いまさら聞けない「バズ(buzz)る」とは? 過去のバズり事例から学ぶ

SNSを利用している人やマーケティングに携わる人ならば「バズる」という言葉を一度くらいは聞いたことがあるでしょう。

一方で、流行語という枠を超えて、あまりに当たり前のように使われるようになったため、言葉の意味や用途を正確には知らないという人もいるのではないでしょうか。

今回は「バズる」という言葉の意味や語源を解説するとともに、実際にバズった事例、さらにはバズらせるマーケティングについても紹介していきます。

目次

語源はあの虫?「バズる」の意味と由来

「バズる」という語には、話題が爆発的に広がり、多くの人の注目を集めている状態という意味があります。

「バズる」という言葉自体は10年以上前から使われていると言われていますが、実際に広く流行したのは2017年頃であり、現在ではもはや完全に定着した言葉と言えるでしょう。

おもにSNSでの拡散が「バズ」と呼ばれることが多い

元々はクチコミで話題が広まる様子をバズと称していましたが、「バズる」という新語として広まったのは、TwitterやFacebookなどのSNSが普及してからになります

また、現在の情報拡散には、これらのSNSが大きな役割を果たしています。むしろSNSこそが情報拡散の主要プラットフォームとも考えられます。

そのため現在では、SNS上で特定の話題が急激に拡散し、大勢の耳目を集める状態を「バズる」と呼ぶようになっています。

「バズる」の語源は蜂(ハチ)の音!

「バズる」という言葉は、もちろん従来の日本語には存在しない、完全な造語です。

語源になったのは「buzz」という英語で、この語には

  • (ハチなどが)ブンブンと音を立てる
  • ブンブンとうなる音
    (WISDOM英和辞典より)

という意味があります。
ハチが集まってブンブンしている様子が、転じて「噂」や「風評」という意味になり、マーケティングにおいては「クチコミ」の意味で使われるようになりました。

その「buzz」という語に、動詞化の語尾「る」を付けて生まれたのが「バズる」という言葉なのです。

「sabotage(サボタージュ)」を縮めて「る」を付け、「サボる」という語が生まれたのに似ており、いかにも日本語らしい造語と言えるでしょう。

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「バズる」「バズった」という言葉の使われ方

では「バズる」という言葉は、実際にどのように使われるのでしょうか。3つほど例を挙げてみましょう。

  • 何気なく投稿した駄洒落ツイートがバズっててリツイート通知がすごいんだけど。
  • 昨日のあのニュース、えらくバズってますね。
  • 今回の新製品、うまくバズらせる企画はできないかな?

いずれの例でも「短期間で話題が広がり、大勢の注目を集める」という意味を「バズ」のひとことで簡潔に表現できていますね。この便利さも「バズる」という言葉が普及した理由のひとつなのではないでしょうか。

「バズる」と「炎上」の違い

ところで、一口に話題が広まると言っても、必ずしもポジティブな内容とは限りません。不祥事やトラブルなどのネガティブな内容のこともあるでしょう。

本来「バズる」という言葉にはポジティブもネガティブも関係なかったのですが、現在では基本的に、ポジティブな捉え方をされている場合に「バズる」と称するようになっています

一方、ネガティブな捉え方の場合には「炎上」という表現が使われています

言葉の由来の細かい部分にはこだわらず、ポジティブな話題拡散=バズ、ネガティブな話題拡散=炎上と使い分けるのが現実的でしょう。

実際に「バズった」コンテンツの事例

これまで、ネット上では多くのネタがバズってきました。
このうち、企業による広告やキャンペーンの中から、バズった事例を13個ご紹介します。

きくちゆうき|100日後に死ぬワニ

2019年12月から2020年3月までTwitter上で連載された、きくちゆうきの4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』を見かけたことのある人も多いでしょう。

このバズコンテンツの特徴は、ワニの何でもない日常の4コマ漫画なのに、読者は「100日後に死ぬ」という結末を知っていること。

最後までワニの死期が迫る兆候がないため「こうやって死ぬのでは」と推測したり「死なないでほしい」と願ったりなど、読者を巻き込んだコンテンツとなりました。

参考:https://100wani.life

森永チョコレート|#ベイクを買わない理由100円買取

森永の販売する焼きチョコ「ベイク」の売上低迷にともない、打ち出したキャンペーンが「口コミを買い取る」というもの。

口コミを募集するときはほとんどがポジティブな口コミを求めるものですが、こちらは「買わない理由」というネガティブな口コミを募集、しかも買取るという点からバズを生み出しました。

かなりの反響で、翌日にはツイート数は4万件を超え予算が尽きたため、たった1日でキャンペーンが終了しました。

星野源|うちで踊ろう

新型コロナウイルスに緊急事態宣言。誰もが家に閉じこもり不安を抱える中、タレントの星野源はオリジナル曲「うちで踊ろう」を公開しました。

「生きて踊ろう」「生きてまた会おう」という力強いメッセージを耳に残るメロディで奏で、大反響に。TwitterやInstagramには歌に合わせて思い思いの過ごし方の動画をアップする人やコラボして歌う動画などをアップする人も出てきました。

2020年紅白歌合戦ではさらに歌詞が書き加えられた歌が披露され、2020年を代表する応援ソングになったのです。

ポカリスエット|ポカリNEO合唱

汐谷友希さんと97名の中高生が自宅で自撮りした動画を組み合わせ、1つの合唱曲にしたCMが話題になりました。

人と対面で会話することが控えられる2020年、合唱コンクールが中止、さらに音楽の授業も歌うことが制限され、「歌」という一体感を持てる行事がなくなった中でのCMです。

青春を感じられるこのCMに元気をもらった人も多いのではないでしょうか。

参考:ネオ@ポカリNEO合唱

「絶対に帰るな」

こちらは一般人のバズ事例です。新型コロナウイルスで帰省できずにいるけいしさん(@pandafun20)がお父さんに相談したところ「絶対に帰るな」という返事が。

関東に住む子供に、心配がゆえに「帰ってきなさい」と言う親御さんが多くいる中、子供のこと、そして自分たちのことを思って発言したこの言葉は多くの人の心に刺さったのです。

リツイート・引用リツイート合わせて4万3,000回以上、いいねも15万回以上されました。

ゼスプリキウイ|#差し入れキウイ

ゼスプリキウイでは、新型コロナウイルスの感染の脅威に怯えながらも休みなく働いているスーパー・青果店のために「#差し入れキウイ」キャンペーンを開催。

差し入れて欲しいスーパーがあれば、ゼスプリキウイの公式アカウントをフォローし、上記ハッシュタグをつけて感謝の気持ちをツイートすると応募可能。日頃からお世話になっているスーパーに感謝の気持ちを伝えられます。

コロナのような厳しい状況の中では、人の優しさや暖かさを感じらえるキャンペーンやコンテンツがバズりやすいようです。

参考:https://www.zespri-jp.com/news/2020/superthankyou.html

資生堂|High School Girl? メーク女子高生のヒミツ

まずは何も言わず、この動画を最後まで視聴してみてください。

一見すると何の変哲もない女子高。しかし途中から時間が巻き戻され、何と女子たちが男子に変身していきます。いいえ、「女子に変装した男子」が本来の姿に戻っていくのです。

そして最後には「だれでもカワイクしちゃいます」の文字で資生堂のメイク力をアピール。驚きの隠されたこの動画は、なんと1100万回以上再生されました。

柴犬コマリ|写真のマネしてポーズ

@shibakomaちょうど1年前の今日に出した動画!お気に入りなので再投稿🐶 ##柴犬 ##dog ##fyp♬ Memories (Drinks Bring Back) - Ajay Stephens


柴犬コマリちゃんは660万ものフォロワーを持つ、立派なワンフルエンサー。TikTokで大バズりした動画は、自分の写真のマネをしてポーズを決めるというものでした。

上記の動画は再投稿されたものですが、それでも再生回数は190万回と大人気に。

飼い主さんは日頃からコマリちゃんにさまざまな技を教えているようで、TikTokは練習の成果を見せる場となっています。

ダニエル・ウェリントン|DWの時計を付けた写真


こちらは特定のコンテンツがバズった事例というよりも、「特定のアイテム」や「特定の撮り方」がバズった事例です。

ダニエル・ウェリントンはインフルエンサーマーケティングを行っており、インフルエンサーに時計を提供、投稿してもらうことで認知拡大や購入を促しています。

多くのインフルエンサーが投稿することで「ダニエルウェリントンの時計をつけた写真をインスタにアップする」ことがトレンド入りしたのです。

鬼滅の刃

社会的ブームを巻き起こした「鬼滅の刃」も立派なバズコンテンツ。漫画からアニメ化され、さらに映画が上映され、子供から大人までを虜にしました。

Twitterのトレンド大賞2020では5位にランクインし、映画の興行収入も国内映画歴代最速で300億円を突破。コラボグッズも次々と発売され、漫画やアニメを見たことなくてもその存在を知らない人はいないのではないでしょうか。

参考:https://kimetsu.com

明治|きのこの山・たけのこの里 国民総選挙2018

2018年に明治がネット上で実施したキャンペーン「きのこの山・たけのこの里 国民総選挙2018」。

目玉焼き論争よりも根が深く、ヘタをすれば全面戦争にもなりかねない「きのこたけのこ論争」を、よりによって公式に白黒付けようというキャンペーンだけあり、たいへん話題になりました。

約1600万票の投票が行われ、結果としては「たけのこ党」の勝利に終わりましたが、再選挙を望む声が多かったことから現在「きのこの山・たけのこの里 国民総選挙2019」が実施されています。

参考:https://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/kinotake/cmp/2019senkyo/

はなまるうどん|まるごとダイオウイカ天

はなまるうどんが2013年のエイプリルフール企画として「ウソサイト」を公開。

またたく間にSNS上で話題となり、はなまるうどんのサイトへのアクセス数は通常の24倍にもなりました。

ネタと言い、サイトの作り込みと言い、エイプリルフールならではのバカバカしい楽しさと言い、「思わずSNSで誰かに話したくなる」をみごとに実現した企画と言えるでしょう。

参考:https://www.hanamaruudon.com/aprilfool2013/

日清食品|チキンラーメン「アクマのキムラー」

日清食品が2018年に発売したチキンラーメンの新商品「アクマのキムラー」のPRにあたって、動画やTwitter投稿を活用したところ、一気に話題になりました。

思わず話題にしたくなるような作り込みだけでなく、Twitterでの伏線的な投稿も功を奏した事例と言えるでしょう。

参考:https://www.chickenramen.jp/akuma.html

「バズらせる」マーケティング手法と利用する際の注意点

先に紹介したバズ事例は、いずれも企業が仕掛けたバズマーケティングが成功した例であり、その効果の大きさもわかりやすいでしょう。

では、「バズらせる」マーケティングはどのように行い、またどのような点に気をつければ良いのでしょうか。

バズマーケティングの特徴とメリット

SNSなどでのバズ、すなわちクチコミを意図的に起こすマーケティング手法は、バズマーケティングと呼ばれます。

クチコミはいったん発生すれば、連鎖的に広がるという特徴があります。とくにSNSというプラットフォーム上ではそれが顕著であり、マーケティングにも大きな効果があります。

また、「話題になっている」=「ユーザー自身がクチコミするだけの価値があると認めている」と受け止められるため、肯定的に評価されやすいのもメリットでしょう。

バズを引き起こすためには

  • 思わず誰かに話したくなるネタであること
  • 驚きや楽しさなど、自身の感動をシェアしたくなるコンテンツであること

といった、企画やコンテンツ内容そのものがクチコミにマッチしていることに加えて

  • 多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーを活用する

という拡散のための仕組みを上手に使うことも求められます。

バイラルマーケティングとの違い

なお、バズマーケティングと類似したマーケティング手法としてバイラルマーケティングが挙げられます。

両者の違いについては、ネット以外の媒体を利用するかどうか、拡散に要する期間はどれくらいか、ネガティブ要素も含むのかなど、いくつかの要素で異なるという諸説があります。

実際のところは、ほぼ同義に使われているため、「同じような意味合いの用語がある」という程度の認識があれば十分でしょう。

マーケティング手法として使うときの注意点

上手くバズれば、きわめて高い効果を発揮するバズマーケティングですが、この手法を使う際にはデメリットもいくつかあるので注意しましょう。

まず、企画や商品に対して、必ずしもポジティブな捉え方をしてもらえるとは限りません。もしもネガティブな捉え方をされた場合、逆にそのネガティブ要素が拡散される怖れもあります。

また、インフルエンサーの起用なども、場合によってはステルスマーケティングと受け止められ、それが反感につながりかねません。

こうなると、バズではなく「炎上」になってしまいます。実際に失敗に終わったキャンペーンも少なくないので、注意するようにしましょう。

とは言え、これからのマーケティングにネットの活用は不可欠であり、避けて通ることはできません。ぜひ「バズる」ことを狙ってマーケティングを展開してみてください。

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