オウンドメディアを運営する目的として最も多いのは、集客や販売促進です。
しかしそんな中でも、ブランディングの効果に注目している企業もあります。
オウンドメディアでブランディングをすることで、ビジネスにどんな利益をもたらすのでしょうか?
そして、どのようにしてブランディングすればいいのでしょうか?
今回は企業事例をご紹介しながら、オウンドメディアのブランディング戦略を解説します。
オウンドメディアでブランディングをするメリット
「ブランディング」とは、ブランドに対する共感や信頼などを高め、顧客にとってのブランド価値を高めること。
オウンドメディアを通して企業のブランディングを行うことで、次のようなメリットがあります。
好感度・信頼度アップ
企業を長く存続させるために、顧客からの「ご愛顧」が必要です。
そして顧客からひいきされるためには、好感度や信頼度を上げることが大切。
高い好感度・信頼度を持っている企業には必ずリピーターがおり、継続的に売上を上げられるのです。
オウンドメディアでブランディングを行い、ブランド価値を高めるということはリピーターを生み出すことでもあります。
目に見えない好感度・信頼度は、リピーター数や売上などの数字として現れるのです。
広報活動がしやすい
オウンドメディアは広報のための媒体としてかなり有効です。
ただし、認知度の低い企業が広報活動を行ってもほとんど注目されません。
ブランディングを行えば、企業の注目度を高めることができます。
広報活動をすればSNSで拡散され、メディアに取り上げられ、さらに認知度を高め、広報活動がしやすくなるという好循環が生まれます。
採用強化にも
ブランディングによる影響は顧客だけでなく、求職者にも及びます。
ブランド価値が高まれば、企業の理念に共感・賛同する人材が増え、採用強化繋がるのです。
また事前にオウンドメディアを通して企業の理念や方針を発信して透明化すれば、入社後のギャップがありません。
企業への定着率も高められるでしょう。
ブランディングに成功したオウンドメディアの事例
ここでは、ブランディングに成功したオウンドメディアの事例を4つご紹介します。
それぞれまったく違う特色を持っているので、どのようにしてブランディングに成功したのかを参考にできるでしょう。
LIGブログ
Web制作会社LIGのオウンドメディア 「LIGブログ」を見てみると、あちこちに“人”がいます。
その正体は、LIGの社員たち。
素材画像を使うのではなく、社員を素材としてサイトのバナーやサイドバーなどを作っているのです。
LIGブログの“人”に焦点を当てた取り組みはそれだけではありません。
社員が書いたコンテンツではそれぞれの個性が強く出ており、情報を提供しながらも、クスッと笑わせてくれる工夫がされています。
まさに自由を感じさせるオウンドメディアとなっているので、LIGの社風に憧れる人も少なくありません。
ILACY
女性向けのオウンドメディアは多数ありますが「ILACY」は働く女性の不調に焦点を当て、医療や健康をテーマとしたメディアです。
運営しているのは医療施設のプロデュースや運営支援を行っている企業で、ドクター監修の記事や各科のドクターによるコラムなど、権威性・信頼性のあるコンテンツが並んでいます。
医療系メディアは無機質で小難しい内容になりがちですが、ILACYでは内容を噛み砕き、ターゲットに寄り添ったオウンドメディアになっているのもポイントです。
Red Bull
Red Bullはブランディングの一環として、スポーツや音楽などの団体に出資をしています。
それだけにとどまらず、出資した団体が行うイベントやキャンペーンなどの情報をオウンドメディアで発信。
連携企業の力を借りて、相乗効果で「Red Bull」というブランドをブランディングしているのです。
コンテンツの中ではエナジードリンクにはあえて言及せず、オウンドメディアの外部(出資した団体)からRed Bullの名前を浸透させていく工夫もされています。
THE BAKE MAGAZINE
株式会社BAKEが運営する「THE BAKE MAGAZINE」では、「他社メディアからの取材や社員のイベント出演依頼をもらう」「自社サイトから求人応募を獲得」などちょっと変わった目標を掲げています。
商品について発信するのではなく、BAKEという会社について深いところまで発信することで、これらの目標達成を目指しているのです。
その商品やサービスが出来上がるまでの過程が付加価値となり、企業や商品・サービスの価値を底上げします。
今後のオウンドメディアブランディング戦略
現代のオウンドメディアは飽和状態となっており、競合他社との戦いを余儀無くされている状態。
そんな中で抜きん出るためには、オウンドメディア飽和時代のブランディング戦略が重要です。
自社のポジショニングを決める
競合他社とまともに張り合っていては、オウンドメディアの成功は程遠いです。
そこで「戦わずして勝つ」という孫子の兵法を取り入れていきましょう。
戦わずして勝つには、競合他社とは違う視点で、違う領域を攻めること。
つまり自社のポジショニングを決めることがポイントです。
ニッチな領域でも、そこに需要があれば問題ありません。
成功すれば攻めた領域の外側にも影響を拡大できるのです。
競合分析や市場調査を行い、生き残るためのポジションを考えましょう。
ユーザーのニーズに応える
ブランディングは自社の世界観を一方的に伝えることだと思っていませんか?
それは独りよがりなブランディングであり、ユーザーのニーズを満たせていません。
スターバックスは「落ち着いた空間が欲しい」、シャネルは「自立した女性でありたい」というニーズに応えた結果、ブランディングに成功しています。
顧客や見込み客へのヒアリングなどを通してニーズを掘り起こし、そのニーズに応えるオウンドメディアを作っていきましょう。
信頼と共感を獲得する
ユーザーがその企業のファンになる瞬間は、信頼と共感を得た瞬間です。
オウンドメディアでは多くの情報を発信できますが、特に信頼と共感を獲得することを意識して情報を発信していきましょう。
そのためにはユーザー視点が重要ですし、誤情報ではないか、誰かを傷つける内容になっていないかなどの注意も必要。
あなたがユーザーなら、そのオウンドメディアに好感が持てるかを考えながら運営しましょう。
他メディアと連携する
特に立ち上げ初期のオウンドメディアは拡散力が乏しいのが課題です。
そこでSNSや広告といった、アーンドメディア・ペイドメディアとも連携することで、集客の間口を広げていきます。
特にSNSはユーザーとのコミュニケーションにも活用できる優秀なツール。
オウンドメディアはすぐにCVを達成できるような仕組みじゃないからこそ、ユーザーとの長期的なコミュニケーションがブランディングに活きてきます。
繰り返しユーザーと接触し、見込み客、そして顧客に育成できれば、おのずと拡散力が付いてくるでしょう。
運営を続けるための体制を整える
オウンドメディアの運営には終わりがありません。
そのため放置状態にあるオウンドメディアも多く、時間もコストも浪費しただけの結果に。
ただ逆に言えば、終わりがないからこそ続けることで必ず成功に近づけるメディアだとも言えます。
運営を続けるために人材や時間を確保したり、マニュアルを作ったり、予算を投下したりなどして、しっかりと体制を整えましょう。
オウンドメディアでブランディングを成功させるために最も大切なこと
オウンドメディアのブランディングに成功した事例、そして戦略のポイントについて開設しましたが、結局オウンドメディアで一番大事なこととは何でしょうか?
それは、ユーザーに価値を提供し、必要とされる存在であること。
また、そんな存在を目指すことです。
価値とは情報や教育に限らず、共感や感動、モチベーションアップなど感情の揺さぶりも含まれています。
ユーザーにとっての“自社の価値”とは何かを考え、ブランディング施策を行っていきましょう。