Webサイトに集客する方法はさまざまですが、大きな効果があるのはSEOと広告です。
SEOと広告では性質が違うため、どちらの対策を先に取り組むべきか、どちらに注力すべきか迷う人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、使い分けながら両方取り組むのが一番おすすめです。
本記事ではSEO対策と広告運用の違いを明確にし、効率的かつ効果的な使い分け方を解説します。
SEOとは自然検索に対応するためのもの
SEO(Search Engine Optimization)とは日本語で「検索エンジン最適化」といい、ユーザーの自然検索(GoogleやYahoo!など検索エンジンを使った検索)に対応するための対策です。
SEO対策を行うことで自社のWebサイトやページを検索エンジンのインデックスに登録し、上位表示を目指します。
検索結果の上位に表示されればユーザーが検索をしたときに見つけやすいため、大きな集客効果が見込めます。
SEO対策のメリット
SEO対策のメリットには次のようなものが挙げられます。
- 自社で行えば費用がかからない
- 大量の集客口を作ることができ、長く集客し続けられる
- 潜在層〜顕在層まで幅広く集客できる
- 上位表示されれば広告よりも高い集客効果を得られる
SEOを強化するにはなるべく多くの検索キーワードで対策する必要があり、自ずとコンテンツの量が増えていきます。
そのコンテンツの量だけWeb上に集客の“入り口”を作るため、すぐに効果が出なくてもじわじわと効果が現れ、細く長く集客し続けられるでしょう。
対策キーワードによっては、潜在層〜顕在層の広い範囲にリーチするため、幅広く集客できるのも魅力です。
SEO対策のデメリット
忘れてはいけないのが、SEO対策のデメリットです。
- 効果が出るまでに時間がかかる
- キーワード選びに失敗するといつまでも効果が出ない
- アルゴリズムの変更により順位が大きく落ちることも
SEO対策をしたコンテンツを公開してから効果が出るまで、少なくとも3ヶ月のタイムラグがあります。その間は集客ゼロですが、変わらずSEO対策を続ける必要があり、はじめは「効果が出てないけど工数は変わらない(多い)」という問題が出てきます。
またキーワード選びも重要で、競合コンテンツが強いキーワードを選んでしまうと、いくら良いコンテンツを作っても競合のドメインパワー等に押し負けてしまいます。
キーワードは検索ボリュームが大きすぎないロングテールワードを狙う必要があるでしょう。
そしてSEOで一番頭を悩ませるのがアルゴリズム変更による順位の変動です。順位が上がれば嬉しいですが、上位表示されていてもある日突然大幅に下がったり、圏外になったりします。
アルゴリズムがどのように変わるかは、Google以外誰も予測できませんし、コントロールもできません。新しいアルゴリズムになったら、その都度対応していく必要があるのです。
SEO対策に必要なものと効果が出るまでの期間
SEO対策のデメリットは気になるものの、うまく上位表示されれば後述する広告よりも大きな効果を得られます。
良い結果を得るためにSEO対策に必要なのは「時間」と「継続力」の2つだけです。お金もかからないし足りない知識は勉強で補えますが、時間と継続力だけは何にも代えられません。
SEOの効果が出るまで最低で3ヶ月、長ければ1年ほど要する場合もあります。もちろんその間にSEO対策をやめてしまっては意味がないので、続けていく必要があります。
必要であればSEO対策をメイン業務とする担当者を置いたり、SEO対策チームを作ったりなど、長期間継続できる体制を整えておくといいでしょう。
集客におすすめの広告と特徴
広告も主な集客手法ですが、特におすすめなのは次の2つです。
- 検索キーワードに連動して表示される「リスティング広告」
- あらゆるWebページに表示され視覚的要素を持つ「ディスプレイ広告」
それぞれの特徴とメリット・デメリット、サービス、費用相場を見ていきましょう。
リスティング広告
リスティング広告は「検索連動型広告」と呼ばれ、ユーザーが検索したキーワードに合わせて、検索結果画面に表示される広告です。
設定した検索キーワード(クエリ)に応じて広告が表示されます。しかし検索結果画面の上部に表示される広告枠は4つまで(2020年6月現在)なので、同じキーワードを設定している競合が多いと表示されづらくなります。
メリット
- SEO対策をしたページよりも上位に表示される
- ニーズが顕在化したユーザーを集めやすい
- キーワード、居住地、性別、年齢などコントロールしやすい
- 即効性がある
リスティング広告は検索結果画面の一番最初、つまりSEO対策をしたページの上に表示されるため、ユーザーの目に付きやすいのがポイント。
「腰痛 改善」など、すでにニーズが顕在化したユーザーを集客しやすいため、CV率が高く、即効性があります。
デメリット
- 競合が強いキーワードほど費用が高い
- テキストのみで構成されるためインパクトに欠ける
- 実はSEOよりもクリックされにくい
- 配信をやめると集客ゼロになる
デメリットとしては、広告枠の数は決まっているため、購買意欲の高いユーザーを集客できるキーワードで自分の広告を表示させるには、高い費用を支払わなければいけないことが挙げられます。
そのうえ「広告」とはっきり表示されているために、SEO対策されたページよりもクリックされにくいという実情があります。
テキストのみでクリックしたくなるようなインパクトを出すのは難しく、配信を止めてしまうと集客がゼロになることも頭を悩ませるでしょう。
主要なリスティング広告のサービス
リスティング広告を配信できるサービスはありますが、GoogleとYahoo!の2つだけ押さえていれば問題ありません。この2つが日本の主要な検索エンジンサイトだからです。
リスティング広告の費用相場
「高いお金を出して広告が表示されたのに、クリックされない!」という人でもご安心ください。リスティング広告はクリック単価制(CPC)で、表示されてもクリックされなければ費用は発生しません5。
1キーワードあたりの費用は、そのキーワードによって変動しますが、競合の強いキーワードほど高額になります。例えば、不動産関連のキーワードではCPCが平均1000円を超えることも珍しくありません。
また、年末商戦や年度末など各社の広告予算が大きくなる時期はCPCが高騰しがちです。
広告予算については、月額換算すると月20万円〜50万円程度で運用している企業が多いようですが、最初は10万円前後から始める企業もいれば、月100万円以上かける企業もいます。
広告代理店に運用代行を依頼する場合は、手数料で運用額の10〜20%程度が相場です。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Yahoo!やGoogleなどの提携サイト上に表示される広告です。
画像や動画を使って視覚的なアプローチができ、バナー広告と呼ぶ方が馴染みが深い人もいるかもしれません。
Yahoo!やGoogleと提携していればどこでも表示できるため、ポータルサイトやブログ等Webサイトの他に、アプリやYouTubeなどにも広告を配信可能です。
メリット
- テキスト、画像、動画などを組み合わせられてユーザーの目に留まりやすい
- ユーザーの潜在的なニーズを引き出せる6
- リターゲティングによりユーザーとの接触回数を増やせる
リスティング広告が文字だけの広告に対し、ディスプレイ広告は画像が動画などのフォーマットも使えるため、ユーザーにインパクトを与えられます。
記事内やポータルサイトの目立つ位置などさまざまな配信面が用意されているため、接触回数を増やしながらそのユーザーの潜在ニーズを引き出し、自社サイトに誘導することも可能でしょう。
そしてディスプレイ広告の一番のメリットはリターゲティングができることです。一度自社サイトを訪問したユーザーにもう一度広告を表示することで接触回数を増やし、接触回数が増えるだけ記憶にも残りやすくなります。
デメリット
- 掲載するページのPVが多くないとそもそも見られない
- 掲載するページとの親和性が高くないとクリックされない
- インプレッション単価制は費用がかさみがちに
- 視認率や認知拡大効果は低い
ディスプレイ広告はどこに表示するかが重要です。掲載するページのPVが多ければ高い広告効果を得られますが、PVが少なければ見られません。PVが多いページに掲載すると広告費がかさむことも。
さらに掲載するページとの親和性の問題もあります。女性向けサイトで髭剃りの広告を配信しても意味がないように、最適なターゲットと配信面を設定しなければいけません。
ここまでの大きな壁を乗り越えても、実はディスプレイ広告の視認性や認知拡大効果は思ったよりも上がらないケースが多いです。なぜなら現代のユーザーは常に広告に囲まれているため、無意識に広告を避け、見ないようにしているからです。
主要なディスプレイ広告のサービス
ディスプレイ広告もYahoo!とGoogleの2つを押さえておけば問題ないでしょう。しかしどちらに広告を出稿するかによってディスプレイ広告が表示される場所が変わります。
Yahoo!とGoogleには
- Googleディスプレイネットワーク(GDN)
- Yahoo!ディスプレイネットワーク(YDN)
とそれぞれ提携サイトが異なります。
GDNの場合はAdSenseサイト、アメブロ、Gmail、YouTubeなど。YDNならYahoo!ニュース、NAVERまとめ、ALL About、毎日新聞などが提携サイトになります。
どちらか1つ自社と相性の良いディスプレイネットワークを選んでもいいですし、資金に余裕があるなら両方試してみるのもいいかもしれません。
ディスプレイ広告の費用相場
ディスプレイ広告はクリック単価制とインプレッション単価制があります。
- クリック単価制:1クリックごとの単価で、クリックされるたびに費用が発生
- インプレッション単価制:表示1回ごとの単価で、ページに表示されるたびに費用が発生
インプレッション単価制は表示1回の単価は低いですが、表示回数が多くなりすぎて費用がかさむ場合があるため注意しましょう。
費用はリスティング広告以上にピンキリで、1クリック/1インプレッション10円や25円もあれば、月換算で数万〜数千万円かかることも。例えばYahoo!JAPANのトップページに表示される広告は1週間で6000万円ほどです。(掲載月により変動)
月額予算を決めてから、誰をターゲットにどれくらいの頻度で表示するかなど、細かく設定を行えば低予算でも効果検証をしながら運用することができます。
SEO・リスティング広告・ディスプレイ広告の使い分け方
集客において「SEOと広告、どちらを主力にするべきか」というのはよく議題に上るテーマです。
そこで本記事では、5つのパターンに分けてどう使い分ければいいのか、何をメインにすればいいのかをご提案しました。状況に応じて自社に最適な使い分け方を考えてみてください。
余裕があるためじっくり取り組みたい
期間や費用などにはある程度余裕を持っており、じっくりと集客に取り組みたい場合には次の順番で運用してみましょう。
- まずリスティング広告を始め、2週間〜1ヶ月程度運用してみる
- リスティング広告のCV数や流入数の結果からSEO対策キーワードを決め、対策を始める
- 必要であればディスプレイ広告も2と同時に運用する
これはリスティング広告をメインの集客口とし、リスティング広告ではカバーしきれないキーワードをSEO対策していくという方法です。
リスティング広告ならビッグキーワードでも対策しやすく、CVしたクエリからロングテールキーワードをSEOで拾うようにコンテンツを作成して集客することで、購買意欲の高いユーザーを効率よく集客できるでしょう。
ディスプレイ広告ではリスティング広告ではできないリターゲティング行うといいでしょう。
予算が少ない、あまり費用をかけたくない
期間には余裕があるが、予算が少なかったり、あまり費用をかけられない場合には次のような使い分けがおすすめです。
- 競合があまり強くないロングテールキーワードを狙ってSEO対策を行い、SEOを強化する
- キーワードを絞って少額でリスティング広告を運用する
- さらに予算に余裕がある場合、自社の商品・サービスと親和性の高いページにディスプレイ広告を掲載
こちらはSEO対策をメインとし、細々と広告を運用する方法です。
コスト面で言えばSEO対策が一番安上がりでしょう。しかし、SEO対策のみで集客するには時間も工数もかかるため、少額でもいいので広告の運用も視野に入れたいところですね。
なるべく早く集客効果を得たい、即効性が欲しい
なるべく早く集客したい、明日にでもお問い合わせが来て欲しいときには、次のように使い分けてみましょう。
- リスティング広告とディスプレイ広告を同時運用する
- 工数にかける時間が出てきたらSEO対策を行う
早く効果を出すなら、やはり費用をかける必要があるでしょう。
このとき、ディスプレイ広告はターゲット層の利用者が多いSNSへ配信した方が費用を抑えつつ素早く効果を得られます。もちろん数千万単位の費用をかけられるのなら、Yahoo!など大きなサイトで出稿するのもいいでしょう。
工数にかける余裕が出てきたらSEO対策を行います。その理由としては、もしも何かの事情で広告配信を停止したとき、集客が完全にゼロになるのを防ぐためです。安全策を講じておくことも必要です。
自社の商品が1つのみである
自社が売っている商品が1つしかない場合、商品関連のコンテンツの数、つまりWebページの数にはどうしても限界があります。
そのため、リスティング広告・ディスプレイ広告をメインに運用するのが良いでしょう。リスティング広告は特定の商品名ではなく「腰痛 改善」などターゲットの“悩み”に焦点を当てたものがおすすめです。
SEO対策はページ数が少ないため最低限のキーワードのみ対策をします。
しかし広告費にあまりお金をかけたくない、もっとSEOに力を入れたいという場合には、コーポレートサイトとは別にオウンドメディアを作るのがいいでしょう。
オウンドメディアなら商品に限らず、ハウツー系、スタッフや働き方系、社会活動の紹介系などジャンルを広げられます。オウンドメディアをきっかけに自社を知ってもらい、商品購入という流れを狙うといいですね。
ゼロからのスタートで右も左もわからない
Webサイトを立ち上げたばかりでSEO対策もしておらず、広告の運用もこれから…という完全にゼロからのスタートという人は、まだ右も左もわからないですよね。
これではSEOと広告のどちらが効果的なのかがわかりません。そこで、まずはSEO対策とリスティング広告を同時にスタートし、データを集めることから始めましょう。
ディスプレイ広告という選択肢もありますが、やはりキーワード対策を重視したSEO対策とリスティング広告が優先事項になります。
最初はスモールスタートを切り、しっかりとデータを集めて現状把握することが重要。その後どちらに注力していくかは、データをもとに分析すればいいでしょう。
SEO対策と広告の併用でやってはいけないこと
SEO対策と広告を併用するときの注意点も合わせて解説します。
どれも中途半端になる
あれもこれもと手を出しすぎてどれも中途半端にならないように注意しましょう。
SEO対策をしながらディスプレイ広告でGDN、YDNに出稿し、リスティング広告も…と同時進行しすぎてしまうと工数が増え、1つひとつの効果を分析できません。
大切なのは優先順位を決めること、計画を立てることです。
効果が出る前に辞めてしまう
SEO対策でも広告でも、効果が出ている人は皆続けている人です。続けなければ効果が出ないのは当たり前のことですよね。
例えば3ヶ月経ってもSEO対策の効果が出ないからSEO対策をやめるとします。その3ヶ月後にアクセスがたくさん集まるようになりました。しかしSEO対策はもうやめてしまっているので、その後はアクセス数を維持できず、尻すぼみなってしまいます。
途中でやめることは非常にもったいないことです。
SEO対策を伴うコンテンツマーケティングでは、ある程度余裕を持って長い目で見た上での運用が望まれます。
自社サイトにアドセンス広告を貼る
最後に現実的な点でいくと、自社サイトにアドセンス広告を貼らないようにしましょう。
ディスプレイ広告はGDNの提携サイトに表示されますが、自社サイトにアドセンス広告を貼っていると、わざわざ広告費を払って自社サイトで宣伝するというおかしな事態になってしまいます。
さらに競合他社の広告が表示されれば、競合を宣伝することになり、お客様を取られてしまうことも。
アドセンス収入を得られますが販売利益と比べると非常に微々たるものなので、アドセンス広告をやめるか自サイトへの出稿はしないように除外設定を行いましょう。
SEOと広告は相乗効果を狙って運用しよう!
SEOと広告の両方をしていると工数が増えてしまうのは仕方がありません。しかし手間やお金をかけただけしっかりと結果はついてくるものです。
最適な使い分けをすれば、単品で運用するよりも集客しやすいでしょう。しっかりと運用体制を整え、計画的に運用すれば難しいことはありません。
SEOとリスティング広告・ディスプレイ広告の相乗効果を狙って併用していきましょう!
- ただし、クリック率が相対的に低い場合は「広告スコア(品質スコア)」が低下してCPCが高騰してしまう可能性がある。
- Googleではカスタムインテントオーディエンス、Yahooではサーチターゲティングの設定で、過去の検索キーワードに基づいてディスプレイ広告のターゲティングが可能。
- ただし、クリック率が相対的に低い場合は「広告スコア(品質スコア)」が低下してCPCが高騰してしまう可能性がある。
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