発信力を高めよう|自分の思いが周りに「伝わる」ようにするには

近頃よく聞くようになった「発信力」という言葉。その背景には、SNSの活用が広がり、個人が注目されるようになってきたことが挙げられます。しかしそもそもこの「発信力」は、一部の個人やインフルエンサーだけが持っているものではなく、社会で働く人なら誰しもが持っている力です。

今回は「発信力」の定義を明確にしたうえで、発信力を高める方法をご紹介します。自分の考えを周りに伝えたい人はもちろん、ビジネスの基礎力を上げたい人もぜひ参考にしてみてください。

目次

結局、「発信力」って何のこと?

「発信力」とは読んで字のごとく、発信する力のこと。そして「発信」とは、外部に向けて送り出すことを意味します。

ですが、これだけでは「発信力」が具体的にどんな力なのか分かりにくいですよね。まずは発信力の定義をしっかり押さえておきましょう。

発信力の高さ=SNSのフォロワー数?

「発信力」と聞くと、「自分の意見を通す力」「より多くの人に自分の考えを広める力」というイメージをする人も多いです。

中には、「発信力の高さ=SNSのフォロワー数」と認識し、発信力が高い人=インフルエンサーと勘違いしている人も。

しかし、本来発信力とは数値ではかれるものではありません。フォロワー数という数字に現れることもありますが、全体を見るとそれは副次的な数字でしかないのです。

社会人基礎力として定義された「発信力

社会人基礎力とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力と、12の能力要素から構成されており、経済産業省が2006年に提唱しました。

この図によると、発信力は「チームで働く力」に分類され、社会人なら誰にでも求められる能力といえるでしょう。

本来の発信力の意味は、「自分の考えを周囲にわかりやすく伝える力」。

ただ一方的に押し付けるのではなく、周りの意見も聞きながら、自分の意見を伝え、しっかりと理解してもらうことこそが発信力です。

参考:社会人基礎力(MET/経済産業省)

チームで発信力を活かすためには?

「社会人基礎力」の図を見てもわかる通り、チームで働くために発信力が必要とされています。チームメンバーと対面で会話するとき、発信力は重要です。

ただ、今はほとんどのコミュニケーションがデジタル化されている時代。特にメールやメッセージアプリ、SNSなどによるコミュニケーションが増えており、自分の考えを文章・画像・動画等で伝えなければいけません。リモートワークが広まったことで、コミュニケーションのデジタル化はさらに加速しました。

だからこそ、「自分の考えを周囲にわかりやすく伝える力」である発信力の重要性が高まっています。」「どうすれば相手に伝わるのか」を意識し、発信力を高めていきましょう。

発信力が高い人の特徴

あなたの周りに「発信力が高いなぁ」と感じる人はいませんか?

発信力が高い人には、次のような特徴があります。

相手に伝わりやすい言葉・手段で伝えている

発信力が高い人ほど、伝える相手によって伝達方法を工夫しています。人によって前提も違いますし、理解力の高さも違うため「どうすれば相手に伝わるのか?」を大切にしているのです。

大人に話すのと同じ要領で、5歳の子供とは話しませんよね。子供に対して話すときは、誰でも無意識のうちに簡単な言葉を選んで、声音を高くして、ゆっくりと話します。

相手に伝わりやすい言葉や手段で伝えるからこそ、物事を理解しやすくなり、「発信力が高いなぁ」と感じるのです。

論理的に話せる

発信力が高い人は、論理的に話せる人が多いです。「論理的」とは、「きちんと筋道を立てて考えるさま」のことをいいます。

社会人は、自分のアイデアや考えを伝える際、「なぜその考えに至ったのか」の理由を説明して納得してもらう必要があります。

論理的に話せる人は、物事1つ1つを筋道立てて話すことができるため、相手も理解しやすく、さらに説得力があるため、納得してもらいやすくなります。

このことから、論理的であることは、相手に伝わりやすい、ということになります。

堂々としている

発信力が高い人がどこか堂々として見えるのは、きちんと自分の言葉で話しているからです。

どこからか引っ張ってきた言葉や他人の言葉に頼っていると、自分の中に確信が持てないまま話すことになります。そうではなく、しっかりと自分の頭を働かせて絞り出した言葉を使っているため、自信を持って話せるのです。

また、わからないことは徹底的に調べ、理解したうえで発信するという特徴もあります。

周りのニーズを把握しているからこそ、ニーズに対しての答えが出せる

自分の意見だけを主張して、他人の意見は通さない。こんな人は「発信力が高い」とは言えません。

先ほど挙げた「社会人基礎力」の中には「傾聴力」「状況把握力」も入っています。高い発信力を持っている人は、総じてこうした他の能力も併せて持っていることが多いです。

周囲の意見をきちんと聞き入れたうえで発信し、指摘されれば自分の間違いもきちんと認められる。相手が何を求めているのかを考え、それに対する答えが出せる人は、発信力が高いといえるでしょう。

自ら行動し、周りを巻き込む力がある

発信した言葉を裏付けるのは、その言葉を発した人の経験値です。経験もない人の言葉よりも、経験者が発した言葉の方が重みがありますよね。

そのため、発信力が高い人は行動力もあります。常にいろんなことを経験し、経験値として貯めておきたいと思っているから「行動しよう」と思うのです。

そのように、自ら行動している人をみると、周りも「ついていきたい」と思うでしょう。『ワンピース』のルフィや、『鬼滅の刃』の竈門炭治郎などがその代表です。そんな人が発する言葉には耳を傾けたくなります。結果として、周りの人を巻き込む力があるといえます。

発信できない人の特徴は?

とはいえ、なかなか「発信力があがらない……」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。もしかしたらこのようなことがないか、自分自身を振り返ってみるtと良いかもしれません。

・そもそも、「伝えたい」事柄への知識が不足している
・「何を伝えたいのか」が自分の中でまとまっていない
・「間違っていたらどうしよう」「他の人と違っていたら」など、伝えたあとのことを考えて不安や迷い、恥ずかしさがある

これら以外にも、あなたが理想とする発信力のある人と何が違うのか、どこが違うのか、を考えてみるのも良いでしょう。あなたが何ができていないのか、何が足りないのかを客観的に見つめてみてください。

発信力の鍛え方

発信力が高い人の特徴から「どんな人になればいいのか?」というイメージがついたのではないでしょうか?

ここからは、発信力を鍛える方法をお伝えしましょう。

発信力を鍛えるためにはまず、発信の目的を明確にし、発信の方向性を定めることが大切です。そうして軸ができると、発信がブレなくなり、発信力を高めることができます。

「なぜ発信したいのか?」を明確にする

目的もなく発信していたって、その思いは誰にも届きません。まずは「なぜ自分は発信したいのか?」を明確にしましょう。

  • 自分の意見をはっきりと言えるようになりたい
  • 人との意思疎通をスムーズにしたい
  • 尊敬されるような人になりたい
  • 仕事で成果を出したい
  • SNSで有名になりたい

どんな目的・理由でもいいですし、人間ですからそこにエゴやちょっとした下心があってもいいでしょう。

自分の「欲求」を最初に言語化することが、発信力を高める第一歩です。

発信の下準備をする

目的が明確になったら、次は発信の下準備をします。

実は、発信力が高い人こそ陰で下準備を徹底しているのです。最初から発信力が高い人はいないため、これまで紹介してきた、発信力が高い人の特徴を踏まえながら、下準備を行いましょう。

・相手が知りたい情報(ニーズ)は何かを調べる
・根拠を示せるようにきちんと調べる
・話すことを前もって順序立てておく
・堂々と話す練習をする

いきなり発信を始めるのではなく、不安な人は発信の下準備を徹底的に行いましょう。

発信する場を作る

発信する場を意識的に作りましょう。発信する場は自分で作らない限り、向こうからやってくることはありません。

特に、仕事では業務以外の会話をほとんどしない、一人暮らしが長くて会話をする相手が少ない人は要注意。気付けば「人に自分の意見を言うのが怖い」という感情を持っているかもしれません。

  • SNSを始める
  • ブログを書く
  • プロジェクトに参加する
  • 企画を提案する
  • 自分から立候補する

発信の場は、デジタルではもちろんリアルでも作れます。思い切って行動してみましょう。

自分自身の意見・考えを深める

自分の中にある意見や考えはそのままにせず、さらに深めてみてください。そのためにまずは、受信力を鍛える必要があります。

具体的には、Webから情報を集めたり、人から話を聞いたり、誰かの意見を聞いたりするのです。相手の話を聞いて傾聴力を高め、自分の経験値をあげていきます。

次に自分に向けて「なぜ」「どうして」と深堀りしてみます。

例えば、Web記事で「女性はもっと社会進出すべきだ」という意見を見つけ、「その通りだ!」と納得したとします。しかし、なぜ社会進出すべきなのか、どうして男が働く・女は家事の世の中じゃダメなのか。

このように「なぜ」「どうして」と突っ込まれたとき、口ごもるようでは、まだまだ自分の意見・考えではありません。どんどん深掘りしていくことで、それが本物の「自分の意見・考え」になっていくのです。

相手を意識して話す

しっかりとした意見を持っていても、自分のことしか見えていないのでは、発信力があるとは言えません。伝える相手を意識して、相手の気持ちや立場なども考慮しながら話しましょう。

人はそれぞれ違った性格やバックグラウンドを持っており、それらが世の中の“個性”を形成しています。つまり、全員が同じ考えを持っているわけではないのです。

「女性はもっと社会進出すべきだ」という意見を、女性に言った場合と男性に言った場合では、まったく違う反応が返ってくるでしょう。この意見をしっかりと伝えるためには、女性には共感を得る伝え方が、男性には論理的な説明が必要になるのです。

指摘してもらう

他人に指摘されること=悪いことではありません。確かに指摘されればつらいこともあるでしょう。しかし、「他人からの指摘」は自分が成長するためには必要な経験なのです。

指摘されることが少ない人は、誰かに話を聞いてもらったり、自分が書いたものを読んでもらったりなど、意見をもらう機会を作ってみてください。

わかりにくいところ、理解しづらいところを指摘してもらうのに加え、他人の意見・私見を聞けるチャンスにもなります。

伝えるために常に工夫する

自分が持ってる情報をそのまま相手に伝えるだけでは、実は相手には伝わりません。なぜならそれは、ただ情報を「右から左へ受け流しているだけ」だからです。伝えるためには、伝える「工夫」をすることが大切です。例えば以下のような工夫をしてみてください。

・専門用語など相手にとって”わからない””難しい”言葉を、わかりやすい言葉に言い換える
・数字やデータ、具体例などの根拠を添える
・5W(いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ)、1H(どうやって)を考慮し、論理的な構成で話す
・「私が伝えたいのは◯◯です」のように、初めに結論を話す

あなたが持っている情報はいわば、素材です。素材をそのままコピー&ペーストするだけでは、何を伝えたいのかがわかりません。今持っている情報を調理することが伝えるためには重要となります。「私が伝えたいのは◯◯です。その理由は◯◯です。まず〜」など、並べ替えるだけでも、伝わりやすさは変わってきます。

継続して発信する

いちばん単純なのに、いちばん難しいのが継続することです。

発信を始めたばかりの人には、最初は誰も見向きもしないかもしれません。しかし継続することで、あなたの意見に耳を貸す人がだんだん増えてくるのです。これは、実際に発信、そして継続をしてみないとわからないことですよね。

継続がつらいと感じたときには、誰かの意見・考えに対して、自分の意見をコメントしてみてください。賛成意見はもちろん、勇気があれば反対意見も伝えてみましょう。

誰かの意見に自分の意見を乗せて発信することで議論が生まれ、発信が楽しくなるはずです。

発信力を高めることで「伝える力」から「伝わる力」へ

発信力は、ただ自分本意に意見を言う力ではなく、周りの人に「伝わるように」発信する力のこと。この力はSNSユーザーだけでなく、ビジネスマンにも必要なスキルと言えるでしょう。発信力が高まれば、自分の意見をうまく伝えられるようになったり、相手との認識の違いも少なくなります。

ここで紹介した内容を、少しずつ実践しながら発信力を鍛え、「伝える力」から「伝わる力」を育てて行きましょう!

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