文章を書く際には、何気なく句読点を使っている人も多いでしょう。句読点というのは、特に意識せずとも使えてしまうのです。
しかし、無意識ゆえにその人のクセも出やすいのが句読点。間違ったクセがついていると、せっかく良い文章を書いていても読みにくく感じてしまうのです。
そこで今回は、句読点の正しい使い方を解説します。
丸・点・カンマ?そもそも「句読点」とは
そもそも「句読点(くとうてん)」とは、文章につける「、」や「。」のことです。この漢字を「くどくてん」と読む人がいますが、それは間違いなので気をつけましょう。
- 「、」…文章の区切りにつける読点
- 「。」…文章の終わりにつける句点
どちらも文章を読みやすくするために使われます。
句読点の使い方は小学生で習うもの
句読点の使い方は誰もが小学校1年生で習います。
小学生でしっかりと文章の基本を習うからこそ、中学生、高校生、そして社会人になっても自然に文章が書けるようになるのです。
意外と句読点の使い方がわからない大人も多い
ただ、あまり文章に触れてこなかった人は、大人になっても句読点の使い方がめちゃくちゃなこともあります。
特に難しいのが読点の使い方。必要なところに読点を打たなかったり、逆に読点を打ちすぎたりと、読むのにストレスがかかる文章になってしまうのです。一般人による発信の多いWeb上では、そんな文章を見かけることもよくあるでしょう。
句読点の使い方がおかしいと気付くには
句読点を正しく使えるようにするには、まずは自分の使い方がおかしいことに気付く必要があります。そのために、できるだけたくさんの文章に触れましょう。
ただ、ネットの文章は素人が書いたものが多いため、句読点の使い方を間違えて覚える危険性もあります。また、小説も独特な句読点の使い方をしている場合もあるため、あまりおすすめできません。
そこで一番良いのが、新聞や書籍などの文章です。プロの記者が書いたもの、もしくはプロの編集者の校閲が入ったものであれば、正しい位置に句読点が使われているでしょう。
正しい句読点の使い方と例文
続いて、正しい句読点の使い方を解説します。
まず、句点は文章の終わりに必ず打ちます。読者は句点ごとに一旦意味を理解しているため、句点がないと、途端に意味を理解しにくくなるのです。
そして読点は意味の塊ごとに打ちます。
例『今日は会社に出社した後、11時からミーティングの予定です。』
これは「会社に出社する」という意味と「11時からミーティング」という意味を読点で区切り、読みやすくしています。自分で声に出しながら、読点を息継ぎ地点として読んでみると、どこに読点を打てばわかりやすいか気付くでしょう。
上記が読点の基本ですが、これ以外にも多くのルールが存在していてややこしく感じてしまう点も多いです。
読点の打ち方のルール
読点を打つときは次の3つのルールを守りましょう。
①主語が長いときは主語の後
悪い例『毎日近所の人に野菜をくれる、農家の山本さんが突然倒れてしまったようだ。』
良い例『毎日近所の人に野菜をくれる農家の山本さんが、突然倒れてしまったようだ。』
②名詞が並ぶとき
悪い例『りんごもぶどうも梨も、採れたて新鮮だよ。』
良い例『りんごも、ぶどうも、梨も採れたて新鮮だよ。』
③漢字・ひらがなが連続するとき
悪い例『ここではきものを、脱いでください。』
良い例『ここで、はきものを脱いでください。』
体言止めの場合の句点
体言止めとは、文末を名詞・代名詞で止める手法です。
- 参照の文末『4-2 〇〇を参照』
- 見出しの文末『〇〇の理論と法則』
- 図、表中の語句
こうした体言止めで終わる文末には句点を打ちません。ただし、体言止めの文の後にまた文章が続く場合にはその区切りとして打ちます。
例『昭和51年法律第34号。以下「賃金確保法」という。』
前後に括弧がある場合の句読点
前後に括弧やカギ括弧がある場合の句読点の打ち方は少し違います。
文中の中に括弧があるとき、句点は括弧の中には打たず、外に打ちます。会話文などのカギ括弧の中には打ちません。
例①『人間には食欲・性欲・睡眠欲の3つの欲求があるとされています(三大欲求)。』
例②『先生は「家に帰るまでが遠足です」と言った。』
また読点を括弧やカギ括弧の中に打つことはありますが、前後に打ちません。読点が多くなりすぎるのを防ぐためです。
良い例『先生は「家に帰るまでが遠足です」と言った。』
悪い例『先生は、「家に帰るまでが遠足です」と言った。』
句読点と改行の関係
意味のまとまりごとに改行することは、文章全体に空白を持たせて読みやすくする効果があります。読点は文章の途中に使われるため、読点で改行する人はいませんが、句点ごとに改行するのはどうでしょうか?
1つの主題を扱う文章のまとまりは「段落」です。改行をすることで段落を複数作ることになるため、作文では基本的に句点ごとに改行はしません。
ただしビジネスメールやブログなど、ネットの文章では句点ごとに改行することで読みやすく工夫されることもあります。
本記事のように何かを説明したり、伝えたりする文章、または論文や資料なのか?それとも短いメールや個人のブログなのか?その状況によって改行方法を使い分けると良いでしょう。
並列助詞と読点の使い分け
同じカテゴリーの名詞を並べる際に名詞の間に使われる「や」「と」は並列助詞と言います。並列助詞と読点はうまく使い分けないと読みにくい文章になるので注意。2つ以上の並列助詞を使うと読みにくくなるため、読点を使って読みやすく改善しましょう。
例①『ぶどうや梨、りんご、柿は秋の果物です。』
例②『ぶどうや梨やりんごや柿は秋の果物です。』
「を、」は正しいのか?
「〜を」の後には読点を付けない、と学んだ人もいるかもしれません。
これは「付けてはいけない」という意味ではなく、「を」は格助詞専用のひらがななので、読点を付けなくても誤読を招くことが少ないためです。ただし、意味の誤読がある場合には付けるようにします。
悪い例『新製品を厳選の上3名のモニターに贈与します。』
良い例『新製品を、厳選の上3名のモニターに贈与します。』
読点は少なすぎるのも多すぎるのも問題。「多すぎることはないが、必要なところにはきちんと使っている」という状態になるように意識しましょう。
句読点をつけない文章もある?
世の中には句読点をつけない文章も存在します。
例えば結婚式などお祝い事の招待状には句点が使われません。これは「幸せが途切れないように」という意味が込められているからです。
また、ポエム(詩)にはあえて句読点を用いず、句点の代わりに改行を、読点の代わりにスペースを使うことがあります。そうすることで作品の雰囲気を感じやすくするのです。
句読点にはルールはありますが、それはあくまで「原則」。文章も芸術作品やアートの類ですから、個人が自由に表現するための「例外」が存在するのです。
作文や論文で句読点の使い方をマスターしよう
読みやすい文章は句読点まで計算されていることがあります。そうした文章に日常的に触れることで、句読点を使う感覚が身に付くのです。
句読点は文章を書く限りついてくるものですから、早い段階でマスターしておくのが良いでしょう。
使い方をマスターしておけば、作文や論文、ブログなど、どんな文章を書くときにも一気に読みやすくなりますよ。