文章力は仕事をしたり人とコミュニケーションを取ったりするうえで、とても重要な能力です。ほんの500文字の文章でも、その人の文章力が垣間見えるもの。
しかし、自分の書いた文章を見て文章力がないと感じる人も多いのではないでしょうか?今回は「文章力」の定義を改めて見直し、文章力を上げる方法をご紹介します。
そもそも文章力とは?
「文章力」とは、読んで字のごとく「文章を書く能力」のことなのですが、実は人によってさまざまな定義があります。
- 文章を上手に(巧みに)書く能力
- 読み手にとってわかりやすい文章を書く能力
- 読み手に感銘を与えるような文章を書く能力
- 言いたいことを文章で的確に書ける能力
など。
これらの定義はどれも正しいと言えるでしょう。
なぜなら、人によって目指す“文章”があるからです。
Aさんは読み手に伝わる文章を書きたいし、Bさんは自分の言いたいことを文章で書けるようにしたい。
それぞれの目指す“文章”によって、必要とされる文章力も微妙に違います。
小学生から文章力を鍛え始める
一般的に私たちは小学1年生から文章力を鍛え始めます。
例えば学校の宿題、夏休みの作文、絵日記などで文章を書いて鍛えます。
低学年のうちは稚拙な文章ですが、ほぼ毎日教科書や本等の文章に触れ、宿題等で文章を書くことで、高学年になる頃には大人も感心するような文章が書けるようになるのです。
文章力がない社会人が増えている?
社会人になり、実際に文章を書く機会が多くなってから「自分には文章力がないのでは?」と悩み始める人も多いでしょう。
しかし、そんな人でも難なくSNSやメールを使っていますし、人とコミュニケーションを取っています。
つまり、日頃から伝えたいことを文章にして組み立てているのです。
文章力が“低い”または“未熟”だということはあっても、文章力がまったく“ない”という社会人はいないと言えます。
もちろん文章を書くことの得手不得手はありますが、基礎は学生時代に習得しているので、今からでも文章力を上げることは不可能ではありません。
自分の文章力を診断してみよう
自分には文章力がどれくらいあるかを知りたい人は、ツールを使って文章力診断をしてみるのはいかがでしょうか?
ここでは、文章力を診断できるツールをご紹介します。
森リン
小論文の評価用のツールですが、語彙力から作文能力、内容の深さまでを幅広く診断できるツールです。
結果ではそれぞれの項目が何点かを出してくれるので、客観的に自分の文章力を見直せます。
「コピーライティング力」診断テスト
文章を売るためのコピーライティング力をこれから磨きたいという人は、こちらの診断テストを使ってみるのがおすすめです。
LINEで友達登録しておけばいつでも診断できるので、勉強の成果を測るのもいいですね。
文才ある人?診断します!|「文才チェッカー」
こちらは文章力を診断するというよりも、文章力が身につきやすいかどうかを診断するアンケート型のツールです。
自分の伸び代がわかりますし、文章力が高い人の習慣を意識できるようになりますよ。
文章力を上げるには
文章力を上げるためには、日頃から良い文章を読むこと、そして自分で文章を書くことが大切です。
それでは、文章力を上げるための具体的な方法をご紹介します。
読み手のことを考える
「自分が書いた文章が、いまいちピンとこない…」
そう感じる人は、もしかすると読み手のことを意識していないため、どこかぼやけたような文章になっているかもしれません。
自分だけの日記なら別ですが、文章を書のは少なくとも誰かにその文章を見てもらうことを目的としています。
読み手のことを考えながら書くことで「誰に何を伝えたいのか」がはっきりとわかる文章になるのです。
文章の型を意識する
読み手のことを考えても支離滅裂な文章だと読みにくく、伝えたいことも正しく伝わりません。
読み手にとって読みやすい文章にするには、全体の型、または見出しや段落ごとの型を意識することが重要です。
文章でよく使われるのは以下の3つの型です。
まずはそれぞれの型で書いてみて、書きやすく伝わりやすいものを日頃から意識していきましょう。
①PREP法:はじめに要点を伝え、その理由と例で裏付けし、最後に要点をまとめる
- Point:要点
- Reason:理由
- Example:例
- Point:要点
②SDS法:同じ内容を手法を変えて3回伝えることで理解しやすく、そして記憶しやすくする
- Summary:全体の概要
- Detail:詳細
- Summary:最後にまとめ
③起承転結:物事が起きてから結末までを時系列順、または順序立てて説明する
- 起:主題(テーマ)
- 承:主題を展開し、詳しい状況を解説する
- 転:主題からの転換、視点を変える
- 結:全体のまとめ
毎日できる文章力アップトレーニング
文章力を磨くにはやっぱり毎日文章を書くことが重要。
そこで、毎日でもできる文章力アップトレーニングでおすすめなのが「要約すること」と「写経すること」の2つです。
新聞でもWeb記事でも、自分が読んだ文章を100字〜200字で要約することで「内容を理解する」「理解したものを自分の中で組み立てる」「文章に起こす」という一連の流れで、伝わりやすい文章を構成する能力を養うことができます。
また写経はただ文章を書き写しているのではなく、その文章のエッセンスや執筆者の技巧などを吸収する作業です。
この2つを毎日することで、少しずつですが自分の文章力が上がっているのを実感できるでしょう。
誰かに添削してもらう
人それぞれ文章のクセがあるもので、自分が書いた文章を自分が見てもどこがおかしいのか、どんなクセがあるのかを見分けられません。
そこで、身近な誰かに添削してもらうのもかなり効果的です。
文章が得意な家族や友人でもいいですし、仕事で文章を書く人は同僚や先輩、上司などにお願いするのもいいでしょう。
プロ並みの添削ができなくても、あなたのクセや違和感のある言い回しなどは見つけてくれます。
文章力講座を受けてみる
本気で文章力をあげたいのなら、文章力養成講座を受けてみることをおすすめします。
ほとんどの講座が有料で、有名なところで言えば宣伝会議が実施しているものなどが挙げられます。
講座によってお値段もピンキリですが、ステップを踏みながら文章構成を見直すことができるという点では講座の利用にも価値があります。
自分の文章の添削を受けることも可能ですので、文章力を上げたいけれど何からやれば良いかわからない人には適していると言えるでしょう。
地域でやっている講座や商工会議所等が開催している講座であれば、比較的低価格で参加できるので、ぜひ探してみてください。
文章力がある人が就きやすい仕事
文章力を高めたら、仕事でその文章力を活かしてみるのはいかがでしょうか?
文章力がある人が就きやすい仕事もご紹介します。
ライター
「ライター」の中にはさまざまなタイプがあります。
- Webライター
- 雑誌ライター
- トラベルライター
- コピーライター
- 新聞記者
など
自分の得意なジャンルや媒体を見つければプロのライターとして活躍可能です。
コラムニスト
コラムニストは、
- 料理研究家×コラムニスト
- 経済学者×コラムニスト
など、自分が元々持っている肩書きと組み合わせている人が多いです。
すでに手に職をつけている人は、文章力を活かしてコラム執筆にも挑戦してみるといいかもしれません。
作家
古くからある文章を書く仕事といえば作家。
小説やエッセイストなどになって本を出版することもできますし、イラストが得意なら漫画家、同人作家なども目指せますよ。
編集者
文章を書くことだけが、文章力が高い人の仕事ではありません。
文章を読み、校閲し、よりブラッシュアップする編集者もおすすめの仕事です。
日々多くの文章に触れるため、さらなる文章力アップも目指せます。
文章力を磨くために本を読もう
他の文章を読み、良い文章に触れることも文章力を磨くために大切なこと。
そのため、文章力を磨きたい人ほど本を読んでみましょう。
ここではおすすめの解説書と小説作家をご紹介します。
おすすめの解説書
まずは文章の基本を身に付けたい、伝わる文章が書きたいという人は、文章力の解説書を読みましょう。
伝わる! 文章力が身につく本
文章を書くときに意識したいポイントや文章力を上げるコツなどが解説されています。
言葉の巧みさよりも、無駄を省いてスッキリとした文章を書きたいという人におすすめの本です。
残念ながら、その文章では伝わりません
「自分の文章、これで大丈夫?」と心配に思っている人はこちらを読んでみましょう。
わかりにくい文章をわかりやすくするためのポイントが解説されており、自分の不安も解消されるはずです。
おすすめの小説作家
小説のような趣のある文章を書いたり、味や匂いまでもわかるような巧みな文章を書きたい人は小説を読むのがいいですね。
笹本稜平
あまりにもレベルの高い文章を書く作家はハードルが高いもの。
笹本稜平の作品は比較的平易な表現で構成されているため、これから文章力を鍛えたいという初心者でも手本にしやすい作家です。
『時の渚』でサントリーミステリー大賞を受賞しています。
村上龍
デビュー作『限りなく透明に近いブルー』で芥川賞を受賞した村上龍は、村上春樹と並ぶ純文学作家。長編小説からエッセイまで幅広く執筆しています。
そのため、どの作品からでもそれぞれの文章の書き方を学べるでしょう。
文章力が高いことと頭の良さは関係なし!今からでも文章力を磨ける
世の中には頭が良い人やIQが高い人がいますが、彼らに文章を書いてもらっても天才的な文章になるわけではありません。
頭が良いことと、文章力が高いことは関係がないのです。
どんな人でも、社会人になった今からでも、文章力を高めることはできます。
日頃から文章を書いたり読んだりして、自分の文章力を磨いていきましょう。