大企業の失敗例に学ぶ、テレワーク失敗の原因と対処法

2020 7/02
大企業の失敗例に学ぶ、テレワーク失敗の原因と対処法

新型コロナウイルスの影響により、2020年前半はテレワークが急激に広まる年になりました。

「新しい働き方」や「これからの生活様式」として注目されているテレワークですが、急激な環境の変化により失敗したり、なかなかうまくいかない企業も多いでしょう。

実は過去にテレワークを実施し、失敗している大企業があるのをご存知でしょうか?今回は大企業の事例から、よくあるテレワーク失敗の原因と対処法について解説します。

目次

テレワークのデメリットを無視するのはNG

通勤時間の削減や生産性の向上など、先進企業ほどテレワークのメリットに目を向けがち。その挑戦してみようという心意気は企業の成長には欠かせません。

しかし、メリットだけ見てデメリットを無視するのはNG。それが失敗の原因になることがほとんどだからです。

テレワークのデメリットをまとめました。

  • 他の社員とのコミュニケーションの機会が減る
  • 上司が成果を正当に評価しない
  • 社員の勤務態度が悪くなるリスク(勤務時間中の副業や勝手な外注など)
  • 自己管理ができず生産性が低下する場合がある
  • 将来のキャリアやビジョンを見失いやすい
  • 働きすぎによる過労のリスク

これらのデメリットをまず理解したうえで、どうすればデメリットを補うテレワーク体制にできるかのか。それ考えることが、失敗を防ぐ重要ポイントになります。

実際にあった!大企業のテレワーク失敗例

2017年には米IBMが、2013年には米Yahoo!がテレワークに失敗し、テレワークを廃止しています。どちらも大企業ですよね。

新型コロナ騒動になる前から、すでにテレワークの失敗事例は出ているのです。

どちらの事例もたった1つの要因ではなく、さまざまな要因が絡み、結果的に失敗に終わっているのが特徴。

まずはどんな失敗があったのかを見ていきましょう。

参考:米IBM、ヤフーも直面?フル在宅勤務者のマネジメント「3つの壁」

米IBMでの失敗例

米IBMは2009年より在宅勤務を取り入れ、全社員のうち40%がテレワークをしている企業として注目を浴びていました。

しかし2017年3月、米IBMではそれまで取り入れていた「フル在宅勤務」を禁止にしたのです。社員には「出社をするか、退職するか」の二択を迫ることに。

柔軟な働き方を実現することで優秀な人材の獲得ができていたものの、問題は採用の後にありました。テレワーク禁止の原因は公言されていないものの、チームでのコミュニケーション不足が問題だったと言われています。

米Yahoo!での失敗例

米Yahoo!でも積極的に在宅勤務を推進し、全社員のうち25%がテレワークを実施していました。

高い技術力を持っている企業でしたが、2013年には全社員に対しテレワークを禁止し、出社勤務に変わったのです。

米Yahoo!の場合は、テレワークでの社員の勤務態度に問題がありました。勤務時間中に副業、仕事の横流し、起業など、本業とは関係のないことや、最悪の場合社外秘が漏れるリスクを侵していたのです。

この事例はテレワーク社員のマネジメントに問題があったとして、当時は大々的に報道されました。

テレワークの代表的な失敗例と対処法

ここで紹介した大企業の失敗決して他人事ではなく、テレワークを導入した企業すべてが直面している課題だと言えます。課題に対して対策を打たなければ、失敗企業の二の舞になることも。

そこで、テレワークでのよくありがちな失敗例と対処法を解説しましょう。

自己管理ができず、生産性の低下により失敗

テレワークの失敗でよくあるのが、社員の自己管理がうまくいかず、生産性が低下してしまうというもの。在宅勤務は仕事とプライベートの切り替えができなくなってしまうのです。

米ギャラップ社の調査によると、毎日在宅or毎日出社よりも、週に3〜4日ほどの在宅勤務の方がエンゲージメントが高いという結果が出ています。

参考:テレワークは効果的か?答えは「Yes」(ギャラップ社調査)

このことから、週に何日かの出社を挟むことでモチベーションの維持や切り替えになるでしょう。テレワークといえど、出社日を決めてリフレッシュすることが成功のカギだと言えそうです。

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制度や会社の風土と合わずに失敗

古くからの社内制度が長く続いている会社の場合、その制度や会社の風土とテレワークが合わずに失敗するケースがよく見られます。

例えば「書類にはハンコを押す」のハンコ文化や「請求書や契約書は紙に印刷」の紙文化など。そもそも、上司や経営者層がテレワーク的に積極的ではない、受け入れ難いと思っている場合もあります。

そうした企業は根本から体制を変えない限り、テレワークはうまくいきません。IT技術は進化しており、電子印鑑やクラウドサイン、PDFの契約書などでも十分取引は回ります。時代やニーズに合わせた柔軟性が必要になるでしょう。

コミュニケーション不足により失敗

高度な仕事をするためにはテレワークであってもチームで動かないといけないませんよね。しかしそんな状況の中、コミュニケーション不足は深刻な課題です。孤独感が強くなるだけでなく、責任の所在が不明になり、トラブルに発展する場合もあります。

こうしたテレワーク中のコミュニケーション不足や弊害は、コミュニケーションツールを取り入れたり、ちょっとした社内企画を開催することで解決する場合があります。

一人で引きこもらず、抱え込まず、積極的に交流することでしかコミュニケーション不足は解消されません。

働きすぎによる失敗

意外とよくあるのが、社員が働きすぎて過労になることです。テレワーク中でも家事や買い物などプライベートな時間を取る人も多く、正確な労働時間がわからず、夜遅くまで働いてしまうことがあります。

過労で倒れることのないように、在宅勤務者はしっかりと仕事とプライベートの時間を分ける必要があるでしょう。仕事の時間にプライベートな用事を入れてはいけません。

また管理者側は、タイムカードやパソコンの計測ツールなどを利用して正確な労働時間を計るのも大切。

厚生労働省が発表した『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン』でも時間外労働などについて詳しく解説されているため、目を通しておくといいでしょう。

参考:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン|厚生労働省

セキュリティ対策の甘さにより失敗

本来は社外に持ち出してはいけない資料や情報を、テレワークでは社外に持ち出さなければいけないケースもあるでしょう。セキュリティ対策が甘いと情報漏洩などのトラブルを引き起こしかねません。

セキュリティ対策の甘さで失敗する原因は主に2つです。

  • ツール不足(個人パソコンで仕事をする、脆弱なセキュリティ対策ツールしか使っていないなど)
  • リテラシー不足(カフェ等で離席した間に画面を見られて社外秘が漏洩、うっかりSNSに機密事項をアップなど)

まずはちゃんとしたツールを導入すること。そしてテレワーク開始前に、社員にテレワーク研修を受けさせるようにしましょう。

適切なマネジメントができず失敗

上司や経営者、マネージャー側の管理不足で失敗する例もあります。

例えば社員の労働の様子を確認するために、社員にWebカメラを設置させ、監視するというやり方。一見するときちんと管理しているようにも見えますが、実は社員は監視されることがストレスとなり、生産性の低下に繋がっているのです。

また、社員の姿が見えづらいために、上司がきちんと評価ができないという事例も。自分の頑張りに対し正当な評価を受けないと、社員は不満を募らせたり、勤務態度が悪くなったりします。

正当に評価するためには、従来の定性評価(たくさん残業したなど)から定量評価(こなした仕事の量や成果物の量)に切り替えましょう。

定量評価であればカメラを設置する必要もなく、社員にも「どこまで頑張ればいいのか」という明確な指標ができます。

失敗は成功の元。過去から学んでテレワークの改善へ

過去にテレワークを禁止した米IBM・米Yahoo!も、現在は再びテレワークを再導入しています。自身の失敗から学び、改善をしたのです。

これからテレワークを導入する企業、もしくはすでに導入している企業も、他社の失敗から学べることは多いはず。「失敗は成功の元」として、自社のテレワーク環境を改善していきましょう。

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