あなたが書く文章は「わかりやすい文章」になっているでしょうか?
他人が読むことを前提とした文章を書くなら、わかりやすいに越したことはありません。
しかし、ライティングが得意だと自負している人でも、他人が読めば内容が理解できない、つまりわかりにくい文章を書いてしまうことがあります。
わかりやすい(伝わりやすい)文章を書くためには、どのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。
本記事ではわかりやすい文章を書くコツをご紹介します。
「わかりやすい文章」ってどんな文章?
そもそも「わかりやすい文章」とは、どんな文章のことを指すのでしょうか?
「わかりやすい」とは、言い換えると
- 理解しやすい
- 伝わりやすい
- 納得感がある
などと表現できますよね。
よって、わかりやすい文章は
- 読んでいて理解しやすい
- 読者に伝えたいことがしっかり伝わる
- 読んだ後に納得感がある
という特徴があると定義した上で本題に入っていきましょう。
わかりやすい文章にするための心得
わかりやすい文章を書くうえで一番重要なことは「読者目線」であることです。
ライターはときとして独りよがりな文章を書いてしまいます。
そんな文章は、書いた本人は内容を理解できていても、読者はさっぱり理解できません。
まずは「読者目線」で書くための心得を覚えておきましょう。
「他人が読むこと」を意識する
わかりやすい文章を書く前の大前提として、「これは他人が読む文章である」と意識しましょう。
他人が読むのだから、その人に伝わる文章にしなければいけませんよね。その意識があると「どう書いたら伝わるのかな?どんな表現がわかりやすいかな?」と考えるようになります。
読者の専門レベルを把握する
文章の目的は、読んでもらうことではなく、しっかりと理解してもらうためです。読者にしっかり理解してもらうためには、そもそも誰が読者なのかを明確にし、読者の専門レベルを把握しましょう。
執筆テーマに関するレベルが初心者だと、難しい専門用語を極力使わず、使う場合も解説を入れながら説明する必要があります。
逆に上級者の場合、専門用語を使いながら踏み込んだ内容を書かないと、物足りなく感じてしまうでしょう。
読者の専門レベルに合わせて書くことで、その読者にとってわかりやすい文章になるのです。
読者にストレスを与えない
論理展開が支離滅裂だったり、文法的におかしかったり……そんなわかりにくい文章を読むと、ストレスを感じませんか?わかりやすい文章はスラスラと読めて、なおかつ内容も頭に入ってくるので、読者にストレスを与えません。
いきなり文章力を上げることはできなくても「ストレスを与えないようにしよう」と意識するだけでも、自分でしっかり推敲するようになりますよ。
わかりやすい文章を書くための8つのコツ
次に、わかりやすい文章を書くための具体的なテクニックやコツを8つご紹介します。書きながら意識したいこと、書き終えた後に見直したいことの両方があるので、チェックリストとしてもご活用いただけます!
構成で“道順”を示す
ライティングを始める前に作る構成(プロット)には、重要な役割があります。それは、ライターと読者の両方に“道順”を示すことです。
ライター向け:ライティングの“道順”
読者向け:大まかな内容の“道順”
ライターは、実際に文章を書く際に「何をどんな流れで解説するのか」という道順として、構成を活用できます。
読者の場合、構成は記事の見出しにも反映されるため「この記事は何についてどんな流れで解説しているのか」という内容の道順を示してくれます。構成を見るだけで記事の内容が理解できるのです。
主語と述語を正しい関係にする
文章がわかりにくい原因のほとんどが、主語と述語の関係がおかしくなっていることです。
主語(「何が」「誰の」等)は必ず述語(「〜した」「あった」等)にかかっているもの。しかし日本語は主語を省略できる性質を持つため、わかりにくい文章になることがよくあります。
(悪い例)猫が本を読んでいるとき膝に乗ってきた
この文章だと主語が「猫」で述語が「本を読んでいる」になりますが、猫は本を読みません。本を読んでいるのは私のはずです。そこで次のように書き直します。
(良い例)私が本を読んでいるとき、猫が膝に乗ってきた
「私」と「本を読んでいる」、「猫」と「乗ってきた」。それぞれ主語と述語が正しい関係になり、意味の通る文章になりました。
長い一文は分割する
あなたの一文は長くなりすぎていませんか?その長い一文を声に出して読もうとすると息切れするはずです。
適切な一文の長さは40文字程度で、長くても50文字程度に押さえたいですね。どうしても長い一文になる場合には、分割して二文から三文にしましょう。
ただし、分割しすぎると逆に、読みながらまどろこしいと感じることも。読者にストレスを与えない長さに調節しましょう。
「もの」「こと」「それ」を具体的に示す
「そうしたもの」や「こんなこと」「それが」などに使われる「もの」「こと」「それ」は、前述した内容を指す名詞です。文章をスッキリさせるためには有効な使い方ですが、使いすぎるとわかりにくい文章になります。
「もの」「こと」「それ」を使いすぎている場合には、指している内容を具体的に示してみましょう。
ヨガに通い始めてから体が柔らかくなった。そうしたことはよくあるらしい。
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ヨガに通い始めてから体が柔らかくなった。ヨガにより柔軟性が高まる人はよくいるらしい。
コンテクスト(文脈)を意識する
論理展開が支離滅裂で全体の筋が通っていない文章は、たとえ文法があっていても内容を理解できません。「伝えたいことがわからない」と言われる人は、必ずコンテクスト(文脈)を意識しながら文章を書きましょう。
みかんはビタミンCが豊富に含まれている果物として知られています。
りんごには食物繊維が多く含まれ、便秘解消により美肌効果が期待できます。
このように、今までみかんの話をしていたのに、いきなりりんごの話をし始めたら混乱しますよね。文章は前の文と後ろの文とが繋がっています。みかんの話からりんごに話の移る動機を間に入れることで、意味の通る文章になります。
みかんはビタミンCが豊富に含まれている果物として知られています。
ビタミンCは美肌に効果的といわれていますが、実はりんごにも美肌の素が入っているのをご存知ですか?
りんごには食物繊維が多く含まれ、便秘解消により美肌効果が期待できます。
曖昧な表現をしない
「〜だと思います」「〜かもしれません」「〜だそうです」などの推定表現を多用すると、答えが曖昧な印象を読者に与えてしまいます。読者が知りたいのは「YESかNOか」の答えなのです。
読者に答えを示すのに、推定表現はあまり使わないようにしましょう。「〜です」と断定してあげることで、読者は次に取るべきアクションが見えてきます。
何パターンか答えがある場合には「Aという人は〇〇、Bという人は××」とパターンごとに答えを示してあげるといいですね。
かっこつけようとしない
自分の文章表現を向上させたい人は、無理にかっこつけないようにしましょう。かっこつけて巧みな表現をしようとすると、読者に伝わらない文章になってしまうのです。
意中の彼から「俺、好きな人いるんだよね」と相談を受けたらショックです。私なら「相談に乗れない」と断ります。だって、私の恋愛の問題を大きくしちゃうから!
言いたいことは理解できますが、抽象度が高くわかりにくいですよね。最後の一文だけ次のように書き直します。
だって、私と彼が付き合えなくなったら嫌だから!
「恋愛の問題が大きくなる」=「私と彼が付き合えない」と抽象度が下がりましたね。
文章のかっこよさよりも、わかりやすさを優先しましょう。
声に出して読み、違和感がないかを確認
朗読は精度の高い校正ツールです。自分で書いた文章を声に出して読んでみると、すぐに違和感に気付けます。
例えば「てにをは」の使い方がおかしかった、主語と述語の関係がおかしかったなどの文法の違和感は、推敲で見落としていた部分を見つけられます。
他にも「読んでいて内容が頭に入りにくかった」「途中で文脈が通らない部分があった」など、もう少し表現を工夫できる箇所にも気付けるでしょう。
書き終わった直後はもちろん、一日置いて次の日に読み返してみると、文章をブラッシュアップできますよ。
わかりやすい文章を書くには読者目線が一番大事
「読者に伝えるための文章」という意識がないと、わかりやすい文章は書けません。独りよがりな文章にならないように、読者目線を持つようにしましょう。
ただ、書いているときはどうしても自分目線になりやすいです。書き終わった後に改めて読者目線で校正することも大切。
わかりやすい文章で、読者が必要とする情報をきちんと伝えられるようにしましょう!