あなたは文章を書くとき「トンマナ」を意識していますか?
もしかすると「こんなトンマナでお願いします」と依頼されてもピンと来ないライターもいるかもしれません。
トンマナはその文章、ひいては文章が掲載されるサイトなど「媒体のイメージを形成する上で重要な要素」の1つ。
デザインだけでなく執筆においても「トンマナ」は重要な役割を担っているのです。
今回はそんな、トンマナの意味や文章においてトンマナを整えるポイントについて詳しく解説します。
トンマナとは?
「トンマナ」は正式には「トーン&マナー」のことです。トーン(torn)&マナー(manner)とは、企業の個性を演出するための雰囲気や世界観であり、ブランディングにも役立ちます。
それぞれの意味は次の通りです。
- トーン:文章の「調子」「色調」のこと
- マナー:文章の「様式」「作風」のこと
デザインにおけるトンマナ
トンマナは元々広告やWebサイトなどのデザインで使われている言葉でした。
トンマナを決めてその通りにデザインをすれば、Webサイトのトップページでも、商品紹介ページや採用ページでも同じ雰囲気を出すことができ、ユーザーを混乱させることはありません。
例えばブランドのイメージカラーとデザインカラーを基調としたり、使用する写真の雰囲気を「ポップ調」「フェード調」のどちらかに統一させたりなど、目に見えるからこそトンマナを設定しやすいというメリットがあります。
ポップ調(例)
フェード調(例)
文章におけるトンマナ
一方で文章におけるトンマナは、見た目ではなく文字で表現するしかありません。
しかし、同じ青でもトーンによって色味が違うように、書き方次第で文章の「調子」が変わります。また、文章を書くうえでの「様式」つまりルールを決めれば統一感を出せますよね。
文章のトンマナを決めておけば記事の執筆ルールが明確になるため、ライターが変わっても一定の品質を保った記事を作ることができます。
さらにデザインのトンマナと文章のトンマナを組み合わせることで、その企業にしか出せない「個性」も表現できるでしょう。
文章のトンマナを整えるべき理由
デザインのトンマナが統一されていても、文章のトンマナがバラバラだとどうなるでしょうか?
読者は最初に見たトンマナと、次に見た記事のトンマナが違うと違和感を覚えます。トンマナが違うだけで文章への“没入感”が無くなってしまい、読者の中でのイメージが形成されません。
トンマナを整えるべき理由は、文章の雰囲気に統一感を持たせ、読み手に与える印象をコントロールすることにあります。徹底されたトンマナの統一は、Webサイトや企業のブランディングにも役に立つでしょう。
文章のトンマナを整えるポイント
とはいえ、トンマナってどうやって整えるのかがわからない人も多いですよね。トンマナを整えるポイントを解説します。
文章にトンマナの法則はあるの?
デザインには人の心理や目線を意識した法則がありますが、文章には「正しい文章の書き方」はあっても、トンマナの法則はありません。その代わり、自分でルールを決めるのがおすすめです。
①文体の統一
文体には「〜です/〜ます」の敬体と「〜だ/〜である」の常体があります。まずはどちらの文体を使うかをしっかりと決めておきましょう。
敬体は柔らかい印象になり、常体を使うと堅い印象、または書き方によってはクールな印象にもなります。
「ですます調」と「だ・である調」の正しい使い方に関しては、こちらの記事を参考にしてみてください。
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②表記ルールの統一
日本語には様々な表記の仕方があります。
- 「アイデア」or「アイディア」
- 「なおかつ」or「尚且つ」
- 「100(全角)」or「100(半角)」
- 句点で改行 or 1段落で改行
など
この表記ルール(レギュレーション)をきちんと定め「記事ごとに異なる表記が使われる」というミスが起こらないように注意しましょう。
また、記事内に他サイトからの参考記事や参考文献、引用などを入れる際には、著作権の観点から引用ルールを守ることも重要です。
引用の正しい書き方や注意点に関しては、こちらの記事を参考にしてみてください。
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③テイストの統一
「テイストの統一」というと抽象的でわかりにくいですが、次のAとBどちらの文章がフランクで、どちらが丁寧なのかは一目でわかりますよね。
A「一度足を運んでいただけると幸いです。」
B「ぜひ遊びに来てくださいね!」
Aの文章は丁寧な印象を持たせ、Bの文章はフランクな印象を持たせることができています。
文章のテイストは、その文章やWebサイトの雰囲気を左右する重要なトンマナの要素です。読者にどんなイメージを持って欲しいのかによってテイストを決めましょう。
文章に使えるトンマナの種類
文章のトンマナには「丁寧」「堅い」以外にも様々な種類があります。
- 優しい/易しい(解説系、初心者向けなど)
- 柔らかい(女性向けなど)
- 堅い/クール(ニュース、プレスリリースなど)
- 親しみやすい(ブログなど)
- 面白い(SNSのまとめ系、ギャグ系など)
これらの種類は記事のテイストにも大きく関わる部分です。繰り返しになりますが、読者に「どんなイメージを抱いて欲しいのか」というブランディング視点から、トンマナの種類を選ぶのが最大のポイントです。
SNS運用もトンマナを統一しよう
Webサイトに掲載するコンテンツだけでなく、SNSを運用しているならSNSに投稿する文章もトンマナを統一することが大切。
SNSの文章は短めですが、消費者の目に多く触れる部分であり、消費者はWebサイトよりもSNSの“リアルさ”を感じる文章から「その企業はどんな雰囲気の企業なのか?」を読み取っています。
最近はSHARP社やタニタ社の公式Twitterアカウントのように、消費者と同じ目線に立った投稿をしている企業も多くなってきました。SNSブランディングを意識して、トンマナが統一された投稿を心がけましょう。
参考:文章のトンマナがテンプレート化されているサイト
トンマナについてまだ何となくでしかイメージがつかないという人は、トンマナが統一(テンプレート化)されているサイトを参考にしてみましょう!
LOCARI
女性向けのキュレーションサイト「LOCARI」には多くのライターがいますが、トンマナを統一することで、どの記事も画像が多く、優しい単語を使ったわかりやすい文章になっています。
基本的には敬体が使われていますが「〇〇に活躍してくれそう」「〇〇も忘れずに」と口語表現も混ぜることで読者が親しみやすさを感じられる工夫も。
ferret
マーケティング関連記事の多い「ferret」は解説記事が多いため、丁寧でやや堅めの文章になっています。しかし「〇〇ですよね」「〇〇ではないでしょうか?」といった表現をすることで、堅くなりすぎるのを防いでいるのもポイントです。
息継ぎをするような感覚で挟まれたインタビュー記事は、トンマナを守りつつも、より読みやすく仕上がっています。
ZOZO FashionTechNews
ファッションとテクノロジーを融合させた「ZOZO FashionTechNews」では「〜だ/〜である」の常体を使っており、クールなトンマナで書かれているのが特徴です。
プレスリリースやニュースを読む感覚ですが、読者に媚びない文章だからこそ、読者に「カッコイイ」「上質」というイメージを与えているのが注目ポイント。
Togetter
Twitterの投稿を集め1つの記事にしている「Togetter」では、オリジナルの文章は見出しくらいで、文中にはほとんどありません。あらゆるユーザーの投稿はそれぞれトンマナが違うはずなのに、1つにまとめてみると、全体のトンマナが統一されているのです。
その理由はTwitterの投稿は“リアル”だから。練って作られたWeb記事の文章よりも、リアルなTwitterの文章の方が口語表現が多いため、うまく統一感が出ているんですね。
トンマナのガイドラインを作って統一感のある文章に仕上げよう
同じ媒体に掲載する記事は、ブランディングのためにその都度トンマナを意識する必要があります。しかし「このトンマナは何だっけ?前の記事はどう表記したんだっけ?」と考えていては効率が悪いです。
そこで、トンマナのガイドラインを作るのがおすすめ。ガイドラインを守れば、自分が執筆する場合でも、他のライターが執筆する場合でも一定の品質を保った記事に仕上がります。
ブランディングを意識してトンマナを決定し、統一感のある記事を書きましょう!