インターネットが発達し、さらにSNSやYouTubeなどの動画が広く普及したことで、バイラルマーケティングに注目する企業が増えています。
しかし、名前だけは知っているけどバイラルマーケティングの本質がよくわからない人も多いのではないでしょうか?
ここではバイラルマーケティングの意味や実施時の注意点を解説します。実際にあった成功事例もご紹介するので、事例を参考にバイラルマーケティングを仕掛けていきましょう!
バイラルマーケティングとは
バイラルマーケティングとは、インターネットやメール、SNSなどを媒体とし、口コミを利用して不特定多数に広まるように仕掛けていくマーケティング手法のことです。
「バイラル(Viral)」とは「ウイルス性の」という意味があり、口コミがウイルスのように広まっていくことからこの名称が付けられています。
バズマーケティングとの違い
バイラルマーケティングとよく似た手法に、バズマーケティングがあります。「バズ(Buzz)」とは「がやがやとざわつく」という意味で、こちらも口コミを利用したマーケティング手法です。
両者の違いは次のとおり。
ただ近年ではほぼ同義として扱われており、ニュアンスは違えど両方とも「口コミマーケティング」だと認識しておくと良いでしょう。
身の回りにあるバイラルマーケティング
日常的にインターネットを利用している人であれば、必ずどこかでバイラルマーケティングに触れています。
たとえば、Webサイトやブログのページ下に「メールで教える」「ブログに書く」「SNSで共有」などのボタンを見かけたことはありませんか?それらのボタンを設置しておくことで、そのページを共有するユーザーがどんどん増えていくのです。
またTwitterでよく開催されている「フォロー&リツートキャンペーン」。これはフォロー&リツイートをしたユーザーの中から抽選でプレゼントを贈呈するというよくある手法ですが、そのアカウントや投稿が爆発的に拡散されるという特徴があります。
さらに、美容サロン等でお友達を紹介すると、紹介者とお友達のどちらも割引券をもらえるといったアナログなバイラルマーケティングも。
私たちの身の回りにはバイラルマーケティングがたくさん仕掛けられているので、そういった仕掛けにもぜひ目を向けてみてください。
バイラルマーケティングの効果
バイラルマーケティングには次の4つの効果があります。
- 爆発的に拡散されることで効率的に集客できる
- うまく拡散されれば低コストで大きく利益を上げられる
- ユーザーの印象に強く残りやすく、覚えてもらいやすい
- ユーモアのあるコンテンツでファンを作りやすい
集客・売上アップや利益率の向上だけでなく、ブランド認知からファン獲得まで、幅広い効果を得られるバイラルマーケティング。
しかしこれらの効果を得るには、注目されるような仕掛け作りが重要となります。
バイラルマーケティングの注意点
バイラルマーケティングは魅力的な手法ですが、実は注意しないと失敗することもあります。ここでは、バイラルマーケティングの注意点を見ていきましょう。
口コミに頼るためコントロールが難しい
バイラルマーケティングはどうしても口コミが主体となるマーケティング手法です。口コミは自然発生的に生まれ、広がるものなので、コントロールが難しいことが課題です。
米IKEAでは、バイラルマーケティングの失敗事例があります。
新店舗をオープンするにあたり「紹介メールを10人に送ったら75ドル割引」というバイラルマーケティングを行いました。
1週間で3万7千通のメールが送られ好調かに思われましたが、一部の消費者がスパムメールと捉えたことでトラブルが起きてしまったのです。インセンティブ目当てで見知らぬ人にもメールを送った消費者がいたことが原因でした。
またインセンティブが魅力的で予想以上に反響があり、当初の予算を超えて膨大なコストがかかることもあります。
消費者の行動や口コミ発生をコントロールできないからこそ、万が一に備えたリスクヘッジが必要になるでしょう。
ステマ・スパム・違法にならないように注意!
バイラルマーケティングは人為的に広げるのではなく、自然発生的に広がることがポイント。
違法になってしまうパターンには、社内のスタッフが消費者に扮して、自社商品の紹介ページをSNS上に拡散するなどがあります。
社内スタッフであることを明記せずにあたかも消費者の感想であるかのように見せることは、ステマになりますし、そもそもバイラルマーケティングではありません。
施策を実施する前に、今やろうとしていることは違法にならないかよく検討しましょう。
企業イメージ低下のおそれ
バイラルマーケティングはうまく、さりげなく仕掛けないと、どうしてもセールス色が強く出てしまい企業イメージを低下させるおそれがあります。
たとえばよく行われるSNSキャンペーンですが、インセンティブの付いた「フォロー&リツイート」等に対してマイナスなイメージを持っている消費者も多いことを忘れてはいけません。
また前述したスパムやステマが疑われると、消費者からの信用も落ちてしまいます。
イメージを低下させるのではなく、イメージを向上させるようなバイラルマーケティングを考えていきましょう。
バイラルマーケティングの成功事例
では、どのようなバイラルマーケティングなら成功するのでしょうか?ここでは「どこかで見た・聞いたことのある」キャンペーンやプロモーションを中心に、バイラルマーケティングの成功事例をご紹介しましょう!
カンナムスタイル|YG Entertainment
韓国の音楽レーベルであるYG Entertainment。耳に残るメロディで有名な「カンナムスタイル」が有名ですが、実は「カンナムスタイル」のローンチは、徹底した事前準備があってのものでした。
まず「カンナムスタイル」を発表する1年前に米オフィスを設置し、有名アーティストやレコード会社と契約。SNSフォロワーの獲得にも投資し、YouTubeチャンネルは250万人もの登録者を集めています。
こうした入念な準備のもとで配信された「カンナムスタイル」は爆発的に拡散され、見事バイラルマーケティングを成功させたのです。
2年F組Fit's組|ロッテ
ロッテの主力商品「Fit's」のプロモーションとしてテレビCMを使わず、若者を重点的なターゲットに置いてYouTubeやTwitterを利用したバイラルマーケティングを行いました。
YouTubeで公開された「2年F組Fit's組」のMVには10代の中高生から人気のアイドルや俳優を起用し、さらにTwitterには登場人物たちによるツイートを投稿したのです。
これが若者の間でヒット。一般の高校生がMVを真似た“踊ってみた”動画を投稿するなどして、動画の再生回数は1ヶ月で1,000万回を超えました。テレビCMを使わなくても十分な効果を得た事例です。
フレーバー総選挙|サーティワンアイスクリーム
#サーティワンフレーバー総選挙 開始📢
100種類の中からお気に入りのアイスに投票して応援しよう😆投票いただいた方の中から抽選で10名様に
『毎日サーティワンチャレンジ サブスク』12ヶ月分をプレゼント🎁投票は👉https://t.co/ixCxxV3On4 pic.twitter.com/ZXH7YQiWMo
— サーティワン アイスクリーム (@BR31_Icecream) April 1, 2021
サーティワンアイスクリームは、100種類のアイスの中から自分のお気に入りフレーバーに投票する「フレーバー総選挙」キャンペーンを開催。投票した人は、抽選でサーティワンサブスク12ヶ月分をもらえます。
サーティワンの公式Twitterでは次々とフレーバーの画像と注目ポイントを紹介したツイートが投稿され、ユーザーが自分の推しフレーバーをリツイートすることで、拡散される投稿の総量が増えています。
このバイラルマーケティングの面白いところは、ユーザーの好きなフレーバーを周りに知ってもらう機会にもなり、話題が生まれやすいこと。「〇〇しか勝たん」と若者の間で流行している言葉を使っていることもポイントです。
無印といえば、〇〇|無印良品
冷える朝ですが…。無印良品 有楽町10周年を記念するTwitter&Facebookキャンペーン、はじまりました(PCのみ)。メッセージ投稿で10%OFFクーポンプレゼント、です。http://bit.ly/eBNzip
— 無印良品 (@muji_net) January 7, 2011
無印良品も多くのバイラルマーケティングを実施していますが、有楽町店の10周年記念に行われた「無印といえば、〇〇」という口コミキャンペーンが面白いです。
自分が愛用している無印良品の商品とTwitterやFacebookに投稿することで、店頭での買い物が10%OFFに。
このキャンペーンをきっかけにリアルな口コミが集まり、キャンペーン期間中の売上は平常時の2倍にもなりました。店内を見て回るものの、購入まで至らない顧客の購入アクションを促進させた事例です。
バイラルマーケティングで成功するには?
利用するメディアを正しく選ぶ
バイラルマーケティングで成功するためには、利用するメディアを正しく選ぶ必要があります。メディア選びの基準は次の2つ。
- 拡散力がある
- アクティブユーザーが多い
この2つの条件を見たしやすいメディアはYouTubeとTwitterです。もちろんそれ以外のメディアでもバイラルマーケティングは可能ですが、“爆発的”に注目されたいのであれば、YouTubeやTwitterをうまく活用すると良いでしょう。
注目されやすいコンテンツを作る
バイラルマーケティングを行うには、まず“ウイルス源”となるコンテンツが必要です。
しかし弱いウイルス源=注目されないコンテンツでは、バイラルマーケティングを起こせません。注目されやすいコンテンツを作る必要があります。
しっかりターゲットを定め、市場の動向やトレンドを調査し、ターゲットに合ったコンテンツを作る。そうすると、いざ投稿や配信をしたときユーザーが思わずシェアしたくなるようなコンテンツになるのです。
バイラルマーケティングは入念な準備のうえに成り立つ
口コミは自然に発生するものであり、コントロールは難しく、狙って口コミを起こすことは意外と難しいです。
しかしバイラルマーケティングは、コンテンツの配信方法やタイミングなど、入念な準備をすることで成功しやすくなります。
バイラルマーケティングにより、ユーザーの注目を集めるように仕掛けていきましょう!