毎年、各地で行われる器好きにはたまらないイベント「陶器市」。ひとくちに陶器市といっても、その規模や期間、品揃えは異なり、地域や陶器市ごとの特色があります。今回はそんな陶器市ごとの見どころをご紹介いたします!
陶器市とは~大規模なものから地域密着のものまで~
在庫商品を整理するために安値で販売する、「蔵ざらえ」の名目で開かれることがあり、普段よりも器がお手頃に買えるのが陶器市の魅力のひとつ。また地元の名産を盛り上げる目的もあり、町をあげてのお祭りとして長い歴史のあるものが多いです。
陶器市は、「一つの会場に全国から器が集まる陶器市」と、「その地域の器が集まる陶器市」の大きくわけて2種類あります。
一つの会場に全国から器が集まる陶器市
器に興味はあるけど「○○焼」って言われてもよくわからない…という方にぴったりなのが、このタイプの陶器市。
大きな会場に、日本各地からさまざまな窯元が集まるので、器に関する知識が少なくても楽しめます!お気に入りの産地や窯元を見つけるには、まずこのタイプの陶器市に足を運ぶのがオススメです。
特定の地域の器が集まる陶器市
有田や備前など器の産地で、その土地の窯元を集めて開かれるタイプがこちらにあたります。すでに好みの産地が決まっている方は、このタイプがオススメ。器とはまた別に、出店が楽しめたり、地域によっては打ち上げ花火があがったりなど、地元のお祭りとしての側面もあります。
一つの会場に全国から器が集まる陶器市
全国大陶器市【全国各地で通年開催】
やきものの文化を広める目的で、年に20回ほどさまざまな土地で開催されています。日本各地の都市公園を中心に、仮説テントを設置し、1週間から10日間ほど行われています。
見るだけはもちろん、商品の値切り交渉をするなど、売り手や作り手とのコミュニケーションも楽しみ方のひとつ。有田焼、波佐見焼、萩焼、伊万里焼、万古焼、九谷焼、瀬戸焼、常滑焼、備前焼、美濃焼、信楽焼、唐津焼、三川内焼、笠間焼、益子焼 壺屋焼が、約50万点ほどズラリと並びます。アイテムはどんぶり、土瓶、小皿、大皿、深鉢、小鉢、醤油差し、湯のみ、茶碗、抹茶碗、土鍋、猪口、徳利、箸置き、傘立て、花瓶、壷などなど。
300円〜1.000円が中心価格の日用品だけでなく、業務用食器、日展作家や伝統工芸作家、人間国宝作家などの美術品など豊富な品揃えがあります。一年かけて全国を巡回するので、近所で開催されたタイミングで行けるのがオススメポイントです。
【開催地・開催時期】年間予定は公式サイト参照(https://dai-toukiichi.com/)。
次回は愛知県 豊田スタジアム駐車場陶器市特設会場、2023年1/21(土)~1/29日(日)
10:00~17:00 (最終日29日は16:00まで)
【入場料】 無料
全国陶器まつり【全国各地で通年開催】
1週間から10日間ほどを1回とし、年に20回前後、日本各地の商業施設の駐車場や、神社の境内などで開催されています。扱われる器は有田焼・伊万里焼・美濃焼・常滑焼・信楽焼・波佐見焼・瀬戸焼・万古焼・備前焼・壺屋焼・萩焼・つが野焼・河内人形焼などで、約50万点あまり。人間国宝や伝統工芸作家が作ったものから、日用品、業務用の食器に至るまで、さまざまな用途に使える器と出会えます。
こちらも全国大陶器市と同じく全国を巡回する陶器市なので、気軽に行きやすいですね。
【開催地・開催時期】年間予定は公式サイト参照(https://www.touki-matsuri.com/index.html)。
次回は宮崎県宮崎神宮東神苑、1月21日(土)~ 1月29日(日)
10:00 ~ 17:00
【入場料】 無料
信楽作家市 【滋賀・ 2023年5/2(火)〜5/5(金)】
「信楽作家市」は2023年で17回目の陶芸市。毎年5月2日〜5日の4日間、滋賀県立陶芸の森にある太陽の広場で、開催されています。2022年は全国から145人の作家が参加し、来場者は4日間で5万人を超えました。
全国からものづくりに励んでいる陶芸作家さんを中心に募り、展示即売をするイベントです。 作家からプロの技術を教えてもらえるワークショップも楽しみ方のひとつ。
【開催地】 滋賀県立陶芸の森(太陽の広場)
【開催時期】 2023年5/2(火)〜5/5(金)
【入場料】 無料
西日本陶磁器フェスタ【福岡・9月中旬】
1979年(昭和54年)の第1回開催以来、2023年で45回目の開催となります。陶芸をテーマとした総合的な展示会としては草分け的な存在です。全国から150を超える作家や窯元が出店しています。
器だけでなく、家具やお酒の販売コーナーがあったり、陶芸やそば打ち体験ができたりなどイベントが盛り沢山。西日本陶芸作家展という新作公募展も同時開催されます。
【開催地】 西日本総合展示場 新館・本館(中展示場)
【開催時期】2022年9/15(木)~19(月) (2023年の日程はまだ未定)
【入場料】 当日600円(高校生以下無料)前売400円(ローソン・ミニストップ・ファミリーマートで販売)
その地域の器が集まる陶器市
有田陶器市【佐賀・2023年4/29(土)~5/5(金)】
日本三大陶器祭りのひとつで、毎年4月29日~5月5日に開かれる「有田陶器市」。九州を中心に、全国からやきものファンが約120万人も集まるビックイベントです。
昔、有田はお遍路さんの通り道だったため、彼らに向けて半端物や傷ものをざるやかごにいれて販売していました。1896年(明治29年)、深川栄左衛門と田代呈一によって陶磁器品評会が開かれ、同時に開催されるようになった蔵ざらえ大売出しが有田陶器市のルーツと言われています。
JR有田駅から上有田駅の間の約4kmの通りに、約500店舗が軒を連ねます。同時期に、「有田国際陶磁展」、「伊万里・有田焼伝統工芸士展」、「有田陶芸協会展」がなど、焼き物の一大産地ならではのイベントも開催されるので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。
波佐見陶器まつり【長崎・ゴールデンウィーク】
ゴールデンウィーク開催され、約150店の窯元やメーカーが集まり、約30万人が訪れる人気の陶器市。通常の3~4割引での器の販売があり、まとめ買いするのにオススメです。
器の生地を型にはめ成形する過程を味わえる、生地鋳込み体験やろくろの実演、有料の絵付体験やなど、ものづくりの楽しさを実感できるイベントも豊富。購入に対する抽選会もありますので、どうぞお楽しみに。
有田陶器市と同時期の開催のため、有田駅周辺と波佐見陶器まつりの会場を結ぶ有料のシャトルバス(500円)が運行しているので、陶器市のはしごするのはいかがでしょうか?
【開催地】 本会場 長崎県波佐見町石郷やきもの公園
第2会場 波佐見・有田IC 駐車場
【開催時期】2022年4/29(金)~5/5(木) (2023年の日程はまだ未定)
【入場料】 無料
笠間の陶炎祭【茨城・2023年4/29(土)~5/5(金) (予定)】
1982年(昭和57年)に笠間芸術村の空き地で、36軒の窯元たちが始めた陶炎祭(ひまつり)。今では茨城県内で活動する笠間焼の作り手や販売店が参加し、200を越える窯元と約50万人の来場者が集まります。茨城県笠間市は、焼き物の産地として関東の中で最も古い歴史を持つといわれ、この土地で焼かれた器は「笠間焼」と呼ばれています。型にはまった製法がないことから、作家ごとに作風が異なるところが特徴です。
開催初期から続く出店者が作った土面のオークションや、ぐい呑み1000個展など、個性豊かなイベントも盛り沢山。会場中心にあるメインステージでは、ライブパフォーマンスにクイズ大会、ワークショップなども開催され、祭りを盛り上げています。
【開催地】 笠間芸術の森公園イベント広場
【開催時期】 2023年4/29(土)~5/5(金) (予定)
【入場料】 1日500円 [18歳以下無料(高校生まで)、障害者無料(付き添いの方1名含む)]
益子陶器市【栃木・春:2023年4/29(土)~5/7(日) (予定) 秋:11月初旬】
1966年(昭和41年)から始まり、50年以上の歴史のある陶器市。毎年、春のゴールデンウィークと秋の11月3日前後に開催されています。販売店約50店舗の他、約600軒のテントが立ち並び、伝統的な益子焼はもちろん、カップや皿などの日用品に美術品まで幅広い器が販売されています。
器だけでなく地元の農産物や特産品の販売も行われ、春と秋の開催あわせて約60万人の人出があります。
【開催地】 栃木県芳賀郡益子町内各所(城内坂、サヤド地区中心)
【開催時期】春:2023年4/29(土)~5/7(日) (予定)
秋:2022年11/3(木)〜11/7(月) (2023年の日程はまだ未定)
【入場料】 無料
土岐美濃焼まつり【岐阜・2023年5/3(水)~5/5(金) (予定)】
飲食用食器生産量日本一の「土岐市」にて開催され、愛知県のせともの祭、佐賀県の有田陶器市と並ぶ日本三大陶器まつりのひとつで、毎年10万人が訪れます。
土岐市北部には、有力な産地陶磁器卸商社が集まる土岐美濃焼卸商業団地があります。その団地が「織部ヒルズ」と名前を変え、主催しているのがこの陶器市。「お気に入りが見つかる陶器の倉庫街」こと織部ヒルズ各社による倉庫開放や、併設ショップに30社が参加。歩行者天国となる道路には、1km以上に渡りテントが連なり、例年の200を超える出店者が集まる、東海地方最大規模の陶器市です。
【開催地】 岐阜県土岐市泉北山町内 織部ヒルズ(土岐美濃焼卸商業団地)
【開催時期】2023年5/3(水)~5(金) 午前9:00~午後5:00
【入場料】 無料
せともの祭【愛知・9月中旬】
日本三大陶器祭りのひとつ。江戸時代に、九州から瀬戸に磁器の技術を伝え「磁祖」として祀られている、加藤民吉翁をたたえる産業祭として1932年(昭和7年)から始まりました。2023年で92回目を迎え、お祭り中の2日間には、数十万人の来場者で賑わいます。
器がずらっと並ぶ「せともの大廉売市」をはじめ、陶芸教室からヒーローショー、夜には打ち上げ花火までさまざまなイベントが同時開催。大人から子どもまで楽しめるようになっています。
【開催地】 愛知県 名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」周辺及び瀬戸市内
【開催時期】2022年9/10(土)、11(日) (2023年の日程はまだ未定)
【入場料】 無料
小鹿田焼 民陶祭【大分・10月中旬】
300年つづく小鹿田焼の窯元が集まる集落、小鹿田焼の里。10月の第2土曜・日曜に、小鹿田焼の里で作陶をしている全9軒の窯元が、お皿や湯飲み、花瓶などを軒先に並べて販売する「民陶祭」が開催されます。1962(昭和37)年に始まり、例年、県内外から約1万人の来場者が訪れています。
窯によっては1000点を超える器が、この日のために焼かれ、普段よりもお得な価格で提供されています。2020年以降、時世によってお休みが続いていますが、来年は開催されますように。
【開催地】大分県日田市源栄町皿山 小鹿田焼の里
【開催時期】10月の第2土曜、日曜(2023年の日程はまだ未定)
【入場料】無料
どの陶器市でも、きっとお気に入りの器と出逢えるはず。器好きな方はぜひ一度、足を運んでみてください!