日本庭園とは?おさえておきたい有名な庭園

自然を楽しむと共に、手軽に伝統美や日本文化に触れられるのが日本庭園の最大の魅力です。

日々の疲れを癒してくれるのもまた、庭園の魅力の一つ。まずは、そんな日本庭園の魅力と基礎知識からご紹介していこうと思います。

目次

庭園の魅力と基礎知識

”日本庭園はどのような鑑賞の仕方をすればよいのか” ”日本庭園とはどういうものなのか”と思う方は少なくないと思います。そこで色々な基礎知識をご紹介していこうと思います。

庭の種類は大きく分けて3つ

日本庭園は大きく分けて「池泉庭園(ちせんていえん)」「枯山水(かれさんすい)」「露地(ろじ)」の3種類に分類できます。

池泉庭園

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日本庭園で最も多い様式であり、庭園の中心に池を配置し3つのタイプに分かれます。平安時代に貴族達が舟を浮かべて移り変わる庭園を楽しむ池泉舟遊式。平安時代後期から鎌倉時代には書院などから眺める池泉鑑賞式や、園内を歩きながら楽しむ池泉回遊式へと変遷。金沢の兼六園や岡山の後楽園など、江戸時代に全国の大名たちによって造営された庭園にも、この様式が多く見られます。

  • 枯山水

この様式は、水を一切使用しないのが特徴です。敷き詰めた砂の紋様や石組みによって、海や波、島など自然風景や宇宙を表現し、その配置などを工夫することで雄大な自然の景観を想像させる効果があります。無の境地を目指す禅の趣が影響を与えた飾り気のない閑静な庭園です。

https://images.app.goo.gl/ziXFe9R54g7n5wc3A
  • 露地

安土桃山時代に千利休が大成した茶の湯から生まれた様式です。一般的に、飛石、蹲踞、腰掛、石燈籠などが配されています。露地は茶室に付属していることから茶庭とも呼ばれ、茶室への通り道としての役割を担っていました。

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おさえておくべき4人の作庭家

庭園全体を監修し、コンセプトを構築し、様々な職人に指示をして一つの世界感をつくりあげていく立場の人を「作庭家」と言います。つまり、庭園デザイナー/庭園ディレクターです。意識して同じ作家の庭を見るのも面白いと思います。共通点や違いなどを楽しむことが出来ますし、その様な見方をすることで自分の好みの庭を見つけることが出来るかもしれません。

  • 鎌倉・室町時代:夢窓疎石

世界遺産の庭園を複数手がけた禅僧。後醍醐天皇から与えられた「夢窓国師」の名でも知られます。

代表作であり世界遺産にも選ばれている天龍寺庭園、西芳寺庭園(苔庭)をはじめ、多くの寺院を開いた鎌倉、京都、修行の場でもあった甲斐国(山梨県)などに主に作庭としたと伝わる庭園が残ります。中には都から離れた四国・高知の「竹林寺庭園」(国指定名勝)というのも夢窓疎石が手がけた庭園と伝わります。

  • 江戸時代:小堀遠州

江戸時代初期に徳川家康に仕えた大名であり、茶道「遠州流」の祖。小堀遠州の作庭と伝わる庭園は、出身地である近江国(滋賀県)を始め、藩主を務めた備中松山(備中高梁)、そして江戸時代に政治の中心であり多くの建築を手掛けた京都・江戸、そして駿府・遠江国(静岡県)に比較的多く集まっています。

  • 明治時代:7代目 小川治兵衛

7代目 小川治兵衛は庭好きにとっては避けて通れない近代庭園の作庭家です。財閥の家や別荘などの庭園を数多く手がけた人。近代日本庭園はこの人無しでは語れないという現代日本庭園にとっての最重要人物とも言える人です。平安神宮の庭園は植治 初期の庭。中国の四神をモチーフにしているそうです。

  • 昭和時代:重森三玲

日本庭園の研究家として全国の庭園を調査し、その後自らも数多くの庭園を手がけたのが重森三玲。歴史を踏まえながらも新しいモダンな構図の日本庭園を作り上げています。庭好きだけでなくデザインやアート好きにもファンが多い庭園作家です。

4人の有名作庭家をさらに深掘り

夢窓疎石

  • 西芳寺庭園“苔寺” (京都府京都市)
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西方寺の庭は上下二段にわかれており、上段は枯山水式、下段は黄金池を中心にした池泉回遊式庭園です。西芳寺は応仁の乱で焼失され、江戸時代には2度に渡る洪水により荒廃した歴史があり、上段の枯山水庭園が苔に覆われたのはその頃からと言われています。この庭園を埋め尽くす苔の種類は120種を超えるといいます。どちらの庭園も国指定特別名勝・史跡に指定され、西芳寺は「古都京都の文化財」としてユネスコ世界遺産に登録されています。

  • 天龍寺庭園(京都府京都市)
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天龍寺は、京都の禅寺を代表する格式高い寺院「京都五山」のひとつで、その中でも"第一位"に数えられたお寺。日本最初の史跡・特別名勝に指定された「曹源池庭園(そうげんちていえん)」をはじめ、美しい風景と禅寺ならではの静謐な雰囲気が体感できるとして、多くの人が参拝に訪れています。

創建当初、室町時代の面影をよく残していると言われるのが“曹源池庭園”。嵐山・亀山を借景とした池泉回遊式庭園は、夢窓疎石作庭と伝わる中では最も規模も大きく優美・雄大な代表作であり、日本国内で最初の国特別名勝・特別史跡のうちの一つ。建物から見て広大な池の中心部に滝が組まれていて、その石組や自然石の石橋、池の中に浮かぶ岩島もこの庭園の見どころの一つです。

小堀遠州

  • 金地院 鶴亀庭園(京都府京都市)
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この枯山水の庭園は、小堀遠州が設計し、庭作りの名人・賢庭が実際の作業を指揮して、1632(寛永9)年頃に完成させた。遠州が細部に至るまで細かい注文を出し、賢庭がそれを忠実に実現したと言われている。縁側に立って庭を眺めると、前方には広い白砂の海(宝船とも)が見える。名前の通り、白砂で広大な海を表し、鶴島と亀島を浮かべた蓬莱神仙思想に基づいた鶴亀庭園となっており、国指定の特別名勝庭園の一つにも数えられる。

  • 長楽寺庭園“満天星の庭”
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岩座を借景として眺めみる池泉鑑賞式庭園。「光岩寺 長楽寺」(ちょうらくじ)は平安時代に弘法大師空海により開かれたと伝わる寺院。この庭園は静岡県指定名勝で、同じく小堀遠州作庭で井伊家の菩提寺「龍澤寺庭園」と並び“遠州三名園”の一つに挙げられます。

小川治兵衛

  • 慶沢園(大阪府大阪市)
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「慶沢園」(けいたくえん)は大阪の南のターミナル駅・天王寺駅からすぐの天王寺公園・天王寺動物園の一角にある日本庭園。
大正時代に日本の三大財閥“住友財閥”住友家の本邸の庭園として、武者小路千家の茶人・木津聿斎の設計の下、七代目小川治兵衛により造園されました。大阪市指定文化財(名勝)。現代においてはあべのハルカスの借景やハルカスのリフレクション(水鏡)も楽しめる大規模な池泉回遊式庭園。数多く名庭園を手掛けた小川治兵衛の庭園の中でも「平安神宮神苑」と並ぶ規模で、“大名庭園をモデルとした”と言われているように、洲浜など他の小川治兵衛の庭園にあまりない特徴も。

  • 円山公園
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「円山公園」(まるやまこうえん)は明治時代に造園された京都市最古の都市公園。公園中央の“祇園枝垂桜”が有名な京都の代表的な桜の名所であり、東山へと続く地形を活かした池泉回遊式庭園のような姿。国指定名勝とされている。坂を下れば国宝『八坂神社』や祇園の繁華街。北には「高台寺庭園」に「圓徳院庭園」、南に行けば国宝「知恩院」と京都有数の観光エリアにして市民憩いの場になっている。

重森三玲

  • 光明院庭園“波心庭”(京都府京都市)
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「光明院」(こうみょういん)は京都を代表する寺院の一つ『東福寺』の塔頭寺院。枯山水庭園“波心庭”、“雲嶺庭”があり、秋には紅葉の名所としても人気を集めています。

創建は室町時代前半の1391年(明徳2年)。時は流れ1939年(昭和14年)、重森三玲によって主庭の“波心庭”が作庭されました。
この年は東福寺本坊に「東福寺方丈庭園”八相の庭”」が作庭された年でもあり、八相の庭とは兄弟的な存在で重森三玲の初期の傑作と言えます。庭園背後の斜面一面に植わっているサツキ。これは作庭以前よりあったものだそうで、これらを刈込として雲と見立てるところから発想し、正面のみならず三箇所に三尊石組を配しつつ、海を表した曲線的な白砂の中に多数の石が配されています。

  • 本覚院庭園
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「本覺院」(ほんがくいん)は高野山真言宗の別格本山の寺院・宿坊。石庭“不二の庭”をはじめ、“蓬莱の庭”“積翠観”“北翠庭”“池泉庭”と5つの庭園があります。一面の苔庭の中にトレードマークとも言える青石の立石による三尊石組が配された庭園で、廊下・通路に沿って270度からの視点を楽しめる。傾斜がある元々の地をそのまま活かし、通路を歩きながら視点が上下することを意識して作庭された枯山水庭園。

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