プレスリリースは企業から新商品や新サービス、取り組みなどの情報提供を行うもの。効果的なプレスリリースを配信すれば、メディアからの取材や掲載などのチャンスが掴めます。
しかし、報道関係者の元には毎日数十・数百のプレスリリースが届くため、効果的でないプレスリリースを配信しても埋もれてしまい、見向きもされません。
本記事では効果的なプレスリリースの作り方を「企画」「書き方」「送り方」の3点から解説します。
プレスリリースとは広報活動のための素材である
効果的なプレスリリースを配信するために、「プレスリリースは広報活動のための素材」だと考えましょう。
企業が配信したプレスリリースをもとにして記者が記事を書いたり、取材してテレビで放送したりします。メディアに取り上げられることで、認知拡大や売上アップなどの反響が出ますよね。
プレスリリースは広報活動をするための素材になり、反響を得るための第一歩となります。
【企画する】プレスリリースのネタを考えよう
メディアは常に斬新で面白いネタを探しています。「プレスリリースはネタがすべて」だと言っても過言ではありません。
そこで、メディアが取り上げたくなるような企画の考え方をご紹介します。
誰に向けたプレスリリースか
近年は報道関係者だけでなく、一般消費者や取引先企業、ステークホルダーなどもプレスリリースを見るようになっています。
立場が違うならプレスリリースを見る目的も違いますから、誰に向けたプレスリリースなのかをはっきりさせ、読み手ニーズに応えるものを作る必要があります。
またメディア関係者に読んでもらう場合でも、ニュースメディア・バラエティ番組・女性向け雑誌など、様々な種類があります。どんなメディアに取り上げてもらいたいのかを明確にしたうえで、そのメディア関係者が興味を持ちそうな企画を考えていきましょう。
何のためのプレスリリースか
「何を目的としたプレスリリースか」もしっかりと決めておきましょう。メディアに取り上げられることを目的としていても、もっと具体的にどんな効果が欲しいのでしょうか?
- 新商品・サービスの宣伝をして売上アップ
- 認知拡大をしてブランディング
- 資金調達
など、突き詰めていけば様々な目的がありますよね。
「誰に向け」「何のためか」の2つはセットで考えることで、プレスリリースの大まかな概要が掴めるでしょう。
ネタ=価値!面白い企画の考え方
プレスリリースの価値は「どの大企業が出しているか」ではありません。プレスリリースの価値はネタで決まります。つまり、個人経営の小さな企業であっても企画次第にメディアに取り上げられるのです。
プレスリリースの企画を考えるには、とにかくアイディアをたくさん出す必要があります。100個のアイディアを出して1つか2つプレスリリースに落とし込めれば上出来です。
なるべくアイディアの精度を高めるために、次の6項目を基準に考えてみましょう。
- 希少価値:その企業にしかないもの、限定的な価値
- 時流:世の中の関心ごとや流行
- 新規性:時代の一歩先を行ったテーマ、目新しいもの
- 季節性:その季節に合わせた情報
- 将来性:その商品・サービスの持つポテンシャルを、数値で表したもの
- 実利・実益:消費者の役に立つ・得をする情報
【書く】プレスリリースを書くときのポイント
プレスリリースを書くときには、文章のうまさは必要ありません。重要なのは構成と記載する内容です。
プレスリリースを書くときのポイントを解説します。
一目で内容がわかる構成にする
報道関係者は毎日大量のプレスリリースに目を通します。プレスリリースのチェックだけに時間を割くわけにはいかないので、ほんの数秒で取り上げるべき企画かを判断します。
そこで、一目で内容がわかる構成にしましょう。プレスリリースの構成は次のように作ります。
- タイトル
- 要約
- 見出しと詳細、背景、特徴
- 企業情報、お問い合わせ先
タイトルに直下に要約を置くことで、隅々まで読まなくても大まかな内容が伝わるようにします。見出しをつけて流し読みできるようにするのも有効です。
要約の書き方
要約とは、要点を短く端的にまとめたものです。長すぎては「要約」になりませんよね。文字数は400文字、長くても500文字以内に収めるのが適切です。
読み手はタイトル→要約の順に読みます。タイトルで興味引きつつ、要約ではプレスリリースの重要な箇所をかいつまんで説明するようにしましょう。
「重要な箇所」とは言い換えれば「(読み手が)魅力的だと感じる箇所」のこと。読み手の立場になり、どこを要約に入れればいいのかを考えてみてください。
FACT重視で書く
プレスリリースはFACT(事実)重視で書きます。具体的には「大人気の」とか「魅力的な」といった抽象的な形容詞を使わないことを意識しましょう。代わりに具体的な数字やデータを出すのがいいですね。
そこに企業側の感情を入れてしまうと、どちらかに偏った感情を読み手に与えてしまいます。プレスリリースの内容に対して「どう思った」かの判断は、読み手に委ねましょう。
また情報の正確さも重要です。プレスリリースは企業自身が発信する情報なので、信頼性が高く、一次情報として重宝されます。イベント開催の日時や商品名が間違っているとそのまま誤った情報が伝わり、企業の信頼性が落ちることも。
この2点をふまえてプレスリリースを書きましょう。
ビジュアルや添付写真も意識しよう
読み手はプレスリリースのビジュアル面もチェックしています。具体的には、商品の写真やイメージ画像、さらに代表者の顔写真、資料となるグラフなどです。
特にテレビ関係者は「どんな画が撮れるか」を常に考えながら、多くの企画を検討しています。企画の面白さはもとより、やはりビジュアル要素がテレビの面白さを左右するためです。
プレスリリースは添付写真などのビジュアル要素も意識すると、メディアからの取り上げやすさが変わりますよ。
メディア別の効果的なアプローチ方法
プレスリリースの送付先メディアによって効果的なアプローチ方法が変わります。ここでは、各メディアで有効なアプローチ方法をご紹介しましょう。
テレビ
先ほども解説した通り、ビジュアル要素を強く押し出しましょう。そのほかには、番組や企画ごとに適したプレスリリースを送るのが有効です。
「写真+企画に適した内容」という組み合わせで、番組ディレクターは「どのシーンでどの画を撮る」という構成やディレクションのイメージがしやすくなります。
新聞
新聞は一般的に「ニュース」を取り上げるメディアですが、実は経済部・医療健康部など部署によって取り扱うテーマが異なります。新聞社ごとにトンマナが違うのもポイントです。
企業がプレスリリースを出すなら企業活動面や経済面など、プレスリリースの内容と親和性の高い部署や新聞社に向けたものにしましょう。
雑誌
雑誌はジャンルが明確に分かれているため、プレスリリースの内容と親和性の高い雑誌を選びます。ただし雑誌の場合、紙面で紹介されているのは2〜3ヶ月先のネタです。企画が上がってから紙面に出るまでにはもっと長い期間を見なければいけません。
例えば1月にバレンタインに関するプレスリリースを送っても手遅れです。1月にはすでに春〜夏の企画が始まっています。
雑誌にプレスリリースを送る場合には、かなり余裕を持って企画提案する必要があるでしょう。
Web媒体
Webでプレスリリースを配信しているメディアは、とにかく量が必要です。同時に情報の鮮度も重視しており「1週間前のネタ」では意味がありません。
例えば上場したことを知らせるなら、上場日当日か翌日にはプレスリリースを送らないといけないのです。
またWeb媒体はスピード性を重視しているため、いちいち取材する時間がありません。プレスリリースを送る際には添付画像も充実させておくとスピーディに掲載できますし、相手方も助かります。
【送る】プレスリリースの効果的な送り方
いよいよプレスリリースが完成したら送るだけ!ですが、実は送り方にもコツがあるんです。
送信先は慎重に選ぶこと
「プレスリリースの内容と親和性の高いメディア」という点で、慎重に送付先を選ぶのが基本。
加えて、「出版社」や「報道機関」宛てではなく部署やディレクター(個人)宛てにして送ると目を通してもらいやすくなりますよ。
読まれやすいタイミング
プレスリリースが記者やディレクターに読まれやすいタイミングもあります。
画像引用:https://www.value-press.com
週始まりの月曜日は溜まった仕事で忙しいためか、あまり読まれません。だいたい木曜日〜金曜日くらいになると、読まれやすくなるようです。
土日は休日とするところが多いためほとんど読まれませんが、逆に「仕事がない土日にまとめて読み、平日に企画に落とす」という人もいます。
個人のさじ加減で変わる部分ですが、読まれやすい曜日を狙って送るのもいいかもしれませんね。
プレスリリースは送り続けるべし
一度プレスリリースを送ったくらいでは、何の音沙汰もないでしょう。しかし送り続けることでプレスリリースの精度も高まりますし、報道関係者もあなたの会社名を覚えてくれます。
知っている会社名があれば「どれ、見てみよう」となるのが人間。一度や二度で送るのをやめるのではなく、何度も送り続けてどんなプレスリリースなら反応を得やすいかをチェックしてみてください。
プレスリリースはメディア目線で書くことが大切
プレスリリースは自社の案内や紹介だからこそ、自分目線で書いてしまいがちです。
しかしメディアは自社とは違った視点で物事を見ていますから、プレスリリースはメディア目線で書くことが一番大切。
それを心に留め、効果的なプレスリリースを配信しましょう!