オノマトペの種類と使い方|効果的に擬音語・擬態語を使う方法

文章で物事の様子や状態を表したいとき、あなたはどのような表現をしていますか?

見たままを表す、ボキャブラリー豊かに表現するなどの方法もありますが、誰でも簡単に表現できる方法が、オノマトペを使うことです。

今回は日本語のオノマトペの種類と使い方を紹介します。

目次

オノマトペとは?

オノマトペとは、擬音語と擬態語の総称のことです。

擬音語(擬声語):物事の音や鳴き声を表す語

擬態語:物事の状態や様子を音声化して表す語

擬音語であれば、「犬がワンワン吠える」「雨がザーザー降る」の「ワンワン」「ザーザー」がオノマトペです。耳で聞こえる音を、そのまま言葉にしているためわかりやすいでしょう。

同様に、擬態語は「心がウキウキする」「ほっぺがプニプニしている」の「ウキウキ」「プニプニ」がオノマトペです。物事の“状態”を音声化するため、人によって表現が変わることがあります。

日本語はオノマトペの数が非常に多く、英語では約3,000語あるのに対し、日本語には約12,000語のオノマトペがあると言われています3

オノマトペの定義

オノマトペは感覚的なものですので、どこからどこまでがオノマトペと定義されるのかわからない人もいるかもしれません。

例えば「キラキラ」など一般的に使われているものはオノマトペだと言えますが、完全に個人の感覚・主観よって生み出されたものはどうでしょうか?

中には「キラキラ」を「シャリンロン」と表現したい人もいるかもしれません。そんな感覚の違いによって変わる表現も、オノマトペの一つだと言えます。

つまりオノマトペの定義は広く、話者・書き手が擬音語・擬態語として表現したものはすべてオノマトペなのです。

オノマトペの語源

「オノマトペ」の語源は古代ギリシャ語の「オノマトポイーア(onomatopoiia)」だと言われています。これは「言葉を作る」という意味です。

フランス語では日本語と同じく「オノマトペ」と言いますが、英語では「オノマトピア」と言います。

また、外国語にもたくさんのオノマトペがあります。

例えば、日本語ではニワトリの鳴き声は「コケコッコー」とされていますが、英語圏「クックドゥードゥルドゥー」、フランス語で「ココリコ」など、国によって表現が違うのです。

それぞれの国の感覚によって違ったオノマトペが生み出されている点も面白いですよね。

オノマトペの効果

雨がしとしと降っている

雨がザーザー降っている

雨の音を「しとしと」「ザーザー」と表現するのとでは、それぞれまったく違った情景が思い浮かびませんか?

このように、オノマトペを使うことで細かな様子を的確に伝えることができます。

食べ物の商品企画などでも、オノマトペがよく使われています。

「ぽたぽた焼き」「とろ〜りチーズ」など、食べ物の商品名にオノマトペを使うことで、作ったときの様子や食べたときの感覚を消費者にイメージさせているのです。

オノマトペはキャッチーな表現でもあるため、消費者の興味関心を惹きつける効果もあります。

オノマトペの種類

ここでは、よく使われているオノマトペや印象的なオノマトペをご紹介しましょう。

自分では思い浮かばないようなオノマトペをメモして、ぜひ文章表現の一つとして取り入れてみてください!

人の声・動物の鳴き声(擬音語)

人の笑い声

声を出して笑う 声をひそめて笑う
ワハハ うふふ
アーハッハッハ ふふっ
ククッ ふふん
ふっふっふ クスクス

マンガなどでよく見る「うふふ」「クスクス」ですが、実際に笑うときに「うふふ」や「クスクス」と言っている人は少ないですよね。しかし、そう表現した方がわかりやすいのです。

人の泣き声

えーん オギャー ウッウッ

子供が泣くときは「エーン!」と声を出して泣きます。マンガなら赤ちゃんの鳴き声を「オギャー」と表現しますよね。「ウッウッ」は、泣いているときに声が漏れる様子を表しています。

動物の鳴き声

犬の鳴き声 猫の鳴き声 鳥の鳴き声
ワンワン ニャーニャー チュンチュン
バウバウ ニャーン カァカァ
クゥン ゴロゴロ ピッピ

同じ犬や猫でも、さまざまな鳴き方があるのが特徴です。特に鳥はスズメ、カラス、文鳥などの種類によって鳴き声が違います。

自然の現象(擬音語)

自然の現象のうち、音が聞こえるものであれば擬音語として表現できます。

水の音 風の音 火の音
ピチャピチャ ビューオー ゴォー
ザーザー ヒュー ブゥーブゥー
サラサラ ピューピュー パチパチ

日本では特に水の音を表すオノマトペが多いと言われています。また静かに燃える火そのものに音がなくても、薪がはぜる音を「パチパチ」と表現したり、肉が焼ける様子を「じゅう」と表現したりと、別の音を生み出すこともあります。

物事の状態(擬態語)

人が笑う・泣く

大きく笑い転げる様子 静かに笑っている様子 いやらしく笑う様子
げたげた ニコニコ ニヤニヤ
ころころ にっこり ヘラヘラ

声に出して笑っている様子を表す擬音語とはまた違った、笑っている“様子”を伝える擬態語です。

しくしく さめざめ ぽろぽろ

大人になれば声を出して泣く人は少なくなりますが、静かに「しくしく」泣いたり、涙を「ぽろぽろ」流したりと、泣く様子をオノマトペで伝えることはできます。

自然や物の状態

光っている様子 人の様子 物質の様子
キラキラ うろうろ カチカチ
ギラギラ バタバタ テカテカ
ランラン ふらり ツルツル
ピカピカ ぼうっ(と) サラサラ

「サラサラ」は水の音の項目でも紹介しました。同じオノマトペでも、「水がサラサラ流れる」「サラサラの髪」など使うシーンや前後の文脈によってイメージされる情景が違います。

ここでは一例として紹介しましたが、他にも物事の状態を表す擬態語はたくさんあります。小説を読んだり、誰かが表現した言葉を噛みしめたりして、擬態語を意識してみるといいですね。

気持ち・感情(擬態語)

人の気持ちや感情など、精神面をオノマトペで表すこともできます。

ワクワク ドキドキ そわそわ
ウキウキ デレデレ キュン

これらのオノマトペを聞いただけで、前後の文章がなくてもどんな状態かイメージできるのではないでしょうか?人の精神面を表現したオノマトペは、比較的誰でも同じイメージをしやすい言葉なのです。

オノマトペの効果的な使い方

では、オノマトペはどの場面でどのように使うといいのでしょうか?

オノマトペの効果的な使い方を解説しましょう。

文章が堅いときに使う

実はオノマトペを文章に使わなくても、他の表現方法で補うことはできます。ただ、オノマトペを使わないと文章が堅苦しく感じる場合には、どこかに取り入れてみるといいでしょう。

オノマトペを使わない場合:「雨が激しく降っている」

オノマトペを使った場合:「雨がザーザー降っている」

オノマトペを使った方が、雨が降っている様子がわかりやすいですよね。堅い文章を柔らかく調整する効果もあります。

ひらがな・カタカタを使い分ける

オノマトペを使うとき、ひらがな・カタカナどちらが正しいのか気になる人も多いかもしれません。しかし「オノマトペはカタカナで!」というルールはないため、どちらを使っても問題ないのです。

ひとつ言えることは、ひらがなの方が柔らかい印象になり、カタカナは強い印象になります。

ひらがな:星がきらきら光っている

カタカナ:星がキラキラ光っている

この2つの例文を見比べてみると、カタカナの方が強く光っているとイメージできますよね。逆に、次の文章ではどうでしょうか?

ひらがな:アロマがふんわりと香った

カタカナ:アロマがフンワリと香った

カタカナの「フンワリ」はどこか物質的な印象が強く、手で掴めない「香り」と組み合わせるとどこか違和感があります。この場合「ふんわり」を使う方が自然です。

このように、どう表現したいのか?どんな印象にしたいのか?によってひらがな・カタカナを使い分けるようにしましょう。

清音・濁音の使い分け

上記と同様に、清音と濁音の使い分けも印象を左右します。

清音:彼は目をキラキラ輝かせている

濁音:彼は目をギラギラ輝かせている

「キラキラ」が純粋な目の輝きを表しているのに対して、「ギラギラ」はどこか「獲物を狙うような目」を想起させますね。

清音:彼女の髪はサラサラだ

濁音:彼女の髪はザラザラだ

髪を「ザラザラ」と表現することは少ないですが、例えば砂まみれになった状態などであればピッタリの表現かもしれません。

状態を的確に表したいときには、清音・濁音をうまく使い分けましょう。

二重に繰り返すもの・繰り返さないもの

オノマトペには二重に繰り返すもの・繰り返さないものがあります。

星がキラキラ光る

星がキラッと光る

「キラキラ」と二重に繰り返せば、星がその場で光り続けている様子に。一方で「キラッ」と繰り返さない言葉を使うと、一瞬だけ光っている様子になります。

こちらも伝えたい状態を的確に伝えるために、上手に使い分けましょう。

オノマトペの後に「と」を付ける場合・付けない場合

引用を表す格助詞の「と」をオノマトペの後に付ける場合と付けない場合があります。どちらが正しいかは、その表現方法によって変わります。

星がキラキラ光っている

星がキラキラ“と”光っている

二重に繰り返すオノマトペであれば、どちらの使い方も間違いではありません。文章のリズムに合わせて使い分けるといいでしょう。

彼はニコリ笑った

彼はニコリ“と”笑った

この「ニコリ」を使う場合には、格助詞「と」がないと不自然ですよね。

「ニヤリ」や「うっとり」といった二重に繰り返さないオノマトペに対して「と」を付けるべきか迷ったときには、一度「と」を付けてみて語感を確認するといいでしょう。

オノマトペを使いすぎるのはNG

彼女はプンスカ怒りながら、ドカドカと出て行ってしまった。バタン!とドアが閉められた瞬間、花瓶がガシャーンと落ちた。

このようにオノマトペをたくさん使えば確かにその情景をわかりやすく伝えられますが、幼稚な印象を与えてしまいます。

特に堅めの文章では、適所にオノマトペを使っても、あちこちに使いすぎるのはNG。塩梅が難しいところではありますが、他の文章表現と組み合わせていきましょう。

オノマトペを取り入れて情緒のある文章を書いてみよう

オノマトペはそのときの状態・情景を読み手に的確に伝えられるため、特に小説やエッセイなどと相性が良いです。

日本語のオノマトペの種類はかなり多いため、自分が伝えたい状態・情景に対してピッタリの言葉は必ずあるはず。

自分の文章が堅苦しいと感じるときには、適所にオノマトペを取り入れてみるといいでしょう。

  1. 参考:灰島かり(2005)『絵本翻訳教室へようこそ』研究社
  2. 参考:灰島かり(2005)『絵本翻訳教室へようこそ』研究社
  3. 参考:灰島かり(2005)『絵本翻訳教室へようこそ』研究社

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次