従来はマーケティング活動のために、膨大な作業量を人手で行う必要がありました。それでは多くの人材コスト・時間コストがかかってしまいます。
ここ数年で高度なツールが普及しマーケティングオートメーション(Marketing Automation)が広く取り入れられるようになってからは、これらのコストを大幅に削減できるようになりました。それだけでなく、作業が効率化されたために、今まで以上に効果的なマーケティング施策に取り組めるようになったのです。
今回はマーケティングオートメーションがどんなものなのか?導入のメリットや基本の運用方法をご紹介します。
マーケティングオートメーション(MA)とは何か?
新規開拓や顧客育成を行うためには、データを調べ、解析し、保存して、参照しながらマーケティング施策を実行していかなければいけません。膨大なデータ量があるため、施策を考えるのにも、実行するにのも多くの人手が必要になります。
そんなマーケティング活動のデータを一元管理して可視化・自動化・仕組み化するのがマーケティングオートメーション(MA)です。
まずはマーケティングオートメーションの基本機能と注意点を見ていきましょう。
MAの基本機能
「オートメーション」には「自動化」という意味があります。つまりマーケティングオートメーションは、マーケティングに必要なデータの保存だけでなく、データ収集や分析などを機械が自動化してくれるツールのこと。
マーケティングオートメーションには、プロセスごとに次のような基本機能があります。
【新規顧客獲得】
- ランディングページ対応
- オウンドメディア構築
- SEO解析
【顧客分類】
- リードナーチャリング
- スコアリング
【顧客育成】
- 行動分析
- キャンペーン管理
- メール配信
【顧客管理】
- 顧客リスト作成
- レポーティング
こうして見てみると、MAがマーケティングの日常業務にどれだけ貢献してくれるツールなのかが想像できますね。
MAツールを使うときの注意点
当たり前ですが、MAツールを導入したらリストのデータを移行する手間がかかります。MAツールに十分なデータがない状態では、いつまでも最適なマーケティング施策を考えることはできません。
この手間は一時的なものですから、導入初期にはしっかり人材と時間を確保して取り組みましょう。
ただ、人材を投入するのは初期だけではありません。本格的にMAツールの運用を始めたら、専任の担当者を3名〜6名投入する必要があります。内訳は、運用責任者に加え、それぞれのマーケティング施策担当チームとMAツールとを媒介する人材です。
MAツールの導入を検討しているのなら、同時にどの人材を配置するのかも考えるとスムーズに導入できるでしょう。
マーケティングオートメーションを導入するメリット
マーケティングオートメーションを導入するメリットは、今まで人の手で行っていた業務を自動化できることだけではありません。
MAツール導入のメリットは、他にも次のようなものがあります。
素早く新鮮なデータを参照できる
素早くデータを処理し、レポーティングしてくれるマーケティングオートメーション。人の手では1週間かかっていたものが、1時間以内に完成することもあります。
1週間前のデータは時として「古い情報だ」と扱われることもありますが、1時間前のデータはほぼリアルタイム。素早く新鮮なデータを参照できるため、トレンドが移ろいやすいこの時代にこそ必要なツールだと言えます。
効果的なマーケティング施策がわかる
人の手と機械を比べたとき、素早さだけでなく精度においても機械の方が優れているもの。緻密な分析結果、ひと目でわかりやすいレポートなどをMAツールで作成できるのです。
そうした精度の高いレポートを見れば、次に打ち出すべきマーケティング施策もすぐに思い付きやすくなるはず。前回の結果と併せて参照すれば、より効果的なマーケティング施策も見えてくるでしょう。
見込み客の取りこぼしを防げる
会員登録やお問い合わせをしてくれたものの、契約まで至らなかった見込み客。こうした見込み客に何らかのアプローチをしない限り、向こうからアクションを起こしてくれることはほぼ無いと言えるでしょう。
MAツールには新規顧客の獲得や既存顧客の育成だけでなく、以前接点があった見込み客のデータも蓄積できます。いつどこで接点があったのかという経路だけでなく、例えばどのページを閲覧した、どのURLをクリックしたなどのアクションの記録も残るのです。
あと少し、というところで逃してしまった見込み客に対し最適なアプローチをかけ、取りこぼしを防ぎましょう!
営業活動を効率化できる
マーケティングオートメーションによりデータ収集や管理が仕組み化されれば、「あの人がいないとこの案件は進まない」「この件は誰に聞けばいいんだ?」といったトラブルが減ります。
つまり「〇〇さんじゃないとできない」という属人的な業務がなくなるため、日常の営業活動を効率化できるのです。
担当者はいてもいないようなもの。急なお問い合わせが入っても、MAツールからデータを参照すれば担当者が不在でもその場で答えられるのです。
マーケティングオートメーションの運用方法
マーケティングオートメーションにはさまざまなデータを蓄積できるものの、その膨大なデータをどのように運用すればいいのか迷う担当者も多いです。
結論から言えば、運用方法に正解はありません。自社の目的や目標に合わせた運用方法を、ときには型通りに、ときには柔軟に、考えていく必要があります。
とはいえ、何のヒントも指標もないと、高精度の機械を前に途方にくれてしまいますよね。そこでここでは、マーケティングオートメーションの基本的な運用方法の一例をご紹介します。
自社のビジネスや目的に合ったツールを選ぶ
世の中にはたくさんのMAツールがあります。ツールの選び方ですが、自社がBtoCなのかBtoBなのか、まずは自社のビジネス形態に合ったツールに絞りましょう。
そのうえで、MAツールを導入する目的をもう一度考えます。ただ単に可視化・自動化したいだけなのか、それともその他の機能も求めているのか?
例えば、顧客を徹底的に分析したいときには見込み客・既存顧客の分類に加え、ユーザー属性で分類できるツールがおすすめ。メール配信やオウンドメディア構築などに力を入れたいのなら、そうした機能に強いツールを選ぶといいでしょう。
ターゲットを分類する
ターゲットを決めていたとしても、実は個人個人によってフェーズが異なるもの。すでに何度も購入しているリピーターもいれば、先日購入したばかりの新規顧客も、そして登録はしたが購入まで至っていない見込み客もいますよね。
そうしたフェーズごとに、MAツールを使ってターゲットを分類しましょう。ここでキーとなる機能がスコアリングです。
例えば、ターゲットが初めて購入すれば50点、購入金額に合わせて10点〜100点、メルマガ登録で30点…など。点数が高いほど購買意欲が高いターゲットだということになります。
各ターゲットのCVを決める
次に、スコアリングによって分類したターゲットごとにCVを決めましょう。
すでに購買意欲の高いターゲットはリピーターになっている可能性もあるため、1ヶ月間隔で継続購入してもらうことをCVにするといいでしょう。
1度だけ購入したターゲットには2度目の購入を、まだ購入に至っていないターゲットにはまず初回の購入をしてもらうなど、単純明快なCVでかまいません。
ここからはMAツールで出したデータを元に自分で考える作業ですが、中にはAIが提案をしてくれるMAツールもあります。
施策の提案・実行する
CVを達成するための施策を提案・検証し、実行します。メール配信はもちろん、SNSやオウンドメディアを使ったアプローチ、キャンペーンの開催など、さまざまな施策案が出てくるでしょう。
施策ごとの管理・運用もMAツールで行えます。例えば広告を配信するには専用のプラットフォームを利用する必要がありますが、MAツールと連携・同期することも可能なのです。
また、PDCAを回すのもビジネスの基本。PDCA管理もMAツールでできますから、徹底活用していきましょう。
マーケティングオートメーション(MA)の導入を検討してみよう
マーケティング施策に行き詰まったり、人手が足りなくなったりしたときには、マーケティングオートメーションの導入で状況を打破できる可能性があります。
MAツールを導入したら使い方をしっかり学んで、余すところなく使い倒していきましょう!