集客やブランディング、リクルーティングなどに効果的だと話題のオウンドメディア。しかし、立ち上げたはいいものの、戦略なしで運用していてはいつまでも望む結果は出ません。
本記事では、集客・購入やお問い合わせのCV(コンバージョン)、そしてアフターフォローまで、オウンドメディアで結果を出すための戦略をご紹介します。
ただし、1つの戦略だけですべてのオウンドメディアが成功するわけではありません。ここで紹介する戦略を参考にしながら、自社のオウンドメディアに合った方法を探っていきましょう。
【準備編】結果を出すための土台づくり
「CMSを使ってオウンドメディアを立ち上げたら準備完了」とならないのがオウンドメディア。
実際に戦略を考える前に、運用する上での知識を付けたり市場調査をしたりして土台を作っておきましょう。
消費者の購買プロセスとは?
あなたは消費者が商品を認知してから購入するまで、どんなプロセスを経ているかご存知でしょうか?
購買プロセスには様々なモデルが提唱されていますが、基本となるのが「AIDMA」です。
- Attention(注目)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
インターネットやSNSを利用する現代では「AISAS」モデルもマッチしているでしょう。
- Attention(注目)
- Interest(関心)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Share(共有)
他にも購買行動モデルはたくさんありますが、こうした消費者の購買プロセスを知っておくことで、どのタイミングで・消費者が何を思ってオウンドメディアと接しているのかがわかります。
ターゲットと商品の親和性が命
オウンドメディアを通して自社の商品やサービスを購入・利用してもらうことを目的としているなら、「オウンドメディアのターゲットと商品のターゲットが一致している必要がある」ということは誰でも理解できるでしょう。
しかし、実際にはターゲットが一致せず、閉鎖に追い込まれたオウンドメディアもたくさんあります。
例えば、ぐるなび運営の「みんなのごはん」は消費者向けに食の話題を発信していますが、本来ぐるなびは飲食店向けにサービスを提供して収益を得ている企業です。
オウンドメディアと商品・サービスのターゲットが一致せず、数ヶ月間は更新停止の状態になりました。
大量のアクセスが集まってもマネタイズできなければオウンドメディア運営は立ち行かなくなります。
オウンドメディアと商品・サービスのターゲットが一致しているか、親和性があるかをもう一度確認しましょう。
【集客編】“浅く広く”で認知度を高めよう
オウンドメディアに訪れるユーザーを増やしたり、アクセスを増やしたりするには、まず“浅く広く”を意識していきましょう。
SEO対策は必須事項
どのオウンドメディアにもSEO対策は必須です。
ターゲットの立場になって検索しそうなキーワードを選定し、求める情報や役に立つ情報をまとめたコンテンツを作ります。
さらに内部対策・外部対策を強化しつつ、アクセス解析を行なって改善点を見つけます。
ときにはリライトしたり、Googleの検索アルゴリズムが変われば調整を行う必要もあるでしょう。
とても地道な作業なので、SEO対策よりもSNSでバズるようなコンテンツを作りたいと思う人もいるかもしれません。
しかしインターネットを利用している以上、「ユーザーのニーズ・意図に沿った回答をコンテンツとして提供する」というSEO対策がすべての基礎であることを忘れてはいけません。
SNSや広告との併用
開設されたばかりなどでドメインパワーが弱いオウンドメディアは、検索流入があまり伸びません。
そこでSNSや広告なども併用して、オウンドメディアに集客していきましょう。
SNSは拡散性が高く「GoogleではなくSNSで検索してモノを買う」というユーザーも増えています。
今やユーザーは「ググる派」と「タグる派」に分かれているのです。
SEO対策でリーチできるのはググる派のユーザー。
SNSを中心に利用するユーザーにもリーチするために、SNS運用をしてタグる派のユーザーも取り込んでいきましょう。
広告は検索キーワードと連動して配信されるリスティング広告や、SNSのタイムライン内に配信されるインフィード広告などがあります。
広告もググる派・タグる派の両方にリーチできるように使い分けましょう。
口コミやバズを狙う
SEO対策が基本とはいえ、SEO記事ばかりではなんだか機械的で味気ないサイトになってしまうもの。
きちんとSEO対策ができているなら、SEO記事の間に口コミやバズを狙った記事も挟み込みましょう。
面白い記事はSNSでバズれば一気にアクセスアップを狙えます。
口コミが広がっていき、オウンドメディアの認知度も高まるでしょう。
面白い記事の特徴を理解していればバズを狙うことは十分可能です。
以下の記事でもバズるコンテンツの特徴や作り方を解説しているので参考にしてみてください。
ブランディングが集客をラクにする
ブランディングを行うことでより多くの人に認知を広められるだけでなく、消費者の企業に対する“イメージ”を構築・浸透させることができるため、揺るがない地位を固めることができます。
例えば同じスポーツブランドでもNIKEとadidasはそれぞれファンの顧客を持っていますし、同じバーガー店でもマクドナルドとフレッシュネスバーガーは違う顧客層にアプローチしています。
広げて絞るコンテンツ作り
浅く広く集客するコンテンツとは、先ほども出てきたようにSEO対策が施されて検索流入が見込めるコンテンツやバズコンテンツです。
しかしそれだけでは「役に立った」「面白かった」という感想を持って離脱されます。
それはそれで悪いことではないのですが、CVに繋げるためには“絞る”コンテンツも重要です。
どういうことかというと「もっと知りたい」「他に情報はないの?」とユーザーが自発的にサイト内を回遊するようなコンテンツです。
SEO記事で広く集客したら、それに関連する別の記事(記事A)をおすすめ欄に表示します。
さらに記事Aの中でも関連の強い記事Bや記事Cを表示します。
このようにどんどん階層が深くなるようなサイト構成をしていきましょう。
ユーザーはA、B、Cと読み進めていくうちに「このサイトはまさに自分が欲しい情報をくれる!」と思ってくれるので、オウンドメディアに何度も訪れたり、この後のCVに繋がったりするのです。
【CV編】顧客育成を通して絞り込もう
“浅く広く”で大勢のユーザーを集めたら、次は特にエンゲージメントが高そうなユーザーに絞り込んで、購入やお問い合わせ、申し込みなどのCVを取っていきます。
見込み客をナーチャリング
集客した見込み客を育成し、購入やお問い合わせにつなげていくことを「リードナーチャリング」と言います。
前項で触れたSEO記事→記事A→記事B→記事Cの流れもリードナーチャリングの一環です。
しっかりとナーチャリングを行うことで、見込み客のオウンドメディアや企業へのエンゲージメント(言い換えれば愛着心や信頼感)を育て、見込み客から顧客へ、そしてファンへと育成していけます。
スコアリングによってアプローチを変える
ナーチャリングには、見込み客をスコアリングしてアプローチの仕方を変えるという方法があります。
例えば、見込み客の行動によって次のような点数を決めます。
- オウンドメディア訪問 10点
- サイト内を回遊 1ページにつき5点
- 離脱後再訪問 40点
- 問い合わせや資料請求 60点
- 数日おきに何度も再訪問している 1回につき10点
この合計点数が高ければ高いほどオウンドメディアに対して興味関心が強かったり、購買意欲が高かったりするということです。
300点の見込み客には具体的な商品・サービスを紹介する、100点の見込み客は資料請求へ誘導、50点以下の見込み客にはとにかく役に立つコンテンツをたくさん読んでもらうなど、スコア別にアプローチを変えられますよね。
見込み客ごとに必要なアプローチは異なるため、スコアリングは非常に有効です。
イベントで欲求を刺激
人はイベント事が好きです。
そこで、オウンドメディアでもオンライン・オフライン問わず自社の商品・サービスを盛り込んだイベントを開催してみましょう。
例えば、新商品リリースに合わせて店舗で商品を実体験できるイベント、オンラインでの勉強会やワークショップ、SNSを使ったキャンペーンなど。
オウンドメディアでは告知からイベントレポート、インタビューなどの記事が書けますし、SNSでのシェアも期待できます。
何かを楽しむこと、誰かと共有することで、見込み客の欲求を刺激するのです。
“接点”を散りばめる
インターネット、スマートフォン、SNS、アプリなど、デジタル技術が発展したくさんの便利なツールができたからこそ、人々の行動は分散化されました。
Googleで調べる、SNSで友達と話す、アプリに写真を保存するなど、その場その場で私たちは利用するツールを乗り換えていきますよね。
そんな時代に合わせ、オウンドメディアは1つでも“接点”は複数用意しましょう。
その理由は単純接触効果(ザイアンスの法則)を狙うためです。
- ブラウザで開けるけど、アプリからも利用できる
- 最新情報がメルマガで届く
- 公式LINE@にクーポンが届く
- ウラ話をライブ配信で聞ける
など、多方面での接触機会を持つことで、見込み客は自社やオウンドメディアに対して好意を持つようになるでしょう。
CVに繋げるクロージングコンテンツ作り
見込み客がオウンドメディアに接触するたびにニーズを感じるようになったら、いよいよCVに繋げるためのクロージングを行ないます。
とはいえ、営業のように対面でクロージングできるわけではないため、営業マンの代わりとなるクロージングコンテンツを作りましょう。
クロージングコンテンツはいわば見込み客に商品を買わせるためのコンテンツなので、商品紹介ページということになります。
- その商品がどんなもので
- 見込み客にどんなメリットがあり
- 利用したらどんな結果をもたらすか
この3点を過不足なくコンテンツに盛り込みましょう。
そのとき、コピーライティングを用いることでCV率を高められるため、コピーライティングも学んでみるといいですね。
【アフターフォロー編】顧客からずっと愛されるためには
オウンドメディアの良いところは、ユーザーと長く関係を築けることだと言えます。
オウンドメディアを活用してアフターフォローを行い、顧客にずっと愛される存在になりましょう!
リスト集めと活用例
オウンドメディアを作ったのなら一方的に情報を発信するのではなく、ぜひともユーザーからアプローチしてくるようなメディアを目指しましょう。
- 小さなことでも良いので問い合わせをしやすい環境・雰囲気を作る
- ユーザー参加型のコンテンツやイベントを増やす
- 顧客1人1人のプロフィールを把握してコミュニケーションを取る
こうした運用をしていくと、自然と顧客リストが集まってきます。
ずっと愛されるオウンドメディアは、このリストをどう活用するかどうかで決まってくるのです。
リストを手に入れたら顧客のスコアリングや分析を行いましょう。
そのデータを元に、
- 300点以上の顧客にはお礼状やギフトを送る
- 初回購入で止まっている顧客にはクーポンを送る
- 男性にはAのサービス、女性にはBのサービスを提供する
- 季節ごとに年代別のおすすめ商品をピックアップする
といった工夫のある活用ができるでしょう。
顧客に“特別感”を与える方法
誕生日にホテルを取ったら、ホテル側が無料でスイートルームにアップグレードしてくれた。
こんなサービスを受ければ誰もが気持ち良いと感じますよね。
オウンドメディアでも同じような対応をすることができます。
- 会員しか読めない秘密のコンテンツを作る
- その人の「お気に入り」を集められる専用ページを作る
- 誕生日や登録○年記念のクーポンを用意する
- 優良会員はイベントなどにご招待
- 「読者にインタビュー」で取り上げる
など、顧客の気分が盛り上がるようなサービスは顧客に“特別感”を与えてくれます。
自分が特別扱いされることで、顧客は「もう一度利用しよう」という気になってくれるのです。
引き続き情報発信を
オウンドメディアは何よりも継続することが一番大事です。
ある程度顧客やリピーターが増えても、彼らは何度もオウンドメディアに訪れては、更新コンテンツを読んでいってくれるのです。
更新が止まることで顧客が離れてしまうといっても過言ではありません。
引き続き情報発信を行い、新規もリピーターも満足させてくれるコンテンツを増やしていきましょう!
オウンドメディア運用は頭を使って戦略的に!
オウンドメディア運用は毎日記事を更新して、アクセス解析をして、たまにリライトして…と単調になりがちです。
運用に慣れてしまうと次第に頭を使わなくなり、アクセスが増えたとしても目的とするCVまで繋がりません。
趣味としてオウンドメディアを運用するならまた別ですが、しっかりと結果を出したい、売上を伸ばしたいのであれば、頭を使いながら戦略的に運用していきましょう!