ブランディング広告とは?レスポンス広告との違いから効果測定方法まで

認知拡大やブランドイメージの確立のために有効な広告手段には、「ブランディング広告」があります。しかし「広告」というと、多くの人がイメージするのはレスポンス広告です。

では、ブランディング広告とレスポンス広告の違いとは何でしょうか?

今回はブランディング広告とは何か、種類や効果測定のやり方までをご紹介しましょう。

目次

ブランディング広告とは?

ブランディング広告とは、簡単に言えば企業や商品・サービスのブランド力アップ、またはより多くの人にブランドを知ってもらうために配信・出稿する広告のこと。

ブランディング広告ではより広い層に届けるため、テレビCMや雑誌、新聞、看板、ラジオなどのマスメディアを媒体とすることが多いですが、近年はWeb市場が活発になっていることから、動画やデジタル音声、SNSを使ったブランディング広告も増えています。

そもそも「ブランディング」とは

そもそも「ブランド」や「ブランディング」とは何なのでしょうか?

「ブランド」には「銘柄」という意味がありますが、ビジネスにおいては商品の品質や価格などの「外的要素」ではなく、イメージや好感度などの「内的要素」を指すことが多いです。

たとえばNIKEは単なるスポーツウェアブランドではなく、「アスリート御用達」のイメージで打ち出しています。CHANELは創業時から「固定観念に捉われず自立し、洗練された大人の女性」のイメージを守り続けています。

このように、企業独自のメッセージを発信することにより、イメージの確立・好感度アップを狙った活動が「ブランディング」です。

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ブランディング広告の目的

ブランディング広告の目的はまさに、認知拡大、メッセージ想起、好感度アップ、購入意欲アップなど、先述した企業の持つ「ブランド力」を底上げすること。

同じような製品を多くのメーカーが作っていますが、多くのライバルがいる中から消費者に選ばれるためには、突出したブランド力が必要です。

ブランディング広告によって幅広く知られ、消費者に「〇〇といえばあの会社」と想起され、市場内で自社のポジションを確立できれば、その目的を果たせたと言えるでしょう。

レスポンス広告との違い

レスポンス広告とは、広告に接触した消費者からお問い合わせや購入などの反応(レスポンス)を得ることを目的とした広告のこと。多くの人が「広告」と聞いて想起するのは、このレスポンス広告でしょう。

レスポンス広告では売上アップやコンバージョン率の向上など、企業の直接的な利益向上を目指します。そのため広告効果のトラッキングや数値化もしやすいです。

対してブランディング広告は、直接的に利益向上に貢献しなくても、長期間かけてじわじわと利益に反映されることが多いです。

消費者のブランドに対するイメージをトラッキングや数値化することは難しいため、特別な方法で効果を調べる必要があります。

ブランディング広告の種類と広告運用方法

ブランディング広告はより多くの消費者に届けるため、ターゲットを絞りつつも、できるだけ広い層にリーチできる媒体を選ぶのが基本です。

ただ、認知拡大や好感度の向上などは一朝一夕でできるものではありません。繰り返し消費者に接触してはじめて広告効果が得られるため、長い期間が必要です。また期間が長くなるほどコストもかかることを忘れてはいけません。

では、ブランディング広告の種類と運用方法を見ていきましょう。

マス広告

ブランディング広告では一般的にマス広告が利用されることが多いです。マス広告には次の4種類があります。

テレビCM

テレビ番組の間に流れるCMソングを、気付けば覚えていたという人も多いのではないでしょうか。テレビCMは15秒〜30秒と短いですが、繰り返し消費者に接触できるため、少しずつ意識に刷り込んでいくことが可能です。

テレビCMの種類には次の2つがあります。

タイムCM:個別の番組内に含まれるCM枠内で放送される。最小単位は30秒〜、期間は2クール(6ヶ月)〜。

スポットCM:番組に関係なく指定の時間に放送される。最小単位は15秒〜、期間は自由。

タイムCMでは番組のジャンルによって、スポットCMでは放送される時間によって、ある程度のターゲットを定められます。誰もがテレビを見る時代ですから、最も多くの人にリーチできる広告だと言えるでしょう。

ラジオCM

ラジオは古い媒体だと思われがちですが、最近はほとんどの放送局がデジタルに対応し始めており、パソコンやスマホからラジオを聴く人が増えています。

ラジオCMもテレビCMと同様にタイムCM、スポットCMがあります。さらに放送エリアが限られているため、地域に限定したCMを流すことが可能。

そしてほとんどのリスナーは、家事をしながら、運転しながらなど「ながら聴取」をしているため、CMの間にチャンネルを変えられることはほとんどありません。

同じ曜日・同じ時間帯に同じラジオを聴いているリスナーが多いため、集中的にブランドメージを刷り込みやすいのが特徴です。

新聞

新聞広告といっても、全国紙から地方紙、スポーツ欄から政治欄、全面広告から小さな広告枠まで、掲載場所の選択肢が多いです。

インターネットの普及により新聞の購読数は減少していますが、高齢者や高所得者の購読数は多く、そうしたターゲットを狙う場合には向いているかもしれません。

新聞広告の種類もいくつかありますので、まずは予算に合わせて選ぶと良いでしょう。

全面広告:紙面を1ページ使って、文字や写真等で大々的にPRする

広告記事:企業や商品・サービスについて「1つの記事」として紹介してもらう

三行広告:必要な情報だけをピンポイントで伝える、低コストで小さな広告

雑誌

雑誌広告の種類は純広告と記事広告の2つ。

純広告:雑誌の表二(表紙の裏)や表四(裏表紙)など、比較的目につきやすい・目立ちやすい場所に広告を掲載

記事広告:タイアップ広告とも呼ばれ、他の紙面情報と同じような体裁で紹介されるため読み飛ばされにくい

このうちブランディング広告に最適なのが、ビジュアル要素が強い純広告です。

ファッション誌・スポーツ誌・経済誌と、雑誌の購読者はすでにセグメントされているため、自社の広告を掲載すべき雑誌はどれか選びやすいことが特徴。

ただし、同じファッション誌でも種類が多いため、自社の商品・サービスに合った雑誌選びが何よりも重要です。

屋外広告

ビルやお店の前に掲げられている看板広告、電車やタクシー内にある交通広告から、最近はデジタルサイネージと呼ばれるデジタル技術を使用したディスプレイ広告まで、家の外にもさまざまな広告があります。

こうした屋外広告は、ほとんどの人が通り過ぎてしまうもの。そのため伝えられる情報量は限られてしまいます。

しかし繰り返し目にすることで、潜在意識の中に少しずつ刷り込まれていきます。長期間出稿することで、少しずつ認知度を広めていけるでしょう。

動画広告

YouTubeやTikTok、Instagramストーリーズなど、動画がトレンドになっている今、動画広告もブランディングに有効です。

動画広告は文字だけ・画像だけの広告よりも情報量が多く、さらに音楽も加わることで消費者の記憶に残りやすいというメリットがあります。

動画広告の種類はこちら。

インストリーム広告:動画コンテンツの始めや終わり、途中に入れられる広告。スキップできる長い動画から、スキップできない短い動画もある

インリード広告:テキストコンテンツを読んでいる途中でスクロールすると表示される広告。スクロール作業の多いスマホと相性が良い

インバナー広告:Webサイトの広告枠に表示される動画広告で、スキップはできない

動画を自作できれば、マス広告よりも広告費用を抑えられる点もポイントです。

デジタル音声広告

デジタル音声広告とは、音声メディア内や、音声コンテンツの途中で流せる音声の広告のこと。たとえばSpotifyやPodcast、radicoなどはデジタル音声広告に対応しています。

ラジオ広告は電波配信ですが、こうした音声メディアではユーザー情報を取得していることが多く、幅広くリーチしつつもある程度までターゲットを絞り込めるのが特徴です。

またラジオは「耳だけで聴く」、つまり時間が経つと忘れてしまうのに対し、音声メディアは広告の配信中にバナー等を表示できます。バナーからホームページへ誘導することで、広告効果も測定しやすくなるでしょう。

ブランディング広告の効果測定のやり方

レスポンス広告では広告のクリック率やコンバージョン率から効果を測定しますが、「目に見えない価値」を提供するブランディング広告では同じ方法での測定が難しいです。

そこで、次の2つの方法で効果測定を行います。

  • ブランドリフト
  • サーチリフト

それぞれ効果測定のやり方を見ていきましょう。

ブランドリフト

ブランディング広告に接触した人(見たことがある人)と接触していない人(見てことがない人)を比較し、ブランドの認知度や購買意欲を調査する方法です。調査はアンケート式で行われます。

デジタル広告を利用している場合、Cookieや広告IDとを連携させることで広告接触者を特定しやすくなります。

そしてブランディング広告に接触した人・接触していない人の差が「ブランドリフト値」となり、値の増加分がブランディング広告の効果を表すのです。

サーチリフト

サーチリフトとは、ブランディング広告の出稿後、特定のキーワードの自然検索数がどれくらい上昇したのかを測る測定方法です。

つまり、ブランディング広告によって商品やサービスの認知度・関心度が高まったのか、消費者の検索行動によって調査します。

純粋にキーワードの検索数を調べるため、デジタル広告はもちろん、マス広告でも有効な測定方法だと言えるでしょう。

ブランディング広告の事例

では、どんなブランディング広告を出稿することでブランドイメージの確立や認知拡大ができるのでしょうか?

ここでは誰もが一度は見た・聞いたことのある企業のブランディング広告事例をご紹介します。

セキスイハイム

セキスイハイムの坪単価は、鉄骨系で65万円〜90万円、木造系で60万円〜80万円と、他のハウスメーカーと比べるとやや高め。しかし「あたたかい我が家」という定番ながらもパンチの効いたCMを流すことで、次の結果が出ました。

【『あったかハイム』テレビCMの調査結果のポイント】

  1.  約9割の人が「早く家に帰りたい」と思っている
  2.  6割以上の人が「誰かにあなたの帰りを家で待っていてほしい」と思っている。
  3. 8割以上の人が『セキスイハイム』のCMソングを聞くと家に帰りたい気持ちになると回答

引用:PR TIMES

家づくりを検討している消費者の「帰りたくなる家をつくりたい」という潜在意識に働きかけることで、価格帯以上の価値を生み出しています。

IKEA

スウェーデン発のインテリアブランド『IKEA』のウィットに富んだクリエイティブに注目!

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たとえばこちらのクリエイティブ、コピーは「Where family starts(家族がはじまる場所)」。一見家系図のようですが、よく見ると間にIKEA商品のベッドが。さらに右下には洗濯機のようなものも……。

もう何を伝えたいのか、おわかりでしょう。「家族がはじまる場所」として、下品にならない程度にベッドを紹介しているユニークなポスター広告です。

こうしたクリエイティブが看板やポスター、紙面、さらにSNSにも登場しています。

IKEAのクリエイティブを見かけたら、その広告が伝えたいこと推測してみましょう。仕掛けに気付いたときには、思わず笑ってしまうはずです。

ブランディング広告で消費者との関係性を築いていく

ブランディング広告も、言ってしまえば最終的には売上や成約など企業の利益につなげるためのものです。しかし売上や成約にばかり注力してしまうと、気付けばブランディング広告がレスポンス広告になってしまうこともあります。

ブランディング広告は企業のイメージや好感度アップを狙うものでなければならず、時間はかかれど、利益はあとからついて来るもの。

ブランディング広告を活用して消費者との関係性を築いていき、長く愛されるブランドを作っていきましょう。

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