点でも、やはり従来のフィールドセールスは必要と言えます。
インサイドセールスとフィールドセールスはどちらかだけで十分なわけではなく、互いに補完する関係にあると考えるのが良いでしょう。
背景には人手不足や顧客の購買プロセス変化など
インサイドセールスが注目を集めている背景には、昨今の人材不足問題が挙げられます。
少ない人員で効率的な営業活動ができることから、人材不足を解決する要素のひとつとして期待されているのです。
また、インターネットの普及拡大にともなう、顧客の購買プロセス変化も影響しています。
購買プロセスは従来のAIDMAモデルから、ネットでの検索や調査、比較、検討が大きなウェイトを占めるAISASモデルやAISCEASモデルへと変化しています。
とくに比較・検討のフェーズにある相手に対しては、闇雲に訪問営業をかけるのではなく、インサイドセールスによって効率的な営業活動を行うことが求められています。
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インサイドセールスが向いている営業シーン
インサイドセールスはその効率性の高さから、少ない人員で大量のリードに対応できるという特徴があります。
そのため、少額の商品を大量に販売するような場合や、サービス内容が一定で説明しやすく料金も比較的安めなサブスクリプションサービスなどに向いていると言えます。
また、セミナーやイベントで獲得した大量かつ確度の不明なリードに対するフォローにも効果的でしょう。
一方で、内容が複雑な商品や高額な商品の場合は、従来どおり直接顔を合わせて信頼関係を構築できるフィールドセールスの方が適しています。
インサイドセールスに期待される役割と効果
インサイドセールスはその業務の性格上、独立した部門となることもあれば、マーケティング部門または営業部門内に設けられることもあります。
いずれにせよ、マーケティングの一部としての役割、営業の一部としての役割、そしてマーケティングと営業をつなげる役割が、インサイドセールスに求められています。
見込み客の管理と優先度の見極め
マーケティングの一部の役割として、さまざまなチャネルで獲得したリード(見込み客)の管理が挙げられます。
一口にリードと言っても、その確度(見込みの高さ)にはバラツキがあり、これをそのままフィールドセールスに渡しても効率的な営業活動はできません。
そこで、リードの管理をするとともに、より確度の高い見込み客を見極めて、どこからフィールドセールスを行うべきかという優先付けを行います。
見込み客の育成(リードナーチャリング)
また、単にリードを管理するだけではなく、より確度の高い見込み客へと育成する「リードナーチャリング」の実施もインサイドセールスに求められています。
たとえば、Webサイトに訪問した相手に対してメルマガ登録を勧め、メルマガの記事内でより具体的に商材について知ってもらう。
あるいは、セミナーに参加したりイベントで知り合った見込み客に対して、より詳細な資料を提案する。
こうしたリードナーチャリングを行いやすいのも、インサイドセールスの特徴です。
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クロージング
リードをフィールドセールスに渡すだけでなく、自らクロージングへと導くケースもあります。
先述したとおり、インサイドセールスはサブスクリプションサービスや少額商品の販売にも向いており、こうした商材の場合はインサイドセールスでクロージングまで完結させることで、より効率的な営業が実現できます。
また、遠方や海外の見込み客に対して、Web会議システムなどを活用してクロージングまで導くようなことも、インサイドセールスならば十分に可能です。
既存顧客のフォロー(アップセル・クロスセル)
既存顧客のフォローについても、フィールドセールスよりもインサイドセールスで対応した方が効率的になります。
すでにある程度の信頼関係が構築できていれば、契約の更新などであればインサイドセールスでも十分に対応できます。
あるいは、アップセルやクロスセルまで拡げることで、より効率的な売上獲得にもつながるでしょう。
フィールドセールスがよりコアな商談へと集中できるようになり、全体としての最適化が進むことも期待できます。
インサイドセールを成功させるためのポイント
インサイドセールスはメリットの多い営業スタイルですが、一歩間違えるとマーケティングとしても営業としてもどっちつかずになりかねません。
場合よっては、両者から突き上げを喰らったり、しわ寄せが来るだけの部署になってしまう怖れもあるでしょう。
インサイドセールスを成功させるためには、システムの導入や仕組み作りを含めて、既存のマーケティングおよび営業と連携を図っていくことが大切です。
MA導入などによるシステム化
インサイドセールスの展開にあたっては、ツールの導入によるシステム化が重要なポイントになります。
マーケティングに絡む業務ではMA(マーケティングオートメーション)などを、営業に絡む業務ではやCRM(カスタマーリレーションシップマネージメント)などのツールを活用することで、リードの管理を自動化したり、営業活動の共有ができるようにします。
マーケティング・営業部門との連携やナレッジ共有
従来の業務の分担が進むということは、それだけ連携の重要性が増すことでもあります。
逆に言うと、マーケティング、営業、そしてインサイドセールスの連携が上手く取れないと、かえって業務の効率や成果も低下しかねません。
導入したツールを活用することで、部門間の情報連携やナレッジの共有を図り、全体としての効率化を目指す必要があります。
属人化しない仕組み作りと社内教育
インサイドセールスの最大の特徴が営業活動の効率化にある以上、時間や工数を短縮するための仕組み作りという視点は常に忘れないようにしましょう。
従来の営業活動は属人的になりがちで、スキル面だけでなく、進め方や管理方法などの情報も共有されないことがありました。
こうした属人化からの脱却と、全体で改善していくための仕組み作りが大切なのです。
また、インサイドセールは社内での業務なので、教育や新人育成がしやすいというメリットもあります。
この点を活かして、インサイドセールスを軸として営業全般の社内教育を進めることにもチャレンジしてみましょう。