リズム感のある文章を書くコツとは?楽しく読みやすくする方法を解説

テンポ良く読めて、かつ内容もどんどん頭に入ってくる。そんな文章を読んだことはありますか?

リズム感のある文章はどんどん読み進められるもの。読者が文章に没頭している状態なのです。

ライターや作家なら、読者を没頭させる文章を書きたいですよね。そこで今回は、リズム感のある文章を書くコツをご紹介します。

目次

リズム感のある文章とは?

そもそも、「リズム感のある文章」「リズミカルな文章」とはどんな文章なのでしょうか?特徴を見てみましょう。

リズミカルな文章=テンポがいい文章

「リズミカルな文章」とは言い換えると「テンポがいい文章」のことです。

ただの文章に音楽はついていないので「リズム」や「テンポ」という言葉を使うのは不自然に感じるかもしれません。しかし実際のところ、私たちは頭の中で「リズム」や「テンポ」に合わせて文章を読んでいます。

試しに、文章を声に出して読んでみましょう。抑揚をつけたり、読点で一旦区切ったりしながら読みますよね。

この読むときのテンポが心地よいと、不思議と文章の内容も頭に入ってくるのです。

韻を踏んでいる

では、テンポが心地いい文章にはどんな特徴があるのでしょうか?次の文章を例に見てみましょう。

見ざる・聞かざる・言わざ

為せば成る、為さねば成らぬ

踊るんだ、踊り続けるんだ

これらの文章はどれも韻を踏んでいます。

韻を踏むとは、同じ言葉や似た響きの言葉を繰り返す手法です。音楽やラップでよく使われていますね。

テンポがいい文章は、実は適度に韻を踏んでいることが多いです。そのため、音楽のようなリズム感、心地よさがあり、文章を読んでいてノリノリになっていくのです。

海外文学 VS. 村上春樹の小説

より鮮明にイメージするために、海外文学と村上春樹の小説を思い浮かべてみましょう。

日本語に翻訳された海外文学は、元は外国語です。日本語との言い回しの違いや微妙なニュアンスの違いがあるにもかかわらず、無理やりにでも日本語に訳さねばなりません。

その結果、テンポが悪くどこか読みにくい文章になってしまうこともあります(外国語で読めばテンポがいいかもしれませんが)。

一方で、文豪と呼ばれる村上春樹の小説は母語の日本語で書かれています。日本語独特の言葉の組み方や風情を感じさせる言い回しなどがあり、非常にテンポが良いです。もちろん読み手も日本語が母語ですから、気付けば文章に没頭しているでしょう。

このように、海外文学と村上春樹の小説を比較してみると、リズム感のある文章がどんな文章かがわかりやすいです。

リズム感のある文章を書く4つのコツ

ただ綺麗な日本語で文章を書いてもリズム感は生まれません。海外文学も日本人が理解しやすいように綺麗な日本語・正しい日本語で書かれていますが、リズム感はありませんよね。

ここでは、リズム感のある文章を書くための4つのコツをご紹介しましょう。

語尾(文末表現)を工夫する

誰でも最初に取り組める方法が、語尾(文末表現)を工夫する方法です。

一般的に語尾は、敬体なら「〜です」「〜ます」、常体なら「〜だ」「〜である」で終わります。しかし、ずっとこの2種類の語尾だけを使っていてはリズムは生まれません。

文章にリズム感を出すためには、文章にリズム感を出すためには、次のような工夫をしてみましょう。

  • 敬体の中に少しだけ常体を織り交ぜてみる
  • 適切に体言止めを使う
  • 現在形に加え、過去形でも書いてみる

語尾にバリエーションを出すだけでも、淡白な文章を改善できます。

また、韻を踏むことを意識してあえて同じ語尾を続けるのもいいでしょう。同じ文末表現にすることでリズムを整え、読者をグッと引き込みます。

ボキャブラリーを増やして言い換える

ラップをよくよく聴いてみると、そのボキャブラリーの豊富さに驚くことがあります。

ライティングも同じで、ボキャブラリーをたくさん持っておくと同じ意味・似た意味の言葉を別の言い回しで表現できます。

彼女は秘密を打ち明けることを渋っているようだ

↓言い換え

彼女は秘密を打ち明けることをためらっているようだ

ボキャブラリーが豊富であればあるだけ、使う言葉の選択肢が広がるということです。選択肢が多ければ、韻を踏みたいと思ったときにすぐに思い付けるのもポイント。

ぶどうはいかがですか? → このぶどう、一粒どう?

酸味のあるアップルパイを食べて満腹です → 酸っぱいアップルパイ食べてお腹いっぱい

ボキャブラリーは言葉の選択肢。たくさん文章を読んで、言葉の引き出しを増やしていきましょう。

長い文章を短く区切る

長い一文の中でリズム感を出すのは至難の技です。さらに、長い一文が続くほど読みにくく、内容も理解しにくくなってしまいます。

リズム感のある文章は意外と短い一文であることが多いです。例として、アニメの名セリフを見てみましょう。

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(『ドラゴンボール』より フリーザ)

黙れ。何も違わない。私は何も間違えない。

(『鬼滅の刃』より 鬼舞辻無惨)

撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ。

(『コードギアス』より ルルーシュ)

同じ言葉や似た意味の語句を使いつつ、韻を踏んでいます。

ライティングでは、長い文章を意図的に短い文章に区切ってみてください。たとえ韻を踏めなくても、短い文章を組み合わせることで文章にリズム感が生まれますよ。

読点の打ち方を意識する

読点「、」はいわば音楽の“息継ぎ”となる部分です。人が文章を読むとき、読点でひと呼吸置いてから次の文章に進みます。

一般的に、読点を打つタイミングは次の通り。

  • 意味の切れ目
  • 誤読の可能性があるとき
  • 「間」をとりたいとき

この中で、文章にリズムを出す打ち方は最後の「間」をとりたいときに打つ方法です。

犬も歩けば棒に当たる。カッパも川に流される。どんなに得意でも失敗することはある。

↓読点を打つ

犬も歩けば、棒に当たる。カッパも、川に流される。どんなに得意でも失敗することは、ある。

読点がなくても読みやすい文章ですが、読点を打つことで強弱がつきます。読点の後に続く「棒に当たる」「川に流される」「ある」という言葉を、読点によって強調しているのです。

とはいえ、読点が多すぎても読みにくい文章になってしまいます。読点の打ち方を意識しながら文章を書いてみましょう。

文章のリズム感を磨くためには

文章のリズム感というのは、見よう見まねで出せるものではありません。下手をすると、不調和音のような違和感のある文章になってしまいます。

リズム感とは、インプットとアウトプットを繰り返すことで少しずつ磨いていくもの。では、どうやってリズム感を磨けばいいのでしょうか?

小説やコラムを読む

インプットの一環として、小説やコラムをたくさん読むようにしましょう。

世の中の文章には、ビジネス書や論文、ニュースのように論理的に組み立てられた文章も多いですが、綺麗で正しい日本語を学べてもリズム感は学べません。リズム感を学ぶのに適しているのは、人の理性ではなく感情にうったえる小説やコラムなのです。

たとえば、村上春樹の小説はとてもテンポが良いですし、山本ゆりさんのコラムはウィットに富んでいてクセになります。自分が読んでいて心地良いと思う作家の文章をぜひ読んでみてください。

音楽を聴く(歌詞を読む)

リズムといえば音楽。音楽を聴くことも、文章のリズム感を養うのに適しています。

ただ単に音楽を聴くのではなく、歌詞に耳を傾けましょう。音楽と一緒に歌詞を追いかけたり、または音楽を止めて歌詞だけを読むのもおすすめ。

どういう歌詞にどういうリズムが加わることで、心地良い音楽になるのか?それを意識することで、文章にリズムを持たせるヒントになるでしょう。

主人公になった気分で書く

大統領や首相、優秀なビジネスマンの演説を聞いたことがあるでしょうか?演説がうまい人は言葉の一つひとつに熱が込もっていて、説得力がありますよね。短い言葉を放ちながら、演説にリズム感を出しています。

文章を書くとき、あたかも自分が主人公になったかのように書いてみましょう。その文章を自分ゴト化して書くことで、言葉に熱を込められます。そして演説をするように、リズム感のある文章が生まれるのです。

リズム感のある文章はどんどん読み進められる文章

リズム感のある文章とリズム感のない文章では、前者の方がどんどん読み進められますよね。はやく読んでもしっかり内容が頭に入っているので、まさにライターにとって「リズム感」は身に付けたいスキルの一つです。

あなたの文章を楽しく、そして読みやすくするために、ぜひ文章のリズムを意識しながらライティングをしてみましょう!

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