Webサイトの運営やマーケティング活動において重要な指標のひとつとなるアクティブユーザーとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
本記事では、アクティブユーザーの定義やカウント方法などの基礎知識を解説。
さらに、なぜアクティブユーザーが重要なのか、何の役に立つのかといった視点から、アクティブユーザーの活用方法をご紹介します。
アクティブユーザー(AU)とは何か?
アクティブユーザー(AU:Active User)とは、ユーザーの利用状況を分析するための指標のひとつで、何人のユーザーが活動的にWebサイトやサービスを利用しているかを示すものです。
具体的には、「一定の期間内に利用したユーザーの数」をアクティブユーザーとしてカウントします。
Webサイトでは、一定期間内にサイトへと来訪したユーザーをアクティブユーザーとしてカウントします。
Webサイトの他に、SNSアプリやソーシャルゲームの利用者数などにおいても、アクティブユーザーは重要な指標として用いられています。
集計期間ごとの異なる略称
先述したとおり、アクティブユーザー数は「一定の期間内」の利用ユーザー数をカウントするものです。
集計期間はサービスによってさまざま。月間、週間、日間など、それぞれの分析目的に適した期間でカウントしています。
利用頻度の高い期間としては、1か月あたりのアクティブユーザー数をカウントするMAU(Monthly Active User:マンスリーアクティブユーザー)が挙げられます。
その他、1週間あたりのWAU(Weekly Active User:ウィークリーアクティブユーザー)、1日あたりのDAU(Daily Active User:デイリーアクティブユーザー)が用いられることもあります。
算出方法や比較方法にも注意
アクティブユーザーは、あくまでユーザーの「人数」をカウントするものであり、「利用回数」ではないことに注意しましょう。
たとえば、ひとりのユーザーが対象期間内にWebサイトに3回来訪しても、同一ユーザーなのでアクティブユーザーとしてのカウントは「1」になります。
また、異なる集計期間で算出したいときにも注意が必要です。
月間のアクティブユーザーが1万だったとして、それを12倍すれば年間のアクティブユーザーになるわけではありません。
あるユーザーが毎月サイトに来訪している場合、そのユーザーに関しては月間でカウントした場合も1AUであり、年間でカウントした場合も1AUになるのです。
ユニークユーザーとの違いは?
アクティブユーザーを考える上で気になるのが、「ユニークユーザー」との違いではないでしょうか。
結論から言えば、アクティブユーザーとユニークユーザーに違いはなく、ほぼ同義と考えて差し支えありません。
厳密には、ユニークユーザーは期間を特定する必要がないとも言われていますが、実際に指標として用いる際には期間指定は不可欠なため、けっきょく両者に違いはないのです。
また、Googleが提供するWebサイトの分析ツールであるGoogle Analyticsでは、アクティブユーザーもユニークユーザーも同じ概念の指標として扱われています。
アクティブユーザーを把握する目的と重要性
Webサイトの運営に当たっては、さまざまな角度からのユーザー分析が欠かせません。
特定の指標だけに頼ることは、見るべきものを見えなくしたり、思い込みによる運営につながりかねない危険があります。
では、アクティブユーザーを把握することには、どのような効果があるのでしょうか。
リピーターの把握にとくに有効
Webサイトの重要な指標としてPV(ページビュー)がありますが、こちらは文字通りページが表示された回数を示すもの。コンテンツがどれくらい閲覧されているのか、サイトがどれくらい利用されているかは把握できますが、ユーザーの行動まではわかりません。
一方、アクティブユーザーの把握は、ユーザーの行動を理解する際に役立ちます。
訪問回数を示すセッション数と合わせれば、どれくらいのユーザーがリピーターとして再訪問してくれているのかがわかります。
また、PV数がコンテンツ自体の人気や有用性を示すのに対して、アクティブユーザー数は「どれくらいのユーザーがWebサイトのファンになってくれているのか」を示すバロメーターとも言えるでしょう。
マーケティングの効果測定や予測にも
ユーザーの行動を把握できることは、マーケティングの効率的な実施にもつながります。
施策の結果として、どれくらいの新規ユーザーを取り込むことができたのか、ユーザーの定着率(リピート率)はどれくらいになったのか。
これらをアクティブユーザーから把握することで、マーケティングの効果をより正確に測定できるようになります。
また、正確な効果測定から改善ポイントも見えやすくなり、次の施策に向けた予測や計画も立てやすくなるでしょう。
アクティブユーザーを調べる方法
アクティブユーザー数を調べるためにはGoogle Analyticsを利用するのがおすすめです。
レポートメニューから「オーディエンス」→「アクティブユーザー」を開くと、アクティブユーザーの数値に加えて、推移状況を折れ線グラフで確認できます。
カウント期間も簡単に切り替えることが可能で、「1日のアクティブユーザー数」「7日間のアクティブユーザー数」「14日間のアクティブユーザー数」「28日間のアクティブユーザー数」を確認できます。
コホート分析とは
コホートとは「特定の共通した要素を持った母集団」を意味する言葉で、コホートを利用した分析によりユーザーの行動を把握しやすくなります。
Google Analyticsにもコホート分析機能が用意されており、「いつ獲得したユーザーか」という要素で母集団を作った上で行動データを分析できます。
短期的なマーケティング施策への反応を読み取ったり、定着率を把握することが簡単にできるため、ぜひコホート分析機能も活用しましょう。
参考:コホートについて|Google Analyticsヘルプ
アクティブユーザーの増やし方
アクティブユーザー数を増やすためにはいくつかの方法がありますが、どれもそう簡単に結果が出せるものではありません。
まず、王道の取り組みとなるのがSEO対策。自然検索からの流入数が増えるようなコンテンツを増やし、地道にユーザー獲得につなげていきます。
自然検索とは、検索結果ページに表示される検索結果のなかでも、検索連動型広告などの広告表示を除いた、通常の検索結果のこと。
広告の表示順位はお金で左右されるのに対して、自然検索の表示順位はお金では左右できず、検索エンジンのアルゴリズムによって決定されます。そのためSEO対策においては、この自然検索からの流入数が重要です。
また、SNSの利用が活発な昨今では、TwitterやFacebookなどの各種SNSからの流入を増やすための施策も効果が見込めるでしょう。
即効性を求めるならば、有料広告などによる流入増加を狙うのも手です。
もちろん、それでアクティブユーザーが増えたからといって、そこから定着してリピーターになってもらえるか、さらに顧客になってもらえるかは別問題。あくまで初期のユーザー獲得の一手段として考え、他の施策と合わせて総合的に対策することが必要です。
したがって、アクティブユーザーの主な増やし方は
①地道だけど王道な、自然検索からの流入を狙うSEO対策
②昨今で利用が活発化しているSNSからの流入を狙うSNS施策
③即効性を求めるなら、広告からの流入を狙う有料広告
の3つです。対象のメディアに合った方法で、効率良く初期のユーザー獲得を目指しましょう。