「オウンドメディアの立ち上げにともない、ディレクターに配属された。でも、ディレクターはどんな仕事をすればいいのかわからない!」
新任ディレクターの中にはそう悩んでいる人も多いかもしれませんね。
今回はオウンドメディアディレクターの仕事内容について、設計〜立ち上げ〜運用に分けてまとめました。
ディレクターという役職について
「ディレクター」とは、日本語で「監督する人」「指揮する人」という意味。オウンドメディアに関わるデザイナーやライター、編集者、カメラマンなどを統括してまとめる立場です。
ディレクターは現場で総監督を務めるため、次のようなスキルが求められます。
- データを元にしたロジカルな思考
- 発想力や企画力
- コミュニケーション能力
チームをまとめて連携するだけでなく、オウンドメディアの方向性を示したり、道がズレていれば修正したり、分析を行ったりなど、ディレクターの仕事内容は多岐にわたります。
忙しい役職ですが、ビジネスの総合力を鍛えられる仕事でもあるのです。
オウンドメディア設計における仕事
オウンドメディアの設計時からディレクターは関わります。
目標やコンセプトをしっかり理解し、達成するための方向性を見定めることが大切です。
目的の再確認
オウンドメディアの運用には必ず何かしらの目的があります。その目的を再確認し、ぼやけているなら明確化し、次のコンセプトやKPIの設定に反映させなければいけません。
オウンドメディアの目的の例
- 集客
- ブランディング
- 販売促進・マネタイズ
- 広報・採用強化
目的を明確化することは、オウンドメディア運用に熱量を持つことでもあります。熱量があるほどその後の運用がスムーズに進むので、曖昧なまま放置せず、しっかりと目的を決めておきましょう。
コンセプトやターゲットの立案
目的に合わせて、コンセプトやターゲットの立案、選定を行います。
女性を集客したいなら女性が好むコンセプトに、スポーツマンをターゲットにしているなら彼らのやる気を引き出すようなコンセプトにするのが一般的。
ですが、他社と差別化するために「体育会系の女性向け」「スキマ時間に筋トレをする男性向け」など、ちょっと変わった切り口で考えるのも効果的です。
社長や経営層、プロデューサーなどと話し合いながら、コンセプトやターゲットを立案していきましょう。
KPI、KGIの設定
目的ごとのKPI、KGIも設定します。例えば集客なら資料請求やお問い合わせの数、採用強化ならエントリー数など。
とはいえ、何もデータがない状態で最適なKPI、KGIを決めるのは難しいでしょう。そんなときは類似したオウンドメディアやWeb上に公開されているオウンドメディアのPV数などから、おおよそのKPI、KGIを決めるのがおすすめです。
(例)100件/月お問い合わせが欲しいので、PV数はこれくらい、検索流入はこれくらい…など
ディレクターは一番オウンドメディアに関わる立場であるため、KPI、KGI設定と分析・改善には人一倍熱量を注ぎましょう。
オウンドメディア立ち上げにおける仕事
いよいよオウンドメディアの立ち上げフェーズです。ディレクターには次のような仕事が待っています。
CMS・プラットフォーム選び
オウンドメディアというと、サーバーを契約して、独自ドメインを取って運用するイメージが強いかもしれません。しかし最近はnoteやWantedlyなどのプラットフォームをオウンドメディアとして使っている企業も増えています。
ディレクターはまずどのCMSでオウンドメディアを始めるのが最適か、CMSを比較しながら見極めなければいけません。
ゆくゆくは独自ドメインを持つのが理想的ではあるものの、スモールスタートにはプラットフォームを借りるのが最適です。最初から運用体制が整っていてスタートダッシュできるのであれば、独自ドメインを取ってもいいでしょう。
カテゴリーやサイト構造の設計
サイト設計は今後の運用に大きく影響を与えます。ディレクターはオウンドメディアのあらゆる構造を理解し、自社にあった構造を設計しなければいけません。
構造設計は主に3つ。
- 独立ドメインで作成
- サブドメインで作成
- サブディレクトリ内に作成
サブディレクトリやサブドメインで作成することで、主軸となるコーポレートサイトや、コーポレートドメインを強くできるというメリットがあります。
独立ドメインで作成すると新規のためSEOに弱いですが、「独立したサイト」としてブランディングしやすくなるというメリットがあります。
そしてカテゴリー設計は、ターゲットに刺さるカテゴリーを選びましょう。カテゴリーが多すぎると各カテゴリーのコンテンツが薄くなりがちなので、3〜4つに絞って集中して強化することがポイントです。
コンセプトに合わせたサイトデザインの指示
オウンドメディアのキャラクター性を際立たせるために、コンセプトに合わせたサイトデザインが必要です。
ディレクターはある程度サイト構造を決め、Webデザイナーやエンジニアとコンセプト・イメージをすり合わせ、サイト構造とデザインを作り上げていきます。
「デザインよりもまず中身(コンテンツ)」とする人もいますが、ローンチしたときにみすぼらしい見た目では誰にも覚えてもらえません。またローンチ後に頻繁にデザインを変えるとユーザーの混乱を招きます。
微細な修正は後からできるので、大まかなベースとなるデザインを決めてしまいましょう。
オウンドメディア運用における仕事
ここからが正念場!オウンドメディアの運用中に最も忙しいのがディレクターです。
オウンドメディア運用に終わりはないので、ディレクターとしてうまく回せるように工夫していきましょう。
制作進行・進行管理
まず、内製記事・外製記事の制作進行や、納品スケジュールチェックなどの進行管理があります。そのためディレクターのスケジュール帳は自分の予定に加え、他人のスケジュールで埋め尽くされることもしばしば。
進行管理において重要なのは、企画が決まったら余裕を持って公開の1ヶ月前には着手すること(外注する場合は2ヶ月前)。
1つのコンテンツにかかる工程は意外と多いため、1つの工程にどれくらい時間が必要かも把握しておきましょう。
チームマネジメント・キャスティング
オウンドメディアに関わるライター、編集者、デザイナー、エンジニア等のチームをマネジメントすることも仕事のうち。
コンテンツを外注する場合には、編集者がライターやカメラマンなど外注先を見つけてくることもあれば、ディレクター自身が外注先を確保をする場合もあります。
チームマネジメントやキャスティングをスムーズにこなすには、自分の伝えたいことを、理解されるようにきちんと伝えるスキルが必要です。
SEO監修
基本的にSEO対策はライターや編集者が行い、ディレクターはSEO監修を行います。
まずはキーワード選定に始まり、SEO記事のチェック、効果測定、修正やリライト依頼など。内部対策・外部対策の両方を行うため、SEOに関する知識も身につけておくと仕事がやりやすいです。
広告の運用
オウンドメディアに広告を貼る場合、もしくは、オウンドメディアに集客するための広告を配信する場合にも、ディレクターが関わります。
- 広告の掲載位置や配信先を選ぶ
- 実際に広告の設定を行う
- 広告の効果を分析する
などの業務をディレクター本人が行うこともあれば、別に担当者がいて、担当者と打ち合わせをしながら決定する場合もあります。
アクセス解析ツールを使ったサイト分析
ディレクターはとにかく分析をしていることが多いです。アクセス解析ツールを使って毎日のアクセス解析からSEO効果の測定、KPIやKGIの達成に近づいているかなどをチェックします。
さらに成果が出ていないところがあれば改善施策の立案をしたり、思わぬところで成果が出ていればその要因を分析し、次の施策に活かすことも。
「ディレクション」には「遠くの目標まで導く」という意味があり、ディレクターがその役目を担います。サイト分析は目標に到達するためのすべての業務の基本となるのです。
品質管理
コンテンツ1つひとつの品質から、オウンドメディア全体の品質までを管理するのも仕事です。
そのためには記事を1つひとつ読んだり、写真や画像をチェックしたり、定期的にUIを見直したりしなければいけません。
「もう少し内容に厚みを持たせたい」「画像のここを修正してほしい」などの指示を出して、サイト全体の品質を高めていきましょう。
オウンドメディアのディレクターは総合力が必要な仕事
ディレクターは現場を統括する立場なので、現場や各業務の理解、的確な指示出し、方向性の見直しなど総合力が必要な仕事です。
またライター、デザイナー、カメラマンなど様々なスキルを持っている人とも関われるため、知見を広げることも可能。
ディレクションが得意な人はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?