ブログの記事やビジネスメール、LINEメッセージ、SNSなど、私たちは毎日何かしらの文章を書いています。それと同時にたくさんの文章を読んでいるでしょう。
そんな中で記憶に残るような面白い文章を読んだ時、「自分もこんな文章が書けたらいいな」と思った経験はありませんか?
今回は、自分の文章が硬いと感じる人や面白いことを書きたいのになんとなく面白くないと感じている人に向け、面白い文章の書き方を解説します。
さらに追加取材で、数多くの雑誌編集長を務めてきたEDiT.編集長の大崎のコメントを収録いたしました。ぜひ合わせて参考にしてください。
【EDiT.編集長 大崎安芸路】
90年代の伝説のカルチャー誌『relax』やファッション誌『asAyan』など、数々のカルチャー誌の編集を経て、制作会社ロースターを立ち上げる。女性ファッション誌『Soup.』元編集長。てんちむ書籍『私、息してる?』やAKB48写真集『わがままガールフレンド』のディレクション、写真週刊誌『FLASH』でカメラマンとして連載を持つなど、雑誌編集者の枠を超えて活動。現在は持ち前の企画力を生かし、グルメやビジネスのコンテンツ制作にも力を入れている。
面白い文章ってどんな文章?
文章の媒体によって面白い文章の定義が若干変わります。それぞれの面白い文章の特徴を押さえておきましょう。
小説とブログの「面白い文章」の違い
同じ文章でも、小説とブログでは面白いとされる文章がまったく違います。
小説の場合、冒頭と結末まで起承転結で繋がっているため、話が進んでいく中で自然に読者を引き込む面白さが必要になります。言葉の巧さというよりも、話の内容の面白さと言えるでしょう。「文章の面白さ=小説という作品自体の面白さ」なのです。
一方でブログは小説よりも自由な形式で書かれています。起承転結もあれば、結論・本論・結論という形から、エッセイや日記のような形も。
あえてもう少し基本的な話をしましょう。不特定多数の人に読んでもらうことが前提の、雑誌やWEB記事における良い文章というのは、わかりやすいかどうかがいちばん重要。
ブログでも同じことが言えますが、伝えたいことが伝わっているか、きちんと伝えたいことを伝える内容になっているか、を見直してみるのが面白い文章への第一歩かもしれない。
すでに多くのファンを持っている、小説家のように作家性で勝負するのでないなら、面白さよりもまずは「誰が読んでもわかりやすい文章」が基本ですが、意外とみんなできてないです。
ブログで面白い文章だなと思わせるには、テーマよりも「どんな言葉で表現するか」が鍵になります。「ブログの面白さ=文章表現の面白さ」と考えると良いでしょう。
わかりやすさは重要ですが、かわいいものを、いかに「かわいい」って言葉を使わずに表現できるかが腕の見せ所です。
「かわいい」とか「美味しい」とストレートに表現するのは簡単ですが、例えば「生まれたての子猫のよう」だとか、「口の中で柑橘の酸味とナッツの香ばしさを一度に感じられる」だとか、自分の言葉で表現できるかどうか。
そこに面白い文章のセンスが問われてくるんじゃないかな。
英語の「面白い文章」とは?
英語(英文)の「面白い文章」は日本語で面白いとされる文章とまた違います。
まずは前提として、欧米と日本語のギャグセンスにはズレがあることを覚えておきましょう。英語で「この文章面白いなぁ」と感じるには、欧米のセンスをある程度知っている必要があります。
英語の面白い文章は比較的易しい単語を使いますが、その代わり慣用句をよく使って表現しています。英語のギャグセンスと慣用句を知っていれば、英検2級ほどの英語力があれば読めるうえに、英語力を伸ばす勉強にも使えるでしょう。
文章が面白い人の特徴
文章が面白い人の特徴をまとめました。
- 好奇心が旺盛で新しいものが好き
- 書籍やWebを問わず、様々なジャンルの文章を読む
- 日記や好きな言葉をメモしている
- インプットとアウトプットをしている
- 外向的で人とよく話す
面白い文章を書くのに文才は必要ありません。外からの刺激を受け入れ、その経験を書くなり話すなりして文章化できれば、自然と面白い文章が書けるようになるでしょう。
その人の経験、具体的な話・エピソードが入れられると文章はぐっと面白くなる。
ただ気をつけてほしいのは、面白い経験がある人=面白い文章が書ける人、ではないこと。文章を書くためには、ある程度のテクニックも必要になってくる。
面白い出来事を経験することも大切だけど、その準備とアウトプットの訓練がとても大切です。
面白い文章の書き方
続いて面白い文章の書き方を解説します。ここで紹介するのは細かな文章表現というよりも、読む人を引き込むような文章にする方法です。
面白い話・経験談を盛り込む
面白い文章にするための一番簡単な方法は、面白い話や自分の経験談を盛り込むことです。ブログやエッセイなどの文章とこの方法はかなり相性が良く、面白い経験談を盛り込むだけで読み手を引き込みます。
なぜなら、人はストーリーが好きだからです。ストーリー性のある文章は読み手を感動させたり笑わせたりでき、記憶に残りやすくなります。
文章にできるような面白い経験をするためには、常日頃からアンテナを張って準備をしておかないと、なかなか出会えない。
例えて言うなら、「よく街で偶然芸能人に会う」っていう人いるでしょ? あれは別に運がいいわけじゃなくて、普段から「この辺なら芸能人がいるかも」って意識して見渡しているから気づけるんだよね。
「この店員さん面白いかも」とか、「失敗したら、それはそれで面白いかも」というように、普段からアンテナを張り巡らせておくと、「これ面白い!」に出会える確率が高まるんだよね。
面白い単語遊び
日本語には同じ読み方をする漢字や、よく似た言葉がありますよね。そうした単語を使って、言葉遊びをしてみるのもオススメです。
例:埃「吸いたいんだろ?体は掃除機だな」
こちらは「体は正直だな」というセリフを、「埃」を擬人化させて言わせることで「正直」と「掃除機」をかけています。埃=掃除機に吸われるという連想ができ、クスッと笑ってしまいますよね。
他にも「カレー」と「加齢」をかけたり、「メイド」と「冥土」をかけたりと、様々な単語遊びができます。
特に文章が硬いと感じている人は、単語遊びをするだけでも面白くなるので試してみてください。
コピペをするときの注意点
自分の文章が面白くないとき、誰かの文章を引用するだけでも読み手の印象に残りやすいです。
ただし、文章にも著作権が存在します。コピペをするときには必ず引用であると明記すること。そして、引用だとわかりやすいように表記するようにしましょう。
面白い文章が書けるようになる習慣
いざパソコンやノートに向かって面白い文章を書こうと思ってもなかなか筆が進まない人も多いでしょう。そこで、自然と面白い文章が書けるようになる習慣をご紹介します。自分自身も楽しめますので、ぜひ生活に取り入れてみてください。
僕が思う一番取り入れやすい習慣は、メモすること。その瞬間を忘れないようスマホで写真を撮るのもいい。
手書きのメモはもちろん、付箋を貼ったり、コピペしたり、ブックマークしたりするのも、手軽にできるメモのひとつです。
面白い画像で大喜利をしてみる
「大喜利」とは、出されたお題に対して面白い回答をするというお笑いの演目の1つです。人を笑わせるには、面白い発想が必要になります。
そこで、ネットで「大喜利」と画像検索をしてみてください。すると「この画像について一言」という形でたくさんの課題を見つけられます。
出されたお題(画像)に対して、自分なりに面白い回答を考えてみましょう。自分で大喜利をすることで、面白い発想力を培うことができるのです。
頭の体操には面白い文章問題が有効
頭が硬すぎて、面白い発想ができない。そんなときには、面白い文章問題を解いて頭の体操をしてみましょう。
例えば、あなたはこの問題が解けますか?
“ボールペンと消しゴムの値段は合わせて110円。
ボールペンは消しゴムよりも100円高い。
では、消しゴムの値段は?”
一見すると簡単な算数の問題ですが、間違えてしまう人も多いのではないでしょうか。答えは「5円」です。
こんな文章問題を解くことで思考が柔らかくなり、面白い発想をするための土台ができるのです。
友達にネタを盛り込んだ面白い手紙を書いてみる
いきなりブログや小説などで面白い文章が書けないという人は、友達に手紙を書いてみることから始めてみましょう。
レターセットを使った本格的な手紙から、メモに書いた短い手紙、もしくはLINEメッセージでも構いません。とにかく「面白いことを書く環境」を整えるのです。
手紙の中に面白いネタを盛り込み、友達の反応を見てみます。そのネタがどれだけ受けが良いのか、あるいは微妙だったのかなど自分の実力を測れる上に、面白い文章を書く練習になるでしょう。
僕がオススメするのは、もっとオープンに評価がもらえるSNSでの発信。
自分の書いた文章への不特定多数の人のリアクションを通して、気軽にABテストができることがポイントです。手紙も良いのですが、相手が限定されることと、意見が良くも悪くも偏るので注意が必要です。
本やWebでも面白い文章の書き方が学べる!
面白い文章の書き方を本格的に学びたい場合、本やWebサービスを利用してみてはいかがでしょうか?
文章の書き方についてのオススメ本
文章を学ぶには本を読むことも大切。文章の書き方について解説された本であれば、より効率的に学べます!
そこで、面白い文章を書けるようになるためのオススメ本をご紹介しましょう。
『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』
ネットでバズった面白い文章はどうやって生まれたのか?そんなことが学べる本です。この本の目次や文章自体も面白い文章になっているので、その感覚が掴めるようになるでしょう。
『読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術』
タイトルが「シンプルな文章術」となっていますが、面白い文章って意外とシンプルなもの。自分の感情や経験をどうやって言葉にすればいいのか?について詳しく解説されているため、言語化が苦手な人に向いているでしょう。
「面白い文章を書けるようにするクラブ」が話題に
文章力に関するオンラインコミュニティ「面白い文章を書けるようにするクラブ」も話題となっています。
このコミュニティの目的は、その名前の通り。メンバー同士でアドバイスができるので、仲間を作って文章力を向上させたい人や誰かに読んでもらいたい人に向いています。
月額3,980円ですが、人に読んでもらった方が面白い文章を書く力が身につくスピードが上がります。気になる人は検討してみてください。
発想の転換で日々の「面白い」探しをしてみる
日頃当たり前だと思っていた毎日でも、その経験を言語化してみたり、面白いネタを探しながら生活してみることで面白い文章にするためのアイデアが見えてきます。
小さなことにも目をつけて、発想の転換をしてみる。日々「面白いこと探し」をすると、あなたの文章も自然と面白いものになっていくかもしれません。
まずは、「面白いこと」のインプットから。些細なことでも見逃さずに、面白がれるようになると、文章の素材は自然と集まってくる。
次は、自分で文章にして発信する、アウトプットすること。自分が感じた「面白い」を文章にしたとき、読者からどう反応&評価されるかを体感してみよう。そしてブラッシュアップを繰り返してみる。
面白い文章への道は一日にしてならず! この繰り返しで、面白い文章を書ける自分を鍛えていってください。