自分の文章に対し「何が言いたいのかわからない」「主張が理解できない」と言われたことはありませんか?もしかしたら、論理的な文章が書けていないのかもしれません。
論理的な文章を書くためには、3つの重要なコツがあるのです。本記事では論理的な文章の書き方やトレーニング方法などを解説します。
論理的な文章を書けない原因は?
そもそも、あなたはなぜ論理的な文章が書けないのでしょうか?それには3つの原因があります。
文章を書く際に考えていたことを思い出したり、自分の文章を読み返したりしながら、3つの原因に当てはまっていないかをチェックしてみてください。
伝えたいテーマの焦点が定まっていない
論理的な文章には必ず大きな主題(テーマ)が1つあります。そこに付随するように、小さな主題がいくつか展開されている作りです。
しかし非論理的な文章では、伝えたいテーマが定まっていません。あれもこれも言いたいし、あれもこれも書きたい状態になっているのです。
言い換えれば、同じ大きさのテーマがいくつも乱立している状態。これでは結局、何が言いたいのかわからない文章になってしまいます。
特に女性には「あれもこれも言いたい」という性格の人が多いです。こういう人は、どのテーマを一番に伝えたいのかを考えてみると良いでしょう。
伝えたい内容が自分の中でまとまっていない
文章を書き始める前に着地点(ゴール)は決めているでしょうか?論理的な文章にならない原因は、ゴールがない状態でいきなり書き始めることにあります。
これは自分の中で伝えたい内容がまとまっていない状態です。書き手自身がまとめられていないのに、読み手に伝わるはずがありません。
着地点を決めたら、スタートからゴールまでの道のりも考えましょう。先に自分の中で伝えたい内容をまとめておくのです。
感情の表現だけになっている
論理的な文章と非論理的な文章の決定的な違いは、感情表現の違いです。
あなたからはどちらが論理的な文章に見えるでしょうか?
- A「この化粧水を使ったらシミができなくなって嬉しい!めちゃくちゃ効果があります!」
- B「この化粧水にはビタミンCがレモン1万個分含まれており、肌の再生促進やシミの抑制効果が期待できます」
具体的な名称や数値を入れたBの方が論理的ですし、Bの勧め方の方が買いたくなりますよね。
非論理的な文章はAのように感情表現だけになっている場合が多いです。
論理的な文章の書き方!簡単だけど重要な3つのコツ
論理的な文章を書くには頭の良さも性別も関係ありません。簡単だけど重要な、以下の3つのコツを押さえればいいのです。
- 主題は1つに絞る
- 前後の意味のつながりを意識する
- 主張の理由(根拠)を明確にする
では、それぞれの書き方を見ていきましょう。
主題は1つに絞る
論理的な文章には、文章全体を通して一貫性があるものです。そして一貫性を持たせるには、主題は1つだけに絞らなければいけません。
例えば、家を売るなら「耐震性に優れている」「デザイン性に優れている」「業界内で低価格」と3つのポイントがあるとします。どれも遜色なく素晴らしい魅力です。
しかし買い手が一番求めているものは何でしょうか?高級な家を求めている人にとって低価格はイメージダウンになり得ますし、おしゃれすぎるデザインは逆に耐震性を下げてしまいかねません。
主題を1つに絞ることでニーズのミスマッチや矛盾を無くし、一貫した主張で論理的な文章になるのです。
前後の意味のつながりを意識する
文章の前後のつながりを意識したことがあるでしょうか?1文目を読んで、2文目を読んだとき、読者が「なぜその話をするのか」を理解できるのが論理的な文章です。
【悪い例】
今日は雨が降りそうだ。よし、納豆を食べよう。
【良い例】
今日は雨が降りそうだ。私は雨が降ると偏頭痛が起こる。偏頭痛を緩和するには納豆が良いらしい。よし、納豆を食べよう。
文章の前後のつながりがあるだけで、最初から最後まで整合性が取れている文章になっていますよね。
つながりがわかることで、読者が納得できる文章が書けるようになります。
接続詞は適切に使う
文章のつながりを生み出すためには接続詞が有効です。接続詞を適切に使うことで「どういった論理展開がされているのか」が明確になります。
ただし、「でも」「しかし」などの逆接を連続で使ったり、省略できるはずの接続詞を使ったりすると読みにくい印象を与えてしまいます。
文章の流れが自然になるように、接続詞は適切に使用しましょう。
PREP法や起承転結を型にする
主張の流れを明確にするために、PREP法や起承転結といった文章の型を利用するのもおすすめです。
PREP法では「最初に結論→理由→例→再び結論」の順に論理展開することで、説得力のある内容になります。起承転結では物事が起こった順序を伝えられるため、前後の展開を繋げやすい方法です。
型を使うことで書き手は論理的な文章を書きやすく、読み手は文章の内容を理解しやすくなります。
主張の理由(根拠)を明確にする
人を納得させる文章というのは、何かしらの根拠があって主張を裏付けていることが多いです。逆に主張に対し理由が添えられていない文章は、どうしても「わかりにくさ」が目立ってしまうもの。
読み手を納得させるために、主張と理由はセットで考えましょう。そして文章を書くときには、何かを主張するたびに必ず理由を添えるようにします。
数字や名称を盛り込む
理由を述べるときには、さらに説得力が増すように数字や具体的な名称を盛り込むようにしましょう。
人は特に数字や数値に弱いものです。「みんな満足してます」よりも「満足度97%」の方が説得力がありますよね。また「モデルも愛用中!」よりも「ローラも愛用中!」の方が食い付きが良いです。
文章を書く前に、こうした数字や具体的名称などを資料として準備しておくとかなり役立つはずです。
主語はなるべく省略しない
日本語は他の言語と異なり、主語を省略できるという特性を持っています。しかし主語を省略してしまったことで、読者に誤解を与えている文章も数知れません。
論理的な文章を書くならなおさら主語を明確にして、しっかり理解してもらうことが大切です。
主語を明確にすることで、読者が飛ばし読みをしても話の要点がしっかりと伝わり、理解しやすくなります。
論理的な文章を書くトレーニング
上記3つのコツを押さえれば論理的な文章を書くことは難しくありません。さらに自分の文章力を上げたい場合、トレーニングをしてみましょう!
本を読んで理論を学ぼう
原点に帰ると、そもそも論理的な文章とは何なのでしょうか?「主張が一貫している」「内容が頭に入りやすい」など様々な定義がありますよね。
論理的な文章を書くための理論を学んでみると、この定義がはっきりします。そのためにぜひ本を読んでみましょう。おすすめの本を2冊ご紹介します。
非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門
論理的な思考が苦手な人のために「問題+結論+理由=クイズ文」というテーマで論理的な文章の理論がわかりやすく解説されている本です。
もっと論理的な文章を書く
本書では革新的な内容は解説されていません。しかし、ロジカルな文章を描く上での基本がしっかりと押さえられており、ビジネス文書やWebコンテンツの文章まで幅広く活用できる内容になっています。
論理的思考力を鍛えよう
論理的な文章をスラスラと書けるようになるには、自分の論理的思考力を鍛えることも必要です。
次の3つの方法で思考しながら、論理的思考力を鍛えてみてください。
演繹法
演繹法とは、「一般的に正しいとされていること(大前提)」と「ある事象(観察事項または小前提)」から「妥当と思われる結論」を導き出す方法です。アリストテレスの「三段論法」とも言われています。
(例)
大前提:すべての人間は死すべきもの。
観察事項:ソクラテスは人間である。
結論:ゆえに、ソクラテスは死すべきもの。
大前提が正しければ結論も正しいということになり、さらに観察事項が正しさを裏付ける根拠になっています。
帰納法
帰納法とは「複数の事象(前提)」から「ひとつの要約(推定される結論)」を導き出す方法です。
前提1:ソクラテスは死んだ。
前提2:ナポレオンも死んだ。
前提3:ソクラテスとナポレオンは人間だ。
結論:だから、すべての人間は死すべきもののようだ。
ただし帰納法の場合には論理的に正しくても、結論はあくまで推論でしかない点に注意。よくビジネスの現場で、商品の改善や開発のための思考法として使われています。
ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーとは、ある結論を頂点にして、根拠、根拠を裏付ける事例をピラミッド状に図式化することで結論を主張付けるテクニックです。
主張:『製菓商品A』のパッケージを女性向けにすべき
根拠1:女性の購買者が多いから
事例1:女性の購買者は前年比50%増
事例2:アンケート調査により「勤務中のおやつにしている」が80%
根拠2:子供の購買者が減っているから
事例3:子供の購買者は前年比60%減
事例4:モニター調査によると、世帯内で子供よりも母親が頻繁に食べていることが判明
このテクニックはロジックの構造が誰が見てもわかりやすいのがポイントです。
論理的な文章を書くには「話の筋が通っている文章」を意識すること
論理的な文章とは、簡単に言えば「話の筋が通っている文章」のことです。主題は1つ、前後の文章のつながり、そして根拠の3つを揃えれば、論理的な文章が書けるようになるのです。
文章を書くときには「話の筋が通っているか?」を意識しながら書いていきましょう。