コロナ禍の今、「茶割」が提供する『無償弁当』とは!? お茶業界の風雲児の挑戦に迫る

今や飲食店はトレンドの火付け役。コト主義が重視される現代において、Instagramに投稿したくなるような“映える”料理やスイーツ、2019年の流行語大賞トップ10入りを果たしたタピオカなど、飲食店が時代を作っていると言っても過言ではない。今回のゲストは、そんな“ブーム”を生み出す人気の居酒屋「茶割」。100種のお茶割りと100種の唐揚げを自分好みにセレクトできるこちらの飲食店では、ユニークなのはそのコンセプトだけではない。

新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が日に日に深刻さを増しているなか、そんな情勢も逆手にとって、様々な挑戦を続ける「茶割」。今回は、そんな同店オーナーの編集力に追っていく。

※感染予防対策を講じながら細心の注意を払い、取材・撮影を実施しております。

多治見 智高(たじみ・ともたか)

1990年1月生まれ。株式会社サンメレ 代表取締役。 2016年9月に「茶割 学芸大学」を創業。その後目黒、代官山と店舗を拡大。『お茶割りを日本発のワールドスタンダード』にするべく、お茶割りの魅力を伝えている。

茶割

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100種のお茶割りと100種の唐揚げ(代官山店は唐揚げではなく100種のフライドチキン)を楽しめる飲食店。学芸大学・目黒・代官山で展開している。雑誌やメディア、NETFLIX『テラスハウス TOKYO 2019-2020』やテレビ朝日系列『マツコ&有吉 かりそめ天国』などの人気番組で紹介されたことも。

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「茶割」が提供を始めた0円メニュー、『無償弁当』とは?

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、昨今では経営も厳しい飲食店。日に日に緊迫感が増していくなか、失業者や大幅に収入が減少した人を対象に“無償”でお弁当を提供し始めた飲食店がある。

それが目黒、学芸大学、代官山に店を構える飲食店「茶割」だ。同店では、2020年4月16日から5月6日までの間、『おまかせ弁当』の無償提供を始めた。提供場所は「茶割 学芸大学」と「茶割 目黒」の2店舗。期間中は毎日12時〜19時まで、タダでお弁当がもらえるという、嘘みたいな本当の話! ちなみに、本日のラインアップは、名物の『唐揚げ』や『煮穴子の天ぷら』、『出汁巻卵』や『きんぴらごぼう』など数種のおばんざい、そしてお茶で炊いた『茶飯』と、バラエティ豊か。今にも飛び出してきそうなほどぎっしりとおかずが詰まっているボリューム満点のお弁当は、持ち上げるとずっしりと重たいほど。

なぜ無償で弁当を配ることを始めたのか、そもそも『無償弁当』とはどのようなサービスなのか、「茶割」オーナーの多治見さんに話を伺った。

 

―外出自粛が要請されてから、飲食業界・外食産業は厳しい経営状況が続いていると思います。そんななか「茶割」が『無償弁当』を提供するに至った理由は何だったのでしょうか?

オーナー・多治見智高さん(以下、多治見) 政府から緊急事態宣言が発表されて、おっしゃる通り世間では「飲食店が大変だ」と話題になっていますよね。私たち「茶割」も、もちろん大ピンチです。しかし、新型コロナウイルスの影響から失業された方、大幅に収入が減った方など、他にも困っている人はたくさんいらっしゃいます。そんな方々に、生活に必要不可欠な食の負担を少しでも減らせるようにと思いを込めて、『無償弁当』の提供を決めました。

取材中は新型コロナウイルス感染予防のため多治見さんもマスクを着用。水玉柄のマスクがオシャレ。

―素晴らしい試みです。しかし、無償とは思い切りましたね。なぜ誰でも無料でもらえるようにしたのですか?

多治見 そうですね。誰が失業したとか、減給したとか、追求しないとわからないじゃないですか。なので、原則ひとりひとつですが、全員に配っています。それに、お役所的なルールを定めるとシステムが煩雑になりすぎてしまうので、厳密なルールは設けていません。ただ、わざわざ電車に乗って来られるような遠方からの来店はご遠慮いただいています。あくまでも対象は学芸大学店や目黒店の近隣にお住まいの方です。

学芸大学店では、お茶で炊いた『茶飯』、目黒店では『出汁炊きご飯』を提供。また、ご飯の有無も選択できる。

―なるほど。無償で配ろうと思い立った、きっかけとなる出来事はありましたか?

多治見 新型コロナウイルスが猛威を奮い出して状況が深刻になり始めた頃、自分自身、医療関係に従事している友人や、弁護士の知人に助けられた機会がありました。そのとき、自分も何か世の中のためになることはできないかと考えたんです。そこで、生きていく上で欠かすことのできない“食”で助け合いの輪を広げようと思ったのがきっかけです。

実際周囲からの反響はあって、先日はいつも懇意にしていただいているお客様からお米をいただきました(笑)。他の方からエナジードリンクを1ケースいただいたこともありました。有り難いです。でもそうやって、困難なときこそ支え合って助け合って生きていけたら、素敵ですよね。

「茶割」は100種類のお茶割りが楽しめる新感覚の飲食店。

様々な種類のお茶、お酒を選んで自分好みのお茶割りにカスタマイズできる。ご提供画像

―心温まるエピソードですね。ところで「茶割」は普段はどのようなお店なのでしょう。

多治見 「茶割」は、100種類のお茶割りと100種類の唐揚げを提供している居酒屋です。お茶割りという飲み物をもっと多くの人に楽しんでもらうために始めました。10種類のお酒と、10種類のお茶を自由に組み合わせて、お好みのお茶割りを作ることができるシステムです。

お茶割りのメニュー表。縦がお酒、横がお茶のメニューで、1つずつ選択することで全100種のお茶割りが楽しめる。ご提供画像。

唐揚げのメニュー表。こちらは縦が味やトッピング、横が鶏肉の部位になっている。全種コンプリートするために通ってしまいそう。ご提供画像。

―お店のコンセプトも面白いですよね。実は私も何回か飲みに行きましたが、どのお茶割りもすごく美味しいし、何より食事に合うと思いました。

多治見 そうですね。食事に合う、厳選した質の良いお茶だけで作っているので、普通のお茶割りとは一味違いますよ。この状況が落ち着いたら、是非ご来店ください。

熱量が落ちないうちに、アウトプットしていきたい。

―お茶割り、飲みたくなってきました……。そういえば先日、「茶割」のInstagramを拝見したのですが、『無償弁当』以外にも様々な取り組みをされていますよね。

多治見 そうですね。最近だと、料理長による『料理配信』をインスタライブ(Instagramのライブ配信)で行いました。同時期にレシピも公開したので、プロの味をご家庭で楽しむことができますよ。

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また、キッチンスタッフによる『料理対決』や、ゲストを招いた『遠隔料理教室』も配信しました。『遠隔料理教室』は、現在も毎晩20時から「茶割」料理長のInstagram( https://instagram.com/chawari.chef )で公開しているので、是非ご覧ください。毎日違うゲストに出演してもらい、料理してもらっていますよ。

―面白いですね! 誰もが家での過ごし方を模索しているであろう今、Instagramで気軽にチェックできるコンテンツは、ついつい見てしまいそうです。

多治見 そうですね。あとはちょっと視点を変えて、経営面でも今後新たな取り組みを考えています。

ひとつ目が、生鮮食品EC「クックパッドマート」への出店です。「クックパッドマート」とは、野菜などの食材を非対面テイクアウト・宅配システムでお届けする生鮮食品のネットスーパーのこと。これまで「クックパッドマート」では食材の生産者だけが出店をしていたのですが、事業部本部長である友人から新たに飲食店も出店を募集するという情報を入手。その後プレスリリースが発表され、直ぐに動き出しました。

しばらくの間、外出自粛ムードがおさまらないと仮定すると、必然的に飲食店へ足を運ぶお客さんは減っていってしまいます。今後どのようにデリバリーやテイクアウトに力を入れようかと考えていたところだったんです。

そんな経緯があって、「茶割」でも「クックパッドマート」で生鮮食品を受け取れるようにして、さらに「茶割」3店舗の料理も購入できるシステムを導入しました。4月30日より「クックパッドマート」にてご注文可能ですので、是非利用してみてくださいね。

―ピックアップ、宅配の2つの手段から利用できるサービスなんですね。

多治見 もうひとつは、それとは逆にこの状況が落ち着いた後、お店でゆっくり食事してもらえるようなサービスを導入します。『chash(チャッシュ)』というオンライン商品券の販売です。例えばスターバックスのカードのような、お金をチャージして使えるプリペイドカードです。設計や運営面の専門的な仕組みは、株式会社ポケットチェンジさんのシステムを使わせてもらいました。1,000円からチャージできて、スマホをかざせば簡単に決済も可能。5月7日からリリースするので、是非チェックしてみてください。

―緊急事態宣言が出てからまだ日が浅いのに、かなり様々なことにチャレンジされていますよね。

多治見 そうですね。アイディアが生まれて、情報が集まり次第、すぐにアウトプットしたいと思っています。時間が経つとその分、企画に対する熱が冷めて鮮度が落ちてしまうじゃないですか。思いついたら即行動に移したいし、行動に移してくれる人と仕事する機会が多いかもしれません。

厳しい状況こそ逆手にとって。これからも「茶割」の挑戦は続く。

―優秀なスタッフに囲まれているんですね。多治見さんの取り組みは、我々の考えるところの“編集”とも密に関わってくるような気がしていて。多治見さんにとって編集力とは何だとお考えですか?

多治見 難しいですね。情報を収集する力は企画を世に出す上で大切ですよね。さらに、自分一人では何もできないので人を巻き込む力も必要だと感じます。自分は料理の知識は皆無ですが、その他の情報を店のために収集することはできます。その情報を料理人に見せて、実現できるかどうか確認したら即実行に移しますね(笑)。いろんな人を巻き込んで、いろんな情報を精査しながら判別していく。その力は、前職で携わっていたデザインや広告業で養われたと感じています。その経験が今の店舗運営にも役立っているとも感じますね。

世の中では何が求められているか、その情報を正しく収集し、すぐにアウトプットできる力は編集力を語る上で欠かせない。多治見さんは「茶割」をただ運営していくのではなく、どうすれば今を超えられるか、常に追求し続けた結果、編集力に行き着いたのかもしれない。さらに、『無償弁当』を始めた経緯から見えるように、『これは本当に世の中のためになるかどうか、本質的に見極める力』もまた多治見さんの経験から導かれた編集力であり、そして「茶割」が今注目を集める理由のひとつだろう。

―最後に、「茶割」を今後どんな店にしていきたいですか?

多治見 こんな状況なので、今すぐに行動に移せることにも限りがありますが、今後も街と人と関わりながら、支え合える店づくりを目指していきたいです。

あとは、お茶割りの地位向上に今後も尽力していきたいですね。すでに関東ではお茶割りが普及していますが、関西での立ち位置はまだまだ低い。お茶割りブームを関西圏にも広げたいし、いつかは世界にも進出したい。お茶割りをレモンサワーくらいの認知レベルまで引き上げるべく、お茶割りを日本発のワールドスタンダードにすべく、これからも頑張っていきたいですね。

 

企画・取材・文:天野成実(ロースター)/写真:藤井由依(ロースター

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