「真剣に話しているのに分かってもらえない」
「相手のためを思って言っているのに理解されない」
このような経験をしたことはありませんか?
「説得力のある話し方ができれば、仕事でもっと活躍できるのに…」
と、悔しい思いをしている人も少なくないはずです。
そこで当記事では、なぜ相手を説得するのが難しいのか、説得するために必要なテクニックなどを解説します。
相手はあなたの話しを聞いていない
相手のことを説得できない理由はとても簡単です。
「他人はあなたの話を聞いていない」
どれだけあなたが正しいことを分かりやすく説明しても、
- 自分の考えが一番正しい
- 話してる人間に興味がない
- 話の内容に価値を感じない
などの理由で、他人はあなたの意見に耳を傾けません。
人間は自分に都合のいい話だけを聞く
相手はあなたの話を聞いていませんが、自分にとって都合のいい内容は耳に入っています。
例えば喫煙者に
喫煙はストレス解消になっているかもしれませんが、健康には悪影響を与えます
と、伝えたとしましょう。
この場合「喫煙はストレス解消になる」という部分には肯定的な反応を示します。
しかし「健康に悪影響」という部分には否定的になります。
中には「ストレスが溜まるとうつ病とかの原因になる」などと反論する人もいるはずです。
データを揃えて正論を伝えたとしても、あなたの言葉を受け入れてはくれません。
それどころか「自分は絶対に正しい」と、かえって自分の考えに固執するようになります。
これを「バックファイア効果」といいます。
相手に納得してもらうことが重要
大抵の人は、自分の意見を曲げられることを嫌います。
いくら正しいことを伝えても、相手からすれば「押し付けられた」と感じてしまうのです。
相手と良好な関係を築きつつ、自分の意見を受け入れてもらうには「納得」してもらうことが重要です。
「なるほど」と納得してもらうことで、あなたの言葉を抵抗なく受け入れてもらうことができます。
説得力のある話し方ができない理由
相手を説得できないのは、あなたの話し方にも問題があるからかもしれません。
よほど魅力的な内容でもない限り、他人はあなたの言葉に耳を傾けません。
さらに、次のような話し方をしていると聞き流されてしまう可能性が高いのです。
- 自分の意見を押し付けようとしている
- 理論的に考えることができない
- 分かりやすく伝えられていない
- 声が小さく自信がなさそう
- 周囲の人に信頼されていない
- 相手の感情を動かせていない
以下では、相手に「説得力が感じられない」と思われる話し方について解説します。
自分の意見を押し付けようとしている
「説得=自分の意見の押し付け」だと思っていませんか?
相手を正論で言い負かし、自分の意見を押し付けるのは「説得」ではありません。
例えば、仕事で取引先を説得しなければいけない場面があったとします。
相手よりも自分の考えが正しいからと、正論で言い負かして自分の意見を押し付けるとどうなるでしょう。
おそらく相手は説得されるどころか、あなたに反発し怒りをあらわにするはずです。
自分の意見を押し付けるような話し方は、相手を怒らせかねないため止めておきましょう。
内容をまとめ切れていないのに話している
自分の考えをまとめ切れておらず、ただ頭に浮かんだことを話していませんか?
最初は商品やサービスの説明をしていたはずなのに、気がついたら脱線していた
これは話に説得力がない人のやりがちな失敗です。
仕事に関係のない話をダラダラされると、相手は時間を無駄にしていると感じるでしょう。
分かりやすく伝えられていない
専門用語ばかりで分かりにくい話し方をしていませんか?
商品やサービスの説明をする際は、相手に分かりやすいように伝えることが基本です。
これくらいのことは知っていて当然
と、他人のことを考えずに専門用語を使うのは止めましょう。
理解できない難しい說明では、相手も聞く気がなくなってしまいます。
声が小さく自信がなさそう
聞き取りづらい声で、自信なさげに話してはいませんか?
例えば、猫背で雰囲気の暗い人と、明るくて自信に満ちている人がいるとします。
同じ商品やサービスを購入するとしたら、どちらの人を選びますか?
おそらく明るくて自信がある人ではないでしょうか。
小さな声で自信のなさそうな態度では、相手を説得することはできません。
周囲の人から信頼されていない
「信頼」は相手を説得するために欠かすことのできない要素です。
信用できない人に商品やサービスを紹介されても、購入したいとは思えないはずです。
相手を説得できないのは、信頼が足りていないからかもしれません。
相手の感情を動かせていない
無感情・無感動・無関心の相手を説得することは困難です。
どれだけ良い品だったとしても、興味がなければ購入したいと思えないものです。
相手の感情を動かすことができなければ、説得することはできません。
説得力のある話し方に必要な5つのポイント
説得力のある話し方をするには、次に紹介する5つのポイントを押さえておく必要があります。
- 信頼を得る
- 感情を動かし興味を持たせる
- 論理的に話を組み立てる
- 自信を持った態度で話す
- ポジティブな内容を含める
以下で詳しく解説します。
周囲の信頼を得る
相手に話を聞いてもらうには、信頼される関係性を構築する必要があります。
例えば、あなたの好きな有名人が商品やサービスのCMをしていたとしましょう。
即購入とはならなくても「どんな商品だろう?」と興味は惹かれるはずです。
同様に、前作が面白かった映画やドラマは次回作にも期待しませんか?
この有名人が紹介しているなら大丈夫
前作が面白いから今作も面白いはず
など、信頼は安心感や期待感を生みます。
あなたの言うことなら間違いない
と思ってもらえるような信頼関係を築くことで、格段に説得しやすくなります。
信頼関係を築く方法に「傾聴」があります。
傾聴の詳しいやり方や信頼関係の重要性については、以下のページで詳しく解説しています。
![](https://edit.roaster.co.jp/wp-content/uploads/2022/08/AdobeStock_445078001.jpg)
感情を動かし興味を持たせる
あなたの話を聞いてもらうには、相手の感情を動かす必要があります。
この商品を買うことで喜びが得られる
サービスを受けないと不安になる
など、相手の感情を動かすことで相手の興味を引くことが可能です。
興味のあることなら相手も話を聞いてくれますし、説得もしやすくなります。
感情の中でも「共感」はより重要な位置を占めています。
相手の気持ちに共感し寄り添うことで
あの人なら私の悩みを分かってもらえる
という安心感を与えられます。
安心は信頼や信用を生み、結果としてあなたの説得力を高めることに繋がります。
論理的に話を組み立てる
人間は正論で考えを変えることはありませんが、正しい内容でなければ信用は得られません。
正確なデータや正論では、相手の考えを変えることは困難です。
しかし、あなたの話す内容が間違っていたり、まとまりがない話し方では相手からの信頼や信用を失います。
内容が正しいのはもちろん、相手が理解しやすいように論理的に組み立てて話しましょう。
自信を持った態度で話す
堂々とした態度で話すことは、相手の信頼を得る手段のひとつです。
人間が情報を読み取るために使われるのは、視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1%といわれています。
つまり、ハキハキと明るく話すだけで、聞き手に良いイメージを与えられるということです。
さらに「そんなに自信のある内容とは?」と、興味が掻き立てられます。
ポジティブな内容を含める
話しの中に相手の得になる内容を含めることで、説得できる可能性が高まります。
大抵の人間は、自分の得になることなら話を聞くという傾向にあります。
例えば禁煙を進めるなら、
- 健康を気にしている人であれば「健康に悪いから」
- 貯金を考えている人なら「禁煙すると1年で10万円以上節約できる」
- スポーツで成績を伸ばしたい人には「持久力などが上がり成績が伸びる」
- 体臭を気にしている人なら「体臭の改善に繋がる」
といった具合に、相手が得と感じる内容を含めることで説得力が増します。
ストーリーテリング」は説得に効果的な手法
相手を説得する手法として「ストーリーテリング」も効果的です。
ビジネスでは、人を動かしたければストーリーを語ることが重要といわれています。
商品やサービスの紹介をストーリー仕立てにすることで、聞き手に強い印象や共感を残すことができます。
共感は信頼や信用を築くために欠かすことのできない要素です。
相手に信頼されることで、結果的に説得力も増すというわけです。
そんなストーリーテリングは、次にご紹介する順序を意識することがポイントです。
- ストーリーやメッセージで共感や興味を引く
- 解決を必要としている問題を提示する
- 問題を解決する方法や手段を提示する
- 解決することで得られるメリットを紹介する
- 実際に行動するように呼びかける
以下では、具体例を交えながらストーリーテリングについて詳しく解説します。
1.ストーリーで共感や興味を引く
あなたの話に興味のない聞き手に、いかにして聞いてもらうかが鍵となります。
そのために有効なのが、聞き手の興味を引くストーリーです。
最初に自分のストーリーを語ることで、
- 聞き手の興味を引く
- 聞き手に共感を与える
- 話し手のことを知ってもらう
といった効果が見込めます。
ストーリーの中には、成功体験だけでなく失敗談も交えましょう。
失敗した経験を語ることで「私にも心当たりがある」と興味を引くことができます。
例えば、相手にダイエットを勧めたい場合であれば、次のようになります。
2.解決を必要としている問題を提示する
次に、聞き手が抱えている問題を明確にします。
この時点であなたの話しに興味を持つ人は、あなたと同じ悩みを抱えている可能性があります。
そこで、自分がどのような問題を抱えてきたのかを示すことで共感が得られます。
3.問題を解決する方法や手段を提示する
抱えている問題を明らかにしたら、次は問題を解決する方法や手段を提示します。
人間は新しく知ったことを試してみたいという欲求があります。
新しい知識を使うことで、自分の悩みを解決できるかもしれない
という期待感を与えるのです。
4.解決することで得られるベネフィットを紹介する
解決策を示すだけでは十分とは言えません。
これに加えて、ベネフィットを提示することで行動を促すことが可能になります。
問題を解決することで、どんな嬉しい結果が得られるのかをイメージさせることが重要です。
5.実際に行動するように呼びかける
最後は聞き手に行動を促します。
あなたの話しに引き込まれて熱が高まっているうちに
「あなたもやればこうなれますよ」
「このような結果が得られますよ」
と語りかけることで、行動を促すことが可能です。
話し方の説得力が増す3つのテクニック
相手と会話をしていても、説得できているという手ごたえが感じられない
そんな時は、会話の最中に次のようなテクニックを活用するのが効果的です。
- PREP法
- 両面提示
- BYAF法
以下でテクニックの詳しい使い方について解説します。
1.PREP法
PREP法とは、相手に説明をする際の構成をいいます。
次の構成に当てはめることで、分かりやすく相手に伝えることができます。
- Point :結論
- Reason :理由
- Example:具体例
- Point :結論
先に結論から述べてから理由と続くのが特徴です。
聞き手は何よりも結論を知りたがるものです。
結論を後回しにすると、話が間延びして退屈に感じられます。
知りたがっている結論を先に伝えることで、相手はストレスを感じることがありません。
2.両面提示
両面提示は、物事の良い面と悪い面の両方を伝える手法をいいます。
良い面だけでなくあえて悪い面を伝えることで、相手の信頼を得ることが可能です。
|中見出し 3.BYAF法
BYAFとは「but you are free(でもあなたの自由です)」という意味です。
相手に条件を提示するけれど、最後は相手に選ばせる手法です。
例えば
私はAが好きですけど、選ぶのはあなたにお任せします
と伝えることで、Aを選ぶ可能性が高くなるといいます。
相手の意思を尊重することで、強制されていると感じさせません。
コツを掴めば説得力のある話し方は身につく!
当記事では今回、説得力ある話し方についてご紹介しました。
あなたの言葉を聞いていない他人を説得することは、とても難しい行為です。
そんな相手の興味を引くためには、次のポイントを押さえておく必要があります。
- 信頼を得る
- 感情を動かし興味を持たせる
- 論理的に話を組み立てる
- 自信を持った態度で話す
- ポジティブな内容を含める
加えて、ストーリーテリングなどのテクニックを活用することをおすすめします。
コツさえ掴めば説得力のある話し方は身につきます。
相手を説得する力を磨いて、今以上にビジネスで活躍しましょう!