インターネットが普及した現代で、口コミは消費者の購買要因のひとつとなっています。
口コミには商品・サービスの売上を伸ばすだけでなく、ファン作りやブランドイメージアップにも効果があるのです。
こうした効果を得るために、口コミの広まり方を知って口コミマーケティングを実施してみませんか?本記事では口コミマーケティングについて解説します。
口コミマーケティングとは?
まずは口コミマーケティングの概要を解説します。
用語の意味と手法
口コミマーケティングとはその名の通り、消費者の口コミを利用したマーケティング手法のことです。
そもそも「口コミ」とは、消費者間で話題にされる評判や噂のこと。
井戸端会議風に伝わったり、人の口(言葉)づてに広まったりすることから「口コミ」という造語ができました。
口コミといえば自然発生的に生まれるものですが、口コミマーケティングでは「意図的に口コミを発生させて広める」ことを主旨とします。
うまくいけば消費者が他の消費者に口コミ=宣伝してくれるので、費用をかけず宣伝できるという強みがあります。
英語の「バイラルマーケティング」
バイラルマーケティングとは、商品・サービスを利用した消費者が友人や家族に紹介するように仕向け、口コミを発生させて低コストで顧客獲得や販売促進を行う手法です。
口コミマーケティングが「口コミを狙ったマーケティング手法」全般を指すなら、バイラルマーケティングは口コミマーケティングの分類の1つです。
「バイラル」とは「ウイルス」と同義の言葉で、ウイルスが短時間で一気に広まる様子になぞらえて「バイラル」の名前が付きました。
バズマーケティングとの違い
同じ口コミを利用するマーケティング手法として、バズマーケティングもあります。
人から人へと口コミを広げていくバイラルマーケティングに対し、バズマーケティングは主にSNSで利用され、爆発的にシェア(拡散)されることを狙ったマーケティング手法です。
バイラルマーケティングがゆっくりじわじわと広がる口コミなら、バズマーケティングは急速・爆発的に広がり、同時に鎮火も早い口コミです。
そして「バズ」を狙って発生させることは、口コミの発生を狙うよりも難しいと言えます。
口コミマーケティングの効果
口コミが広まれば売上アップやホームページ等へのアクセスアップといった数値に表れるでしょう。
しかし口コミマーケティングは、数値に表れない部分にも効果があります。
認知度や知名度が上がる
口コミが広まれば、今まで自社を知らなかった人にも「こんな会社があるんだ」「こんな商品を売ってるんだ」といった情報が届くようになります。
するとブランドの認知度や知名度が上がり、誰もが知るような有名ブランドになるかもしれません。
フォロワーやファンを獲得できる
口コミにより認知度が高まれば、消費者の中からSNSのフォロワーやファンになってくれる人も出てくるでしょう。
その企業や商品について情報収集をしているうちに、根強いファンになる場合も多いです。
さらに購入した人の固定客化も狙えます。そのためには良い商品を販売し、質の高い情報を提供することが大切です。
ブランドや商品の好感度が上がる
人は誰しも、自分の信頼する人が「これいいよ」と教えてくれたブランドや商品は、「本当にいいものだ」と認識します。
さらにより多くの人が「すごいよ!」と言えば、利用したことがなくても「マジですごいんだ!」と思い込むようになります。
こうしてブランドや商品に対する好感度が上がっていくのも、口コミマーケティングの効果です。
ユーザーに体験を提供できる
人は口コミをするとき「●●のおかげで何キロ痩せた」「▲▲の参考書を使って勉強してTOEICで何点取った」など、自分の経験を織り交ぜて話します。
そうした“発信”という新たな体験を得られるのです。
さらにその“発信”を聞いた人は、実際に商品やサービスを利用している自分を想像します。
場合によっては実際に商品やサービスを利用するようにもなるでしょう。
口コミを話す側、口コミを聞く側の両方に体験を提供できるという効果もあります。
口コミの広がり方を知ろう
意図的に口コミを発生させるなら、まずは口コミの広がり方を知ることが重要です。
では、人はどういった心理で口コミをしたくなるのでしょうか?
友達に教えたい
自分が触れた情報に何か大きなインパクトがあると、すぐに周りに教えたくなるのが人間です。
驚きや感動、笑いなどの感情をシェアして、一体感を持ちたくなります。
「友達に教えたい」というのは、口コミをする大きな動機になり得ます。
例えば面白いキャンペーンを開催すれば、この動機で消費者を突き動かせるかもしれません。
憧れの“あの人”になりたい・近づきたい
人は誰しも憧れる人がいて、憧れのあの人になりたい、あの人に近づきたいと思っています。
それを実現する方法として、“あの人”が使っているもの、行っている場所をなどを利用するのです。
これはインフルエンサーを使った口コミの広がり方です。
誰もが羨む存在であるインフルエンサーに商品を宣伝してもらうことで、彼ら・彼女らに憧れる消費者がその商品を購入してくれるようになります。
仲間に入りたい・仲間外れにされたくない
グループの中に入りたい、仲良しグループから仲間外れにされたくないと思ったことはありませんか?
実際にそういう感情になった経験はなくても、私たちは無意識のうちに自分や他人をグループ分けしており、自分が所属するグループに合わせようとする意識が働きます。
つまり、自分のグループの人たちがAという商品を使っていれば、その仲間に入るために自分もAを使うようになるのです。
そしてグループの仲間に「私も使ってるよ」とアピールするために口コミをします。
その口コミを見た第三の消費者が、また同じループを繰り返していくのです。
得したい、利益を得たい
安売りやお得感に弱い、という人も多いでしょう。
実はこうした感情も口コミを広げるのに役立ちます。
例えば「口コミをすれば○円引き」「口コミを投稿した人の中から抽選で○名様にプレゼント」といった言葉があれば、寄せられる口コミの数は増えていくでしょう。
いきなり口コミをもらうのが難しいという場合には「得をしたい」という感情を刺激してみるといいかもしれません。
特別感が欲しい
他人とは違う私、一歩先の私を見て特別だと思って欲しい、自慢したい…。そういった感情はいわゆる承認欲求です。
承認欲求を満たしたいからSNSに自撮りをあげたり、尖った発言をしたりするんですね。
口コミは消費者の承認欲求を満たすためのツールとなります。
新商品と一緒に自撮りをした自分、斬新なサービスを一歩先に利用してイノベーターになっている自分を演出する。
そんな消費者の心理を理解できれば、口コミを発生させることは難しいことではありません。
この戦略は上手い!口コミマーケティングの事例
最後に、筆者が「これは上手い!」と思った口コミマーケティングの事例をご紹介しましょう。

今でも忘れられないのが、2013年のはなまるうどんの「まるごとダイオウイカ天」という商品。
これはエイプリルフール企画だったので実際には発売されていないのですが、高校を卒業したばかりの筆者には大きなインパクトを与えてくれました。
「そんなの嘘だろう」とわかっていても、見た目の面白さに思わずクリックしたくなります。
7年経った今でも公開中のLPは読みごたえもあり、4月1日のための“嘘”にどれだけの労力を費やしたかが見て取れますね。
ダイオウイカ天のような本気の企画こそ、口コミを発生させられる企画なのかもしれません。
口コミが起きるとビジネスは面白くなる!
口コミマーケティングのすごいところは、費用がかかるのは最初だけで、口コミがいくら広まろうと、追加費用は発生しないところです。
そして何より、実際に口コミが起きるとビジネスはどんどん面白くなります。
口コミはいわば、消費者が自社や商品をどのように評価しているかという指標でもあります。
どのように評価されているかわかると、商品やサービスのブラッシュアップにも繋げられますよね。
ぜひとも口コミマーケティングに挑戦してみてください!