フルファネルマーケティングの考え方|スムーズな購買プロセスを実現しよう

顧客のLTV(顧客生涯価値)を高めていくためには、広告による見込み顧客の集客だけでは事足りません。その後の顧客育成にも力を入れることによって、顧客が企業に与える利益が向上していきます。

フルファネルマーケティングは、認知拡大、購買促進、ファン化までの一貫した顧客育成プラン作りの戦略として注目されています。

ここではフルファネルマーケティングの考え方について見ていきましょう。

目次

フルファネルマーケティングの意味

「フルファネルマーケティング」と聞いただけでは、何のことかわからない人もいるでしょう。

フルファネルマーケティングについて理解を深めるためには、まず顧客の購買プロセスについて理解する必要があります。

そもそも「ファネル」とは?

認知拡大、新規顧客の獲得、リピート購入、アップセルなど、購買プロセスの一つひとつのことを「ファネル」または「マーケティングファネル」と言います。

マーケティングでは、それぞれのファネルに対して施策を行うのが一般的です。しかし、一部のファネルだけに注力し、一時的に売上が増えたとしても、継続的な売上拡大は見込めません。

ひとつのファネルだけに特化した施策ではそれほど大きな成長は見込めないだけでなく、施策を長く続けるためのコストもかかります。そこで注目されているのが「フルファネルマーケティング」です。

では「フルファネルマーケティング」とは?

各ファネルごとに個別に施策を考えるのではなく、購買プロセス全体を見たときに各ファネルが最適となるようなマーケティングを行うことが、「フルファネルマーケティング」です。

ほとんどの顧客は、一度広告を見ただけですぐさま購入に踏み出すことはありません。何度も広告に接触したり、興味を持ってリサーチしたり、他の製品と比較したりしながら、購入まで至ります。

さらに、購入後は製品を利用することで体験を得たり、感情を動かしたりします。その製品が「良い」と思えば、リピート購入もするでしょう。

フルファネルマーケティングは、こうした顧客の購買プロセス(言い換えるとカスタマージャーニー)に対して、全体が最適化されるようなマーケティングの考え方なのです。

フルファネルマーケティングの考え方

では、もっと具体的にフルファネルマーケティングの考え方を見ていきましょう。

各マーケティングファネルの概要を把握

マーケティングファネルは逆三角形をしており、上から次のような段階になっています。

  1. 認知
  2. 興味・関心
  3. 比較・検討
  4. 購入

1よりも2、2よりも3……と、最終的に「購入」に至るまでの顧客はどんどん少なくなっていきます。たとえば100人が認知しても、実際に購入するのはほんの1人か2人だけなのです。

では、各マーケティングファネルについてもう少し詳しく見ていきましょう。

【認知】

ファネルの第一層です。顧客は顕在化しているかどうかにかかわらず、何かしらの問題や課題を抱えています。しかし、自社の製品に接触したことはなく、何も知りません。

そこで、広告やSEOなど認知してもらうための施策を行います。すると顧客は自分の問題を解決してくれそうな製品があると認知するのです。もし自分の問題がまだ潜在レベルであれば、認知してはじめて顕在化することもあります。

【興味・関心】

ファネルの第二層です。製品を認知したとしても、興味を持たずスルーしてしまう可能性もあります。また「自分の問題を解決してくれる」と気付かないかもしれません。

こうした顧客の興味・関心を引くための施策として、繰り返し顧客に接触して単純接触効果を狙う方法があります。もしくは接触の方法(リスティング広告のキーワードや広告のクリエイティブ、訴求ポイントの見直しなど)を工夫するのも良いでしょう。

顧客の興味・関心を引けるかどうかは、第三層にも深く関わってきます。

【比較・検討】

ファネルの第三層です。この段階で顧客は製品に興味を持ち始めており、いよいよ購入するかどうかを比較・検討のうえで決めます。

自分の問題を解決するための情報を積極的に検索したり、似たような製品と比較したりなど「購入すべき理由」を探している、あるいは正当化しようとしている状態です。

検討の際には上記のような”外側の要素”の他にも、自分のお財布事情や時間的余裕、ライフスタイルに合うかといった、顧客自身の“内側の要素”も絡んできます。

顧客の検討段階でいかにして購入までの後押しができるか、しっかり考えていきましょう。

【購入】

ファネルの最終層です。この層は「購入」ボタンをクリックするまで、あるいは契約書にサインするまで、手に持ってレジに行くまでのプロセス。

比較・検討を終えた顧客は、すぐに購入するとは限りません。多少の不安や心配を抱えているためです。そのため、最終層ではいかにして“簡単に購入ボタンを押せる状況”を作れるかが重要です。

そのためには「興味・関心」や「比較・検討」の段階で顧客と双方向的なコミュニケーションを図ったり、少しずつ顧客の気持ちを盛り上げたりといった、種まき的な施策をしていく必要があります。

複雑なカスタマージャーニーを考える

マーケティングファネルだけを見てみると、直線的・一方通行的な流れのように見えるかもしれません。

しかし、実際に顧客がたどるカスタマージャーニーはもっと複雑で、必ずしも直線的であるとは限りません。つまり、認知、検索、比較、購買までの流れを、その順番通りにスムーズにたどるわけではないのです。

たとえば製品を認知し検索行動を起こし、そのまま離脱します。その間に製品について忘れてしまい、再び広告に接触して、改めて認知するかもしれません。あるいは、比較段階まできたものの、知りたい情報が足りず、検索に後戻りするかもしれません。

顧客はマーケティングファネルを行ったり来たりすることもあれば、ファネルから離脱してしまうことだってあるのです。

顧客の離脱を防ぎ、どのファネル階層からでも次の階層へと誘導するために、フルファネルマーケティングを行いましょう。

あわせて読みたい
カスタマージャーニーマップとは?3つの事例紹介、作成のメリット・注意点を解説 顧客分析に役立つカスタマージャーニーマップの考え方、マップの事例、作成時の注意点を解説。雑誌・Webサイトの編集においても、ユーザー目線に立った企画作りがしたい全ての担当者の方ににおすすめの内容です。

各ファネルに合わせて施策を最適化

カスタマージャーニーを把握したら、各ファネルに合わせて施策を最適化していきましょう。しかしここで注意したいことは、各ファネルを“独立したもの”として捉えるのではなく、各ファネルが“連結したもの”として考えることです。

たとえばフルファネルマーケティングに有効な施策として、動画広告で認知度アップがあります。

動画広告は画像だけ・文字だけの広告に比べると伝えられる情報量が多く、認知すると同時に興味・関心を持ってもらうことが可能です。

また、顧客の興味・関心に合わせ、パーソナライズされたコンテンツを提案するのも良いでしょう。興味を持ち始めたばかりの顧客にはメリットや利益をメインに伝え、強い関心を持っている顧客にはより詳細な情報を伝え、少しずつ顧客の熱量を高めていきます。

このように各ファネルの施策を最適化していくことで、見込み顧客を認知から検討へ、既存顧客を比較からリピート購入へと導いていくことができるのです。

カスタマージャーニーとマーケティング施策を照らし合わせながら、全体を俯瞰してみましょう。

フルファネルマーケティングを行うLINEの事例

LINE株式会社はフルファネルマーケティングを行っている企業のひとつです。

LINEは顧客の行動プロセスを次のように定義しています。

認知・興味→理解→検討→購入→ファン化→継続購買

さらに、自社が持つ3つの広告サービス「LINE Ads Platform」「LINE Sales Promotion」「LINE Account Connect」を、それぞれのファネルに最適化して活用しているのです。

たとえば運用型広告の「LINE Ads Platform」は、ユーザー一人一人の行動に合わせた広告配信を可能にし、新規顧客獲得に貢献。

また「LINE Sales Promotion」では、LINEを活用したキャンペーン活動を行うことができ、比較・検討段階から購入段階までを後押ししています。

さらにLINEの公式アカウントを基盤として、企業と顧客のコミュニケーションを創出する「LINE Account Connect」にも注目。認知から購入、さらにファン化から継続購買まで、ファネル全体を通して活用できるサービスです。

LINEではファネル全体を見通した施策を行い、フルファネルマーケティングを成功させています。

参考:https://www.mk-design.co.jp/

これからのマーケティング戦略はフルファネルで構築する!

これまで特定のファネルの施策しか講じていなかった人や、ファネルの繋がりを意識していなかった人も多いかもしれません。

各ファネルは独立しているようで繋がっているものなので、その繋がりや連続性を意識するだけで、施策の効果が高まりやすくなるはずです。

これからの時代、マーケティング戦略はフルファネルで構築していきましょう!そうすることで、よりスムーズな購買プロセスを実現できるでしょう。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次