社長×副社長の対談企画 ロースターの社長と副社長が編集者になった理由とは

こんにちは。本年度よりロースターに新卒として入社させていただいた安田天音です。

面白いことを考えること、自分らしく着飾ること、美味しいものを食べることが大好きです! 精一杯頑張っていきたいと思います。何卒よろしくお願い致します。

なんと! こちらの連載では僭越ながら、新米編集者の私がロースター社長の大崎さんと副社長の笹さんに、編集者として経験したあれこれを根掘り葉掘りNGなしで聞いていくというコーナーです。

新人だからこそ気になること、ベテラン編集者だからこそ分かること、また普段では聞くことのできない赤裸々トークまで。

今回のテーマは、「ロースターの社長と副社長はなぜ編集者になったのか?」

お二人の生い立ちや遍歴、編集者になったきっかけ、㊙︎トークまで盛り沢山です!

目次

1. 中1から編集者を目指した社長と、上京するまで全く興味のなかった副社長。

安田

本日はよろしくお願いいたします!

大崎

よろしくね!

よろしくお願いします!

安田

早速ですがこの業界に入ったきっかけと、かつて没頭していたことを教えてください。

大崎

きっかけは、父親も編集者だったので、幼い頃からモノづくりや裏方の仕事への理解があったことだと思う。だから中一の頃からずっと編集者になりたかった。

中学生の頃から、ファッションや音楽に夢中だったね。

特には大学生くらいの頃は、ニルバーナとかジャミロクワイが好きだったから、 グランジファッションや古着にハマりました。

大崎安芸路(おおさき あきじ)株式会社ロースター代表取締役。広島県安芸高田市出身。

僕は、実は最初この仕事がしたいという気持ちは一切ありませんでした。24歳で上京するまでは色々な仕事を経験しては辞めてを繰り返してた。

例えば土方、冷凍倉庫の作業員、シェラトンのベルボーイ見習い、イタリアンレストランのシェフとかね。

この業界に入ったきっかけは、幼馴染がそういう仕事をしていて、ある時忙しいから手伝ってくれと言われ入ったのがマガジンハウスのファッション・カルチャー誌「relax」っていう雑誌の編集部だったことかな。

当時はストリートファッション、裏原系、スニーカー、音楽にはどっぷりハマってたからその編集部は面白かった。

笹元(ささ はじめ)株式会社ロースター取締役副社長。青森県八戸市出身。

2.かつては数々の媒体を共にしていた!?

安田

お二人はどこで出会ったのでしょうか?

大崎

二人ともフリーライターで入っていた、マガジンハウスのrelax編集部です。

1996年だね。

大崎

笹は全部年表が頭の中にあるんだよね(笑)

はい。多分10月くらいかな。

安田

お互いの第一印象は?

大崎さんは、編集部に僕より1、2号後から入ってきて。

いち早く次の号の特集をリサーチしていて、その時に撮ったポラロイド写真を編集部で見せびらかしてた。それが最初の記憶。

「何やってんだろうこの人。それ俺の仕事なんだけど!」って思ってた(笑)。

大崎

スマホなんかないからね。全部リサーチもアナログだったね。

逆に、笹の印象は、髪が腰まで長くて、パッと見、当時の裏原の古着屋店員かスケーターにしか見えなかった。こ

んな奴に原稿書けるの? って思ったのが最初だったね(笑)

安田

そうだったんですね!! 先輩後輩の関係だったのでしょうか?

大崎

そこでは俺が後輩だった。俺より2ヶ月前くらいから笹はいた。

安田

なるほど。

大崎さんと笹さんが初めて一緒に制作した1997年2月号「relax」
relax(リラックス):マガジンハウスより1996年に創刊された月刊誌。その名のごとく最初は“リラックス”をテーマにした雑誌だったが、その後はメンズファッション→サブカルと誌面をリニューアル。2006年をもって休刊した。
大崎

でもフリーライターじゃなくて、出版社で正社員として働きたい気持ちが強かった。

フリーの編集者やライターは、いい企画を出せば褒められるし、社員よりも大金を稼ぐことも可能だったけど、どうしても決定権がなかった。

だから、すごく悩んだけどめちゃくちゃ憧れだったマガジンハウスを抜けて、他の出版社で正社員として働くことを選んだんだよね。

安田

それから、笹さんとの関わりは?

大崎さんが他の会社行ってからもたまに仕事の依頼をしてくれたり、企画会議に呼ばれたりしてた。当時の企画会議は裏原のショップ店員とかもなぜか参加してたよね(笑)。

大崎

そうだね。次に入った出版社の雑誌もすごく面白かったし、しかもそこの編集長はマガジンハウスのライター出身だった。

ちなみにその編集長は俺と笹が後に一緒に働く会社の社長でした。

安田

もう一度、お二人は同じ会社で働かれたのでしょうか?

マガジンハウスの次に同じ会社で働いたのは広告制作会社だね。うちの会社をもっと硬くしたような感じだったかな。

大崎

FILTっていうフリーペーパーがあって、僕がそれの編集長をやった時です。

かなり画期的なフリーペーパーだったね。市販されている雑誌以上に企画立てて作り込んでて、ちゃんと表紙もかっこよく撮ってたし。

大崎

その時に広告やタイアップのノウハウを結構学んだかなあ。

FILT (フィルト):様々な生き方や価値観を認めれば人生を楽しく過ごせることをコンセプトとしたフリーマガジン。
安田

こんなフリーペーパー見たことないです! かっこいい〜。

安田

その後、ロースターを設立されたのでしょうか?

大崎

そうだね。ありがたいことに20代の頃から編集⻑や副編集⻑をさせてもらって。

それはそれで楽しかったけど、この先、出版社で順調に出世していく人生を想像したときに、まだに編集者になれるかどうかわからない、そんな学生時代の編集者になりたいって気持ちと比べたら、ワクワク感が足りない。比べものにならないなって(笑)。

もっとワクワクすることがしたいって思ったんだよね。それが会社を立ち上げた理由かな。

安田

まさに、大崎さんの成長意欲の証ですね。

大崎さんは編集者としての感性やツボ押さえるのがうまかったし、編集者として学ぶ点が多いなあって思う。実際学んだし。

大崎

でも、社⻑になりたいとかは全く思わなかった。チームを自分で作って、自分でブロジェクトやコンテンツを企画したかった。

会社を作るときも、アイデアや企画力が大事だと思うんだよね。

安田

大崎さんが会社を立ち上げると聞いた時どう思いましたか?

そうなんだ、俺、やっていけるのかなって思った(笑)

大崎

まあそうだろうなあ(笑)

安田

本当に長い時間を共に過ごされて今があるのですね!

3.ここでしか聞けない!㊙︎トーーーーク!

安田

ここで一つ質問です。ぶっちゃけ意見が合わなくて揉めたり喧嘩になってしまったことはあるのでしょうか?

大崎

そりゃあるよ!

ありますよ。

大崎

前の会社で一緒に働いてた時代はそんなになかったけど、会社を立ち上げて以降は揉めたこともあったね。

ロースター立ち上げてから2年後くらいに1回あったよ。これ喋っていいのかな?(笑)

安田

はい!(笑)

大崎さんと俺が関わってギャルブロガー雑誌を作っていたときに、進行が倒れまくっていろんなことがうまくいかなくて。今が何曜日かわからないくらい徹夜してた時期があった。

その時に俺が仮眠取ってたら、大崎さんがいきなり「これどうなってんだよ!!」って言ってきて、俺は「うっせえな」って言って喧嘩になったのはあったね。

大崎

俺は覚えてないけど(笑)

あの時は当時社員も少なかったし数人でやってたから、一人のタスク量が膨大で、精神的にキツかったね。

大崎

それに、紙媒体はあとで直すことができないしね。だから締め切りが絶対。間違いも許されない。

安田

本当に私たちには想像し難いほど大変な時期をお過ごしだったのですね。

かつて一緒に制作した雑誌を振り返る社長と副社長。
大崎

懐かしいね〜。

やったね〜この企画。

4.これだから辞められない。やっぱり編集者って最高。

安田

今、出版業界に入って何年目になるのでしょうか?

大崎

大学卒業してすぐだから28年目かな。

僕はライター時代入れて27年目です。

安田

今までの話を聞く限り、編集者として楽しいことばかりじゃなく苦悩された時期もあったと思います。そういった中で、今でもこの仕事を続ける理由や楽しさは何ですか?

やっぱ、中毒性のある仕事だよね。俺も若い頃はいろんな仕事やってきたけど、この仕事が一番大変で。でも終わった後の達成感がすごい感情で戻ってくるから。それがあるから続けられてる気がする。

大崎

でもそれって、紙の時は達成感を感じやすかったけどWebの今でも感じる? そこ、笹から聞きたい。

紙と比べたら弱いかも。でも、Webメディアはまだ勉強過程でしかないし、俺は勉強することがすごく好きだから覚えるのが楽しい。

大崎

笹はいつも謙虚でいいねー(笑)

安田

大崎さんに関してはどうでしょうか?

大崎

今は会社の経営者だけど、根本は雑誌の編集者の時の考え方と変わってない。自分の会社やオフィスをどんなテーマで経営するかとか、それをどうデザインするかとか、雑誌を作るときと同じかな。

去年作った「夏目坂珈琲」をオープンさせたときと同じように、どういうコンセプトで誰に向けて作るか、 ブランディングはどうするのかとか。同じような考え方をしてる気がする。

僕はいいものを作った自己達成感よりも、誰かに良いリアクションを貰ったときに一番の喜びを感じる。それがこの仕事を続けられてる理由かな。

安田

なるほど。私も、これからその達成感を味わうことになると思うと楽しみです。

そして、受け手のリアクションを想像しながらモノづくりをしていきたいと思います。まだまだ編集者として駆け出しの私にとってお二人にお話をお伺いすることはとても緊張しておりましたが、今回からすごく刺激的なお話を聞くことができて大変勉強になりました。

本日はありがとうございました。

編集・文/安田天音(Roaster)撮影/田邉なつほ(Roaster)


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